鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797342642

作品紹介・あらすじ

夏休みも半ばを過ぎたある日のこと。5年生の見晴は近所の鉄塔で番号札を見つける。その名は"武蔵野線75‐1"。新発見に胸を躍らせた見晴は、2歳下のアキラを誘い、武蔵野線を遡る。「オレたちは鉄塔を辿っていけば、絶対に秘密の原子力発電所まで行けるんだ」-小学生の頃、誰もが抱いていた気持ちを見事に描き、未知の世界を探検する子供心のときめきを見事に描き出した"鉄塔小説"。第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。1997年映画化作品。著者が思いの丈を詰め込み、本当に望んでいた「完全版」に改編。鉄塔 武蔵野線1号から81号まで計500枚以上の写真を掲載し、幼き日の美しい思い出を遡る。

感想・レビュー・書評

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  • 少年二人がひたすら鉄塔を巡る。

    映画版を観たので8年ぶりに再読。
    あちらは不幸な少年の悲しい冒険だったが、
    こちらは普通の少年の楽しい冒険という印象。
    夏休みに意味もなく早起きしたりしていた
    あのワクワクした気持ちを少しだけ思い出せた。
    多分映画版の方が万人受けするんだろうけど、
    個人的にはこちらの方が好きだなあ。

    なお、この小説には内容が違う三つの本が有り、
    単行本版は結末が他二つより長く詳しく書かれており、
    新潮社文庫版は結末がすっきりしていて写真がほとんど無く、
    この本では結末は新潮社文庫版に準じていて、
    単行本版でも収録出来なかった写真を全て収録している。
    単行本版の結末は賛否両論あるようだが、
    非現実的であまり感情移入出来なかったので、
    この結末の方が余韻に浸れて良いと思う。

  • この鉄塔をたどって行ったら、どこに着くのだろう。小学五年生の夏。主人公は2歳下の弟分を伴い、冒険の旅に出る。

    東京電力の送電線「武蔵野線」をただひたすらに遡るひと夏の物語

    全鉄塔の写真を収録。あふれんばかりの鉄塔への愛に圧倒される空前の鉄塔小説。

    最初の単行本は1994年刊行で第6回日本ファンタジーノベル大賞の受賞作。

    その後1997年に新潮文庫版が登場。この年に映画化もされて子役時代の伊藤淳史が主人公を演じている。

    今回読んだのは完全版といわれるソフトバンク文庫版で、これまで不完全だった鉄塔の写真が完全掲載された、マニアックな構成。

  • 鉄塔好きにはたまらない一冊。
    少年の一夏の冒険話としてもいい。
    自転車に乗って鉄塔を巡りたくなる。

  • 名作である。電線の鉄塔が大好きで原子力発電所に行ってみたくて、夏休みに武蔵野線を遡っていく。子供の頃に熱中したこと、日が暮れるのも忘れて探検を続けたこと。そんな無邪気なトキメキを思い出させてくれる。芥川龍之介の「トロッコ」やキングの「スタンドバイミー」のような少年時代の物語は、子供の頃はピンと来なかったけど、大人になって喪ってから読むと耐えられないほど懐かしい。日本ファンタジーノベル大賞受賞作だが、これ以降銀林みのるの書籍化された本が出版されてない。

  • 第6回ファンタジーノベルス大賞を受賞した作者唯一の作品で、映画にもなりました。この本を読むと鉄塔をじっくりと見る事になるでしょう。5年生の少年が夏休みにやったハラハラドキドキの冒険です。鉄塔 武蔵野線1号から81号まで計500枚以上の写真を掲載、ハードカバー版、新潮文庫版、ソフトバンク文庫版それぞれ僅かながらも物語の内容が異なる。残念ながら絶版になってしまいました。

  • 天下の奇書である。
    そして優れた児童文学であり、青春小説であり、幻想文学であり、かつ鉄塔ガイド本でもある。
    残念ながら改稿された結末部分は枝葉にすぎない(必要なかったとも思う)が、それを超えて素晴らしい小説である。

    個人的にはこれでもