機長が語るヒューマン・エラーの真実 [ソフトバンク新書]

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797333435

感想・レビュー・書評

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  • ソフト開発でも「ヒューマン・エラーの真実」は同じ

    航空機の事故は、機器のトラブルや人間による過失だけが原因で発生するわけではない。実は、組織や体制による潜在的なリスクも高いということが、本書を読むとよく分かる。JR西日本の社長が起訴された「JR福知山線脱線事故」もまたしかり。日勤教育の問題点が指摘されている。筆者は企業や組織自体が意識の変革を図り、エラー発生のメカニズムや発生時の対処方法について、現場の意見も取り入れつつ前向きに研究していく体制が必要であると説く。

    ソフトの開発でも同じことが言える。ヒューマンエラーは起こるべくして起こるということを開発者は肝に銘じたい。ここでも「安全」は神話に過ぎず、エラーや攻撃を完全に防ぐことはできないが、少なくとも致命的な打撃を受けることの無いよう分析と対処を怠らないようにすべきだ。万全の体制をもってインシデントに対応できることこそ、今企業に求められている資質である。

    本書に一つだけ、懸念があるとすれば…。
    筆者は様々な航空機事故を分析し、どうすれば事故を防げるかについて考察、提案している。しかし、その考えが実際に現場に反映されているのかどうか、残念なことに我々には確かめるすべがない。よって、この本を読むと飛行機に搭乗するのが怖くなる。海外旅行の好きな方、海外へ頻繁に出張される方は読まないほうがいいかもしれない。

  • 航空機の機長が語るヒューマンエラーの話。
    具体的な話を中心に、人ができる対策が書かれている。
    エラーが発生させやすい仕組みや操縦が難しい飛行機というのはどうなんだろう?

  • 高度な判断は人間しかできない。一方で人間は間違いをおかす。ゼロにはできないかも知れないが最小にすることはできる。

  • 機長というのは気を使う仕事やけどイイナ

  • [ 内容 ]
    自動車よりも安全な乗り物だといわれる飛行機。
    しかし、事故率は三〇年間も横ばいのままだ。
    ボーイング社は、このまま便数が増え続ければ、二〇一五年には一周間に一度大事故が起こると予測している。
    「運が悪かった」では済まされない失敗を防ぐために、あるいは二度と繰り返さないために「人」ができることは何か―のべ一〇〇万人の命を預かってきた現役機長が、三七年間、約二万時間の航空人生から得た知識と経験をもって、真に実践的な「安全」対策について語る。

    [ 目次 ]
    序章 航空機事故はなぜ起きるのか
    第1部 パイロットのヒューマン・エラー(人間の動物的本能と能力限界から発生するエラー パイロットの習性によるエラー コミュニケーションの失敗によるエラー 行き過ぎたコスト削減が生み出すヒューマン・エラー)
    第2部 「人間はミスを犯す」という前提で(個人から組織としてのヒューマン・エラー対策へ マネジメントの役割と責任 CRMの効果と限界)

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  航空界で定着した感のあるヒューマン・エラーという考え方に基づいて、様々な事例を分析し、どのような対策を立てるべきかを、「総論」ではなく「各論」として、具体的に提示したもの。加えてヒューマン・エラーの防止策として採用されているCRMについての誤解を解く。
     Active FailureとLatent Failure、ランダムエラー・システマティックエラー・スポラディックエラー。など参考になる部分がたくさんあった。また、「パイロット不在の設計」の話など、おれの今の仕事と似たような部分があって妙に納得した。また、CRMについての誤解は、おれの職場でのSMS(Safety Management System)のように、言葉だけが独り歩きしている状況と似ている気がした。個人的に考えさせられる点があって面白い本だったが、そうでなくても、少なくとも「どんな人間でもミスはする」、「ミスは当事者の不注意だけで起こるのではない」という基本的な考え方は知ることができる。ただし、話がパイロットに偏っているので、その点、飛行機に興味がなければピンとこないし、退屈かもしれない。(10/12/21)

  • 飛行機もそこまで安全ってわけじゃないんだなと…

  • ちょうどこの本と手にした後で、某航空会社が整備不良がどうのこうのと言うことでニュースになっていました。
    それと、この本あのYahooのソフトバンク関連会社出版と言う事でも話題性満点です。

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著者プロフィール

航空評論家/元日本航空機長
1969年慶應義塾大学法学部卒、日本航空入社。
DC-8、ボーイング747、エンブラエルE170に乗務。首相フライトなど政府要請による特別便の経験も多い。ボーイング747の飛行時間は1万4051時間という世界一の記録を持つ。2011年10月の退役までの総飛行時間は2万1000時間超。日本航空在籍時に安全施策の策定推進の責任者だったときにはじめた「スタビライズド・アプローチ」は、日本の航空界全体に普及し、JAL御巣鷹山事故以来の死亡事故、並びに大きな着陸事故ゼロの記録に貢献している。
航空問題と広く安全問題について出版、新聞、テレビなどメディア、講演会などで解説、啓蒙活動を行なっている。著書多数。近著に『飛行機ダイヤのしくみ』(成山堂書店)がある。

「2020年 『パイロットは知っている 羽田増便・都心低空飛行が危険なこれだけの理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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