なぜ株式投資はもうからないのか [ソフトバンク新書] (ソフトバンク新書 33)
- ソフトバンク クリエイティブ (2007年3月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797338867
感想・レビュー・書評
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株式市場において、個人投資家がなぜもうけることができないかを詳述した本。
著者は、元リーマン・ブラザーズの保田隆明氏。
主な主張は以下の2点。
1.個人投資家と機関投資家の情報の非対称性。
2.新興市場ににおける構造的な問題点。
これは個人が市場に参加する際には読んでおくべき本であると感じた。
目新しさはないものの、「新興市場を減らせ!」の主張にはうなづくしかなかった。
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株式投資による平均的なリターンは 4 〜 5% とされているが、これは個人投資家と機関投資家の双方のリターンをあわせたものである。個人投資家よりも機関投資家の方が圧倒的に情報量は多く、儲ける機会もあるから、個人投資家は不利であるということが書いてある。結局のところ、もし、株式投資を行うのであれば、ETF は妥当かもねという結論になっている。株で儲けようとしている人が、もう少し冷静になりましょうという名目で読むのはありかもしれない。
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一般投資家が株式市場でどれほど不利であるか、市場の構造的問題をエッセイ風に書いたもの。投資に関心のない人はそもそも読まないだろうし、投資を始めてしまって実際儲からない人は、あえて読まなくても体感しているだろうから、読書対象が投資に関心はあるが投資したことのない人に限られている。投資を始める人はリスクを十分理解した上で始めなければならないが、こういった注意喚起・警鐘はライブドア事件前の、株式投資ブームの最中に発せられてこそ意味があり、相場が大きく下げてから「それ見たことか」的、後出しジャンケンのごとく言われても、経済や金融の評論家や金融業界関係者への不信をさらに強めるのに役立つ程度では。ただ、行動ターゲティング技術(Amazonのレコメンデーションのような)を用いて、自分の過去の投資行動データを提供して、投資家に「ホントに大丈夫?」的クールダウンを行うという、最終章の“妄想的”提案は、近い将来に現実化しそうで興味深かった。
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株式投資で儲けられないわけを、一般投資家、機関投資家、証券会社、株式会社の「気持ち」によって説明している。それぞれの思惑は、もちろん自分が儲けようと思うのだが、それをちゃんとわかっていないと儲けられない、ということだ。わかっていても儲けられないかもしれないが。
「誰かが負けた金額が、必ず誰かの懐に入っている」(P.63)といっているが、本当にそうなのだろうか?
「投資」したお金が、投資した企業の成長により価値が増えた場合、負けたお金が、とは考えにくいのだが。 -
投資にもっとも必要なものは、自分の性格や価値観を理解し、それに見合ったリスクのとり方を知ること。
しかしそんなことは誰も語らないし教えてくれない。そのような中で一石を投じる一冊だと思う。