「女の痛み」はなぜ無視されるのか?

  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794973344

作品紹介・あらすじ

臨床試験で女性が排除される、コロナ禍でマイノリティの人々が受ける影響、アメリカで中絶の権利が争点になる理由は

著者がアメリカで出産したとき、彼女は死にかけた。痛み止めが効いていないと訴えても無視された。痛みを証明するために手術台まで歩くように言われた。
彼女はこの医療トラウマ体験をきっかけに、女性の痛み、特に有色人種の訴えがまともに受け止められない事実を、
あらゆるデータ、記事、証言をもとに執筆した。
さらにコロナ禍で女性、マイノリティの人々が受けた甚大な影響も考察する。
初期設定が男性になっている現状は、医療ケアにおいても例外ではない。
「女の痛み」が軽視されている事実と、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込むノンフィクション。

「女性の痛みという概念が、世界中でどのように捉えられ、管理され、考えられているかを見れば、それは常に男性や『文化』によって定義されてきたことがわかる。多くの社会では男性による支配が続いていることから、女性の痛みや苦しみに対する世界の認識は、女性ではなく、男性によって確立されてきたのだ」(「日本の読者へ」より)

「困惑させられたのは、『女性は自分の健康や身体について決めることができない』と、いまだに世間が思い込んでいる点だ」(5章「知られざる女性の身体」より)

「私はできる限り、フェミニズムと平等主義を重んじる結婚生活を送っていた。そんな夫婦ですら、コロナは伝統的な男女の断層を露呈させた。ロックダウンで誰もが自宅で仕事をするようになれば、より稼ぎの多い人の仕事が優先されるようになる。気づけば夫は自宅のオフィスを占拠しており、私はやむをえず家庭という領域に追いやられた。まるで、1950年代の主婦みたいに」(5章「知られざる女性の身体」より)

(目次)
日本の読者へ
本書に寄せて——ジェシカ・ヴァレンティ
はじめに

第1章 私が出会った最初のフェミニスト
第2章 バングラデシュ女子、キャピトル・ヒルに立つ——アメリカでの中絶の権利をめぐる混沌
第3章 気のせいにされる有色人種の女性の痛み
第4章 見えない症状
第5章 知られざる女性の身体
第6章 コロナ禍で妊娠するということ
第7章 代替手段の模索
第8章 自分の体の声の一番の代弁者になるには
第9章 自分の声を届ける

おわりに
謝辞
訳者あとがき
出典

感想・レビュー・書評

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  • 女性が痛いといっても信じてもらえない理由|10月12日発売『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』日本版まえがき|晶文社|note
    https://note.com/shobunsha/n/nfe4443f4b234

    Anushay Hossain
    https://anushayhossain.com

    「女の痛み」はなぜ無視されるのか? | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=7301

  • 内容は原題の「The Pain Gap -How Sexism and Racism in Healthcare kill women」のほうが正確に表しているかと思う。
    日本国内に住む日本人女性として参考になる部分も当然あるけれど、アメリカにおける有色人種女性の苦難に関するエピソードがたくさんあり、胸が痛くなった。
    日本でも地方だと医者を選んでいられないなどの事情があるけれど、話を聞いてくれない医者は命にかかわるのできちんと聞いてくれるところを常に選ぶようにしたい。

  • 【書誌情報】
    原題:The Pain Gap: How Sexism and Racism in Healthcare Kill Women
    著者:Anushay Hossain[আনুশে হোসেন]
    訳者:堀越英美
    版型:四六判並製 352頁
    定価:2,200円(本体2,000円)
    ISBN:978-4-7949-7334-4 C0036
    発売日:2022年10月12日

     著者がアメリカで出産したとき、彼女は死にかけた。痛み止めが効いていないと訴えても無視された。痛みを証明するために手術台まで歩くように言われた。彼女はこの医療トラウマ体験をきっかけに、女性の痛み、特に有色人種の訴えがまともに受け止められない事実を、あらゆるデータ・記事・証言をもとに執筆した。さらにコロナ禍で女性、マイノリティの人々が受けた甚大な影響も考察する。
     初期設定が男性になっている現状は、医療ケアにおいても例外ではない。「女の痛み」が軽視されている事実と、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込むノンフィクション。
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=7301

