ルース・ベイダー・ギンズバーグ アメリカを変えた女性

  • 晶文社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794972910

作品紹介・あらすじ

汝、正義を追求すべし――「アメリカの宝」と呼ばれた連邦最高裁裁判官の仕事と人生。

アメリカ連邦最高裁史上2人目の女性裁判官であり、2020年9月18日に87歳で亡くなるまでその任を務めたルース・ベイダー・ギンズバーグ。平等の実現に向けて闘う姿勢やユーモアのある発言で国中の尊敬と支持を集め、ポップ・カルチャーのアイコンとまでなった“RBG”の生涯と業績をたどる。
1970年代に弁護士として関わった性差別をめぐる3つの裁判の記録と、連邦最高裁裁判官として4つの判決で書いた法廷意見や反対意見を自身のセレクトで収載。また、長いキャリアと家族生活について語った最晩年の対談と3つの講演を収めた。RBG最後の著作。

感想・レビュー・書評

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  • 「平等のために闘った英雄」ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事をセレブが追悼(2020/9/22)
    https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/g34090916/uth-bader-ginsburg-death-celebrity-tributes-200922/

    ルース・ベーダー・ギンズバーグa.k.a「ノトーリアスRBG」が目指した本当の平等。【ダイバーシティ時代のクリエイティブ論考】 | Vogue Japan(2020年10月6日)
    https://www.vogue.co.jp/change/article/prospect-of-creativity-notorious-rgb

    ルース・ベイダー・ギンズバーグ アメリカを変えた女性 | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=6887

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      RBG先輩、私もあなたのように闘いたいです|アルテイシアの59番目の結婚生活|アルテイシア - 幻冬舎plus
      https://www.ge...
      RBG先輩、私もあなたのように闘いたいです|アルテイシアの59番目の結婚生活|アルテイシア - 幻冬舎plus
      https://www.gentosha.jp/article/20649/
      2022/03/19
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      明日のRBGを探せ!女性憲法研究者3人が語る『ルース・ベイダー・ギンズバーグ――アメリカを変えた女性』/菅谷麻衣・川口かしみ/志田陽子(ホス...
      明日のRBGを探せ!女性憲法研究者3人が語る『ルース・ベイダー・ギンズバーグ――アメリカを変えた女性』/菅谷麻衣・川口かしみ/志田陽子(ホスト) - SYNODOS
      https://synodos.jp/talklounge/28284/
      2022/07/10
  • とにかくカッコいいです!

    女性のために、
    という方なのかと思って読み始めたら、
    いい意味でくつがえされました!

    性別の概念よりも、
    すべての人が平等に。

    男女平等と言いながら、まだまだな日本人にこそ、
    ぜひ読んでほしいです。

    自分のスタイルを堂々と持っている、
    好きなファッションをする、
    すごくカッコいい女性でした!

  • 本書は2020年に亡くなったギンズバーグ米連邦最高裁判事の生涯と業績をたどるものだ。
    女性がロースクールに入るのが珍しい時代のパイオニア的存在として弁護士、裁判官、研究者としてキャリアを築いてきた。
    特に本書では弁護士時代、連邦最高裁裁判官時代に携わった複数の事件の意見書を通じて彼女の平等に対する信念が伝わる。

  • アメリカ連邦最高裁判所判事のルース・ベイダー・ギンズバーグの評伝と、彼女が弁護士として行った口頭弁論、最高裁判事として筆を執った法廷意見などの中から、主なものがまとめられている。

    アメリカ合衆国を「より完全な国家」にするために生涯をかけて真摯に働き続けたギンズバーグ判事の功績と、その仕事の特徴が理解できる本だった。

    ギンズバーグ判事は一般にリベラル派といわれるが、しかし、本書で取り上げられている法廷意見などを読んで最も印象を受けたのは、ギンズバーグ判事の法律家としてのバランスが取れて慎重な判断を下す姿勢である。

    確かに、弁護士時代には人種や性別による差別を無くすためにさまざまな訴訟にかかわったし、判事としても多くの判決もそのような権利を守ることにつながった。しかし、その際の立論においても、過去の判例や立法過程の膨大な資料を読み込み、憲法や立法の趣旨に基づいて議論を組み立て、また異なる権利や自由が衝突するときに、その衡平が保たれる着地点はどこかを突き詰めて考える姿勢が際立っていたように感じる。

    弁護士時代に関わった「モーリッツ対内国歳入庁長官事件」では、扶養家族である母親の介護のために支出された費用が、女性若しくは寡夫であれば認められるのに独身の男性には認められないということに対して、この区別の合理的根拠が見出せないということだけではなく、立法過程においてもこのような区別を設ける法的意図がなかったと推定されること、またそのような区別を設けることが憲法(修正第5条)上も認められていないこと、そして裁判所がそのような立法上の瑕疵を是正することができることを、順を追って明確に論じている。

