ベジタリアンの文化誌―食べること生きること

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794957672

作品紹介・あらすじ

歴史を超えて現代に影響を与えつづける人びとのなかには、思いのほか多くのベジタリアンたちがいる。本書では、これらの人々の生きかたを追いながら、わたしたちの文化と歴史を、かつてない「肉食・非肉食」という視点から捉えなおしていく。新しいライフスタイルとしての「ベジタリアニズム」の提唱。

感想・レビュー・書評

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  • 本文からの抜粋
    「思えば男たちは何十万年ものあいだ、
    動物の肉を獲得するために無駄な労力を費やし、
    不必要な争いを繰り返してきた。
    そこから生じた支配欲と独占欲は、
    まず女性に対して、それからつぎつぎと、
    土地・他民族・他国へと拡大していった。
    最後に行きつくのは戦争と殺戮であった。
    それしその犠牲になってきたのが、
    女性や子どもたちだった。
    私たち女性は二つの乳房をもって生れる。
    一つはフェニミズムであり、
    もう一つはベジタリアニズムである。
    人類はこのふくよかな乳房から溢れ出る
    乳によって育まれてきたのではなかっただろうか。」

    「食物を製造するとエントロピーが増える。
    しかも、低いエントロピーで作られる植物(穀物)に
    比べると、十分の一の効率しかないのである。
    『エントロピーの法則』の訳者である地球物理学者
    竹内均は、「あとがき」でこう書いている。

    私なりの問題快活法のいくつかを披露してみたい。
    (中略)次には穀物を食べることである。
    同じカロリーを取るのに、穀類に比べて肉類は
    数十倍も不経済な食物である。人々が穀物を
    食べるようにするには、そのおいしい料理法を
    研究すべきである。」

    「ベジタリアニズム」の語源がもつ本来の意味は、
    「生命にあふれるものを食べて健康に生きること」
    だから、加工食品を食べることはベジタリアニズムとは
    まさに逆方向だ。」

    感想
    この本は1988年初版で、23年も前に書かれたものだ。
    もう少し早い時期に読みたかった。

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著者プロフィール

エッセイスト・翻訳家.日本文藝家協会会員,日本ペンクラブ会員.

東京都生まれ. 明治大学文学部卒.1975年から77年までウィリアム・モリス研究のためのイギリス滞在. ベジタリアンになり, その思想と料理を研究する. 帰国後1979年, 最初のエッセイを出版して以来, 自然生活, 環境, 食文化, 庭園と草花についての執筆, 英語翻訳をする. 各所で講演・講座をし, テレビ・ラジオ・新聞・雑誌に登場している. 現在, 夫の写真家エドワード・レビンソンと犬1匹と房総半島の農村に在住.



著書:『ロンドンの美しい町』『いま、自然を生きる』『茶箱のなかの宝ものーわたしの昭和ものがたり』『丘のてっぺんの庭 花暦』『庭の恵みを楽しむ料理』『べジタリアン宮沢賢治』ほか多数.

「2016年 『サクラと小さな丘の生きものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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