紀行・アラン島のセーター

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 18
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794961495

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた本。
    後ろの広告に載ってた群ようこさんの『毛糸に恋した』は幻冬舎で文庫化してるので、これも文庫化するといいなぁ。
    そしたら手元に欲しい。
    まぁサクッと言ってしまうと、アランセーターには1000年の歴史がとか家紋のように家ごとに模様がみたいな伝承は地元興しの為の商業プロパガンダと。
    実際はもっと歴史は浅いしガンジーセーター他色々な種が集まって、アラン諸島で芽吹いて今も成長し続けてると言ったところでしょうか。
    ロマンという味付けは何にでも使われがちだけど、実際の所はどうだったのかというのも記録する人がいないとあっという間に忘れ去られていくので、こういう視点の本も貴重だなって思います。

  • アランセーターといったら必ず触れられるのが、その編み目に関するロマンティックで悲しい逸話。
    ヨーロッパの西の果てアイルランドのさらに最果ての島、アラン諸島の民が、目の前に広がる大西洋の荒波とどう戦い、生き続けてきたか。

    その逸話に惹かれ、著者はアラン諸島に出かけます。
    おそらくは逸話の舞台を辿る、同じくロマンティックな道程になるはずだったのでしょう。
    …しかし問題は、この逸話について本気で検証した人が、実は今まで皆無だった、ということにありました。

    探っていくうちにこの伝説、意外な様相をあらわし始めるのです。

    ……著者・伊藤ユキ子さんは「編み物の専門家でもなければ研究家でも」ありませんが、この本はアランセータの本当の真実を発見する、貴重なフィールドワークとなっています。
    そして同時にこの本は、逆巻く大西洋の大海原を前にして雨まじりの風に吹かれ、見渡す限り石だらけの野を見つつ泥炭の燻ぶる炉辺のぬくもりにそっと寄り添って暮らす、アイルランド西部の島々の人々の吐息が、ふと聞こえるような良質の紀行文にもなっているのです。

    この本を読んだ後、私はアランセーターとアイルランドのことが、もっと好きになりました。

    (アマゾン投稿レビューに加筆)

  • アランセーターの、各家庭ごとに模様があって、セーターから身元が特定できる、などの言い伝えを確認しに旅に出るもの、そんなロマンチックなもんでもない、という事実を知る。
    ただ生活のために編んでいた、など、アイルランドの貧しさ、厳しさが、島の風景とともに語られている。
    もともとアイルランドは好きだけど、ますます好きになった。

著者プロフィール

紀行作家

「2018年 『国宝 松江城 ~美しき天守~ 改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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