お葉というモデルがいた: 夢二、晴雨、武二が描いた女

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794962584

作品紹介・あらすじ

竹久夢二のモデルとして名高いお葉(佐々木カ子ヨ、お兼)は、責め絵画家・伊藤晴雨と洋画家・藤島武二のモデルでもあった。従来の夢二伝説から浮かび上がるお葉像は、夢二をさんざんこけにした多淫な情人というものだった。だが、お葉は本当にそれだけの女だったのか。まったくタイプの違う画家に、それぞれ多大なインスピレーションをあたえたお葉。画家たちは彼女のなかに何を見たのか。画家とモデルの抜き差しならぬ関係を、膨大な資料によって読みとき、大正という時代に生きた希有なモデルの生涯をあきらかにする女性評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 読了。図

    タイプの違う画家、伊藤晴雨、竹久夢二、藤島武二、彼らの代表作のモデルが同じ人物だった事に興味を持ちました
    お葉さん(お葉は夢二がつけた名前)と言う1人の少女が何故モデルになったのか
    彼女のモデルとしての才能や彼女を描きたがった画家たちのこと、そしてお葉さんのその人生に大きく関わった竹久夢二の人間像にも本人の手紙や取り巻く人の彼らを語る文章などから詳しく多くのページを割いて書かれています。

    かなりドロドロの愛憎劇。
    そして天才はやはり、ぶっ飛んでいる。

  • この作家さんは、江戸時代の旅に関しての本を書いていたので、読んだことが。

    お葉とは、竹久夢二が名付けた名前で、本当は、お兼。
    出生にも秘密があり、教育も中途で家を出た女性は、自然のままに本能のままに女として生きるたくましい女性。
    その性格とは裏腹に、幼く華奢で控えめな仕草、横顔も当時の他の日本女性と違って美しい曲線を持って、人の目をどこでも惹きつける魅力があった。

    はじめは女工として働くが、学歴もなく方言もきつい彼女は、あっさりと美術学校のモデルとなることを承諾。
    自分の体を全霊でスケッチされることに喜びを感じ、画家との勝負の様に、自分を表現しようとする彼女は引っ張りだこに。

    決して賢くはなく東北のきつい方言がついに最後まで治らなかったお兼だが、男女平等の意識も知識もなかった当時の、自分本位の男性たちに比べ、たくましく雄々しい。

    竹久夢二のことは、ずっと印象が悪かったが、この本でたくさんの史実や日記から紐解かれた彼の実像を見ると、ますます大嫌いに。

    なんとも責任感も本当の愛もひとかけらも相手にかけることなく、自分本位で、自分中心にしか物事を捉えられない性格や考えのなさを見ると嫌になる。

  • 「処女と少女 淑女に娼婦How many」と歌った郷ひろみも裸足で逃げ出す、元祖モデルお葉こと佐々木カ子ヨ(カネヨ)の生涯を描いた評伝。秋田での貧しい暮らしから抜け出すため東京で美術学校のモデルとなったことがお葉の人生を変えた。奔放に生き「嘘つきお兼」と言われながらも藤島武二、伊藤晴雨、竹久夢二のモデルを務めるという七変化ぶり。お葉が表舞台から消えたのは22歳の頃なので、モデルとしての活動期間は短く、後には医師と結婚し平穏な晩年を過ごした。それにしても夢二のDV処女厨ぶりには引いた。女を殴るな。

  • 第2回「出会いを楽しむ読書会」にて、ホタルさんが紹介してくれた本です!

  • お葉も夢二も常識的人間ではない。
    夢二はともかくお葉はとても魅力的な女性で好きになった。

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著者プロフィール

1946年、新潟県中蒲原郡横越村(現・新潟市)に生まれる。國學院大學文学部卒業。
著書に、『〝きよのさん〟と歩く大江戸道中記』(ちくま文庫、2012)、『伊勢詣と江戸の旅』(文春新書、2004)、『芭蕉「おくのほそ道」の旅』(角川書店、2004)、『江戸庶民の旅』(平凡社新書、2002)、『関所抜け 江戸の女たちの冒険』(晶文社、2001)、『芭蕉はどんな旅をしたのか』(晶文社、2000)、『江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く』(晶文社、1998;角川ソフィア文庫,2008)、『お葉というモデルがいた』(晶文社、1996)、『女流誕生』(法政大学出版局、1994)、『瞽女んぼが死んだ』(角川書店、1990)、『旅の石工』(法政大学出版局、1988)、『石の旅』(クロスロード選書、1988)がある。

「2013年 『「曽良旅日記」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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