- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796653725
感想・レビュー・書評
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2005年、復活ののろしを挙げたこのムック。その内容は衰えていたかつての勢いを見事に誌面で甦らせてくれた。
その余勢を駆って、本年も発刊と相成ったのだが、その内容に斬新さは見られなかった。
昨年、『この文』の花形企画として打ち出した「文庫・オブ・ザ・イヤー」の結果からしてがっかりだ。なんせ1位は映画にもなったベストセラー『博士の愛した数式』だからだ。この失望は私が単純にミステリ・エンタテインメント系が好きだからという理由ではなく、数多く文庫を読む読書子が勧めたい文庫という結果としてはあまりにもお座なりだからだ。
前年の1位、岡嶋二人氏の『99%の誘拐』は正にムーヴメントを引き起こした。これは恐らく普通、本を読まない人たちに知られていない本が1位になったからだ。でも今回はこれ、有名すぎるじゃないか!!
2006年の本屋さん大賞がリリー・フランキーの『東京タワー』だったと同じくらい白けた。宝島社が放つムックなだけに、読書のプロがあまり世間に知られていない面白文庫を紹介する指南書であってほしいのだ。
それを皮切りに続く企画、インタビューも有名どころばかりで、もうすでに「ダ・ヴィンチ」で読んでますって感じがして、何のために800円以上も払って買ったのか、解らない。
普通に本を読む人たちに阿るぐらいならば、もはや『この文庫がすごい!』なんて冠を掲げるのはやめて欲しい。もっと文庫ならではの企画があるはずだ。
例えば絶版文庫の復刊希望ベスト10とか、芥川・直木賞作品で現在文庫で手に入るのは何冊か?なんて出版社サイドを突っつく企画があってほしい。
文庫は文芸作品残存の最後の砦なのだ。売れてる文庫は黙っていても本屋の棚には並んでいる。
『この文』がやらなければならないのは、絶滅しそうな不朽の名作の保存、復刻ではないだろうか?
今のままではムックとしての存在意義がない。今回は強くそう思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
参考にはなるけど、思ったほど掘り出し物がなかった。