    【目次】
    日本の読者へ
    本書に寄せて——ジェシカ・ヴァレンティ
    はじめに
    第1章 私が出会った最初のフェミニスト
    第2章 バングラデシュ女子、キャピトル・ヒルに立つ——アメリカでの中絶の権利をめぐる混沌
    第3章 気のせいにされる有色人種の女性の痛み
    第4章 見えない症状
    第5章 知られざる女性の身体
    第6章 コロナ禍で妊娠するということ
    第7章 代替手段の模索
    第8章 自分の体の声の一番の代弁者になるには
    第9章 自分の声を届ける

    おわりに
    謝辞
    訳者あとがき
    出典

  • 主に米国の医療現場で女性、なかでも有色人種の女性の患者の訴え、痛みが医師に無視された結果、亡くなったり予後が悪かったりする…という現実を統計と患者の声から描くロビイストの著作。
    日本とは状況が異なるところも多々あるが、出産時の痛み、生理痛は当たり前だし、むしろ取り除いてはいけないという謎の信仰等重なるところも。著者は出産や出生そのもには前向きなのだが、具体事例があまりにも酷いので妊娠・出産自体を避けたほうがよいのでは…と思わせる。日本ではなんとなく出産=女性の幸せ幻想があるので、(仮に医師が女性患者の声を傾聴したとしても)こういうリスクがある、ということを子どものうちに知っておいたほうがいいと思う。

  • アメリカにおける医療差別は最近知った。
    今回は黒人女性の妊産婦死亡率の高さや、
    疼痛に関して適切な処置が行われないこと、
    コロナ禍での出産がいかに危険で大変なのか
    など綴られていて心が苦しくなった。

    ある、アメリカドラマで
    黒人は白人よりも救急で心配蘇生の時間が短いと
    言っていた。実際の研究結果を読んだわけではないのですが、医療差別を知れたきっかけです。

    アメリカ独特の問題もあるとは思うが、
    同じ女性として女性の痛みは無視されやすいのは感じる。生理痛が代表的だと思う。
    人によって個人差があるのに、生理は病気じゃないから会社を休んだり、学校を休んだりするのは
    なんとなく出来ないものだと私たちは思い込まされてきたところがある。
    なんとなく、軽く扱うのが正しいような
    女が耐えるべき痛みであるかのような圧力があるのは否定出来ない。
    若い頃から鎮痛剤を飲むのは身体に悪いとか、なんとか。
    だんだんと社会が変わってるなぁと感じることもあるが、男女の不平等はまだまだ氷山の一角でしかない。

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11535643

  • 男性が怒ると圧を与えられるだろうけど女性が怒ってもいなされる
    ヒステリーの語源は子宮
    P293人々が普段、もっと真剣に話を聞いてもらいたいなら、こうすれば良いと女性にする提案は、すべて、医師が女性を『ヒステリー』か『健康への過度な不安』のいずれかに分類するサインであることが多いのです。そのため、女性はますます真剣に話を聞いてもらえなくなってしまいます。

    アメリカの人種差別の話題に重きを置かれていたので求めていた内容は少なく感じたが人種差別についても知れてよかった

  • 「女の痛みはなぜ無視されるのか?」というタイトルから、女性の疼痛が軽視される理由、文化的背景について論じられているのかと予測していたけど、どちらかというと
    「女の痛みは無視される、じゃあどうすればいい?」という方向性の比重が高かった気がする。

    なるほど~。っていう部分と、
    う~ん…?っていう部分があって、興味深かった。

  • 原題の中にあるRacismという単語も大事と思う、無視しないでくださいよ

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著者プロフィール

著述家、女性の健康関連の法律に重点的に取り組むフェミニスト政策アナリスト。CNN、MSNBC、PBSにレギュラー出演し、Forbes、CNN.com、Daily Beast、Mediumに政治・ジェンダー・人種に関する寄稿を行う。また、ポッドキャスト「Spilling Chai」のホストも務める。本書が初の著書となる。

「2022年 『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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