- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784795847422
作品紹介・あらすじ
旧満州に飛び込んで、10年がかりの旅の中で、娘がまるごと受け止めた運命の物語、そして「反日と情愛の国」の等身大のリアル戦後史を書き換える奇跡の実話日中の国交が断絶していた一九七〇年に、文化大革命さなかの中国から命懸けで帰国を果たした二八歳の日本人戦争孤児、それが私の父だった。
感想・レビュー・書評
-
1945(昭和20)年の満州東部、雪崩のように押し寄せるソ連軍、逃げ惑う婦女子、一家離散のすえに残された日本人孤児たち。 本書は「中国残留孤児」という言葉がメディアを賑わす10年以上も前の1970年4月、文化大革命の嵐が吹き荒れる中国から24年の歳月を経て帰国を果たした<城戸幹(キドカン)>の壮絶な半生を追って、「祖国」とは「家族の絆」とはを問いかけ、「日本生まれの中国残留孤児二世」として、父親の、祖父母の〝あの戦争〟の悲劇を語り継いだ、慟哭のノンフィクション作品です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私の父も、学生の頃、家族で満州にいたことがある。満州に行かざるを得なかった多くの日本人の事情、中国との関係を見つめ直す機会になりました。
もう一度ドラマも見てみたいです。 -
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
依岡隆児先生(総合科学部国際教養コース)ご推薦
本作は大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞、黒田清JCJ新人賞を受賞、テレビでドキュメンタリーやドラマ(『はるかな絆』NHK,2009年)にもされました。作者の城戸さんは、徳島大学総合科学部出身です。
お父さんが中国残留孤児として戦後、中国人に引き取られて育てられ、日中関係改善の時期になって、やっと27歳のとき帰国を果たしました。城戸さんは大学に入るまで、戦争や残留孤児のことにはあまり関心のなかったのですが、ある日父が取り出した箱の中に、帰国のために日本の赤十字に書き送った手紙や手帖などが入っているのを見て、身近な問題として関心を持つようになりました。学生時代に吉林大学に留学、父の足跡を探り、関係者にもインタビューして書いたのが本作です。
戦争の記憶が風化していくなかで、なんとかそれをとどめておきたい、戦争に無関心な戦後生まれの人たちに、少しでも関心をもってもらいたいという思いで書かれています。なにより作者自身が、戦争が他人事ではなく、深く探ると必ず自分とつながってくることを実感したがゆえに、記録というより「記憶」として残したかった作品でしょう。
戦争が遠くになりつつある現代だからこそ、学生の皆さんに読んでいただきたい。
また、本作の子供向けに書かれた作品に、『じいじが迷子になっちゃった』(偕成社、2019年)があります。 -
淡々と書いてますが、やはり残留孤児の話はいつも激動の中にあり、心揺さぶられる。特に養母が血の繋がらない子を誰より思い、帰ってくれば気が動転するほど喜ぶ様子、子も養母を常に心に留めているのは感慨深い。写真をもっと載せて欲しかった。
-
新聞で紹介されていたので読んでみた。
「中国残留孤児」。
言葉は知っていても全然知らなかったので、読みながら驚くことしかなかった。 -
作者は以前、日経夕刊のコラムを連載されており、
コラムを読んでいて著書を知り、読みました。
私は正直、衝撃でした。
こんな大変な事があったことを、全く知らなかった。
残留孤児のニュースはテレビで見ていたけど、
こんなに大変な目にあった人生、知らなかった。
戦争で「やったこと」も「されたこと」も
私達は知らなすぎるのではないか。
(永遠の0でも思いました)
もっと歴史をしっかり勉強する環境は必要なのではないか?
私は知らないことが多すぎる、と思いました。
習っていないというのがそもそもの要因ですが、
(受験は近現代をするーしますしね)
自分から興味も持っていなかったとも言えます。
これから1つずつ知識を増やしていきたい。 -
著者父親の半生の凄まじさ。読み出したら止まらなかった。子供に伝えたいことは沢山あるだろうに、娘が興味を大人になって持ち出すまで自分からは語らずにいた彼。また、厳しい戦争を体験しつつほとんど語らなかった祖父。将来へと語り継ぐべき戦争体験でありながら、多くの人は語らず封印してこの世を去っていったんだろう。今ある自分たちの環境を当たり前と捉えがちだが、完全なる過去の話とせず忘れてはならないのが私たち戦後時代の責任では。