日本がアメリカに勝つ方法: 日本経済、大反撃のシナリオ (犀の教室)

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794968135

作品紹介・あらすじ

21世紀に入り「ゲームのルール」は大きく変わった。そのあたらしいゲームのルールは、実は日本のためにある! 袋小路に入り込み身動きのとれないアメリカを尻目に、日本経済がどこまでも伸びていける「死中に活を見出す」反撃の秘策とは? 京大経済学部→マッキンゼー→肉体労働・ホストクラブ→船井総研……異色のキャリアを歩んできた経営コンサルタントが放つ、グローバル時代で日本がとるべき「ど真ん中」の戦略。あたらしい経済思想書の誕生!

感想・レビュー・書評

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  • インターネット時代になって、みんなが「同じ情報源」を得ている時代でなくなった結果、今の人間は知らず知らずのうちに、「自分が得たい情報だけを得て、自分が信じたい情報だけを信じ、自分が信じたいものを一切批判しないで簡単にダヨネーといってくれる人たちだけとSNSで繋がって、どんどん過激化した意見をいえばいうほど身の回りの小さいコミュニティから喝采を浴びられる」ような状況にあります。
    そういう方向でどんどん言論を過激化するということは、要するに「逆側の立場にいる人間」を、とにかく「全力で否定し全力で罵倒する」ための理論武装を完璧に行っていくということです。そうすると「ある範囲」までは確かに賛同者が簡単に得られる。しかし、同時に「逆側」に「反対の意見を持っている人たち」がたくさん出てくるので、「大きな会社単位」「地域単位」「国単位」みたいな状況になってくると、どこにも進めない状況になってしまうのです。

    第四の矢 違う立場の人達とも共有できる国家ビジョン

    極論をいう両者の間に、ゴリ押ししない形でちゃんと合意を形成する文化というのは、これからの21世紀には度の国にも普遍的に必要になってくる

    原爆解 合意形成の谷 ホロコースト解

    我々は個別の論点において、「自分の反対側の敵を論破」することに血道を上げるのではなく、「良質の具体的な解決策の大量培養」にもっとも適した「場つくり」「環境整備」にこそ集中すべき

    戦前の日本の軍部 空気がきめたからだめ、でなくみんなが悲惨な決断につっこんで行かざろう得なかった空気マネジメントの稚拙さこそが責められるべき

    合意形成カーブがM字型に分断してる世界において単純に規制緩和だけを推し進めると、本当にみんなが望んでいるどまんなかの事業が全然具体化しなくなる

    合意形成カーブがM字型に分断してしまっているから、結局原爆解かホロコースト解の位置にしかみんなの感情エネルギーを結集できない状況になってしまっているのが原因だ

    M字に分断した世界の、原爆解の代表格がDeNA的携帯ブラウザアプリゲームだったとすると、ホロコースト解の代表 新時代の最強アイドルAKB

    「自分が絶対善、相手は絶対悪」みたいな構図を振り回すのではなくて、「相手側のそもそもの存在意義」に敬意を払った上での対抗策を考えていかなくてはならない

  • すんごく難しい。書いてあることの半分くらいしか理解できなかった。そんなに難しい言葉で述べているわけじゃないんだけど、主張が抽象的かつ既存の言葉では端的に表現できない――のもあるし、「んで、どうすりゃいいんだ?」という疑問が浮かんで途方にくれてしまう。しかも、本人はそのつもりはないのかもしれないけど、最後の一連の文章を読むと右派の立場から「もっと良識的なリベラルになれよ」ということを訴えているようにも感じられてしまい、なんか、もったいない気がする。他の人はどれだけこの内容が理解できたのか、非常に気になる。

  • 評価のむつかしい本。大半は中身のない煽り文句なのだが、時折、キラリと輝く具体的な提案があって、それにはドキッと魅せられる。

    本書の内容は別として、読み始めてすぐに語り口が気になった。すごくあやしいアレにそっくりなのだ。情報商材。
    具体例をあげると、
    ほったらかしで毎月13万円稼ぐ方法
    http://hourensou.shime-saba.com
    ここは、
    http://hantei.seesaa.net/s/article/83229229.html
    を読めば分かるように詐欺でしかないのだが、金儲けでなくて異性にもてるとか痩せるとか、「努力しないでウマミだけを手に入れよう」ということを売りにしている人たちの語り口は驚くほど似ている。

    私の言うようにすればこんないいことやあんないいことがあります。
    にわかには信じられないでしょうね。
    でも、本当なんです。
    それは、すごく簡単なコツなんですが、みんな知らないんです。
    すごく簡単なので、誰にでも、あなたでも確実にできるんです。

    ・・・といったような調子のいい言葉でたたみかける。ただし、具体的なことや肝心の内容は言わない。それ自体が売り物のノウハウだから、というけど、実際は中身が薄過ぎてチラ見せするとそれが全てだから。

    というのが私の知っている情報商材の売り方、売り文句なのだが、著者が過去の職業でそれに近い分野を経験したからなのか、本書の語り口が驚くほど情報商材のそれと似ている。

    先行きの見えない21世紀。実は日本こそがその先頭を走っていて、右と左、保守と革新がお互いの真ん中を見つけられればアメリカに勝つことだってできる。私はその方法を知っているのであなたに教えよう。

    うむ。あやしい。

    ただし、本書の肝である「合意形成のM字カーブ、凸字カーブ」という指摘は実に鋭く、さの通りと頷かざるをえない。これも本書の解説で言い直せば「温度を上げろ v.s. 温度を下げろ の論争をやめて、適温を目指そう」に変えること。

    著者のブロク記事を読んでみると、大きな傾向としては本書と同じ。もう少しウォッチしてみよう。

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著者プロフィール

1978年神戸市生まれ。兵庫県立神戸高校、京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて『新しい経済思想』の必要性を痛感。その探求のため、いわゆる「ブラック企業」や肉体労働現場、カルト宗教団体やホストクラブにまで潜入して働く、「社会の上から下まで全部見る」フィールドワークののち、船井総研を経て独立。中小企業のコンサルティングで『10年で150万円平均給与を上げる』などの成果を出す一方、文通を通じた「個人の人生戦略コンサルティング」により幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。著書に『21世紀の薩長同盟を結べ』(星海社新書)、『日本がアメリカに勝つ方法』(晶文社)、『「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか』(amazon Kindleダイレクト・パブリッシング)など。

「2022年 『日本人のための議論と対話の教科書 - 「ベタ正義感」より「メタ正義感」で立ち向かえ -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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