    経営者の宗教的信条に合致していないという理由で、健康保険の下で女性従業員に対して本来提供されるべき無料の避妊関連サービスを提供しなかったことに対して起こされた「バーウェル対ホビーロビー・ストア事件」の判決では、ギンズバーグ判事は少数意見に回ったが、その中で、法廷意見が雇用者の宗教的信条に保険適用義務の免除を広く認めていることに対して、そのような判断が今後広く適用されることにより、信教の自由が他の市民の権利や共通善を脅かす事態になることを懸念し、バランスをとろうとしている。ギンズバーグ判事は、このような免除が認められる場合を判断するために行われる「やむにやまれない利益テスト」、「権利制約が最も少ない手段テスト」など、法が求める判断の基準を丁寧に追うことで、本来免除が認められる射程を本件だけではなく、その基準が適用される様々な事例も挙げながら、多数意見の抱えるリスクを論じている。

    このようなバランス感覚と論理的な積み上げにもとづく議論こそが、裁判所が議会や行政府とは異なる信頼や権威を獲得していくためにも重要なことである。このような面において、ギンズバーグ判事の存在とその法廷意見は、最高裁判所の地位を高めるのに大きく寄与したと思う。

    そして、ギンズバーグ判事の法律家としての取り組みが、より多くの人により多くの機会を与え、公平な社会を作ることに大きく寄与したと認められているからこそ、アメリカ社会において高い尊敬を集めたのであろう。

    ギンズバーグ判事が自身でも印象に残った判決と語っている「合衆国対ヴァージニア州事件」の判決文も、そのような成果のひとつである。男子校の士官学校であるヴァージニア軍事学校への女性の入学を巡って争われたこの事件では、ギンズバーグ判事もこの学校の教育が全ての人に適しているということは述べておらず、むしろそのような判断を裁判所自身が下すことは、適切でもないと考えている。一方で、性別に関わらず、この学校の特徴的な教育に適応でき入学を希望する人がいる限りにおいて、さまざまな人に入学の門戸が開かれているべきであるということを述べている。

    最高裁判所の判決はその後の立法や法の執行に大きな影響を与える。権利や自由のバランスをとりながら、より多くの機会をより多様な人々に提供しようとしたギンズバーグ判事の判決は、本書のサブタイトルにある通り「アメリカを変えた」ものであると思う。

    本書の中心は最高裁判所で出された法廷意見であるため、頭に入れていくためにはじっくりと読む必要があるが、一方でギンズバーグ判事の意見は非常に整理されたものであるため、難解な構成のものではないと感じた。欲を言えば、ギンズバーグ判事が少数意見を欠いた裁判における多数意見の内容も要旨でよいので掲載されていれば、意見の共通点や対立点、その間にある論理の違いなどが分かり、より参考になったように思う。

  • 1.アクティビストと法律家の大きな差
    ジェンダーの平等を推し進めるという想いは同じかもしれないが、法律家として法における平等を獲得するにはこんなにも粘り強いアプローチが必要なのかと驚いた。まるで数学の証明問題のよう。

    RGBのインスパイアリングな言葉が並んでいる本かと思いきや、そのアプローチは驚くほど論理的で公平で私見が挟まるものでは全くない。

    公平さ、は想いだけでは果たせない。

    2.法が守るべきものは時代によって変わる
    映画ビリーブでも描かれていたが、法によって社会が変わるのではなく、社会は時代によって変わり、それに法がついていくべき。

    法は、時代がよりよく変わっていくことの足枷になってはいけない。社会が変わっていることを事実のファクトとして伝えて訴えていく。

    社会を動かすのは、私たち。

  • Justice, Justice Thou Shalt Pursue:
    A Life's WorkK Fighting for a More Perfect Union
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=6887

  • ふむ

  • 東2法経図・6F開架:289.3A/G46g//K

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著者プロフィール

アメリカの法律家。1993年にクリントン大統領の指名を受け、連邦最高裁裁判官に就任。性差別の撤廃など、平等を求めるリベラル派の代表的存在として国内で大きな影響力を持ち、著名なラッパー「ノトーリアスB.I.G.」をもじって「ノトーリアスR.B.G.」と呼ばれるなど、“ ポップ・カルチャーの新しい象徴” とも評された。その生涯を題材とした映画『ビリーブ 未来への大逆転』やドキュメンタリー『RBG 最強の85才』が2018年に公開。2020年9月18日死去。

「2022年 『ルース・ベイダー・ギンズバーグ アメリカを変えた女性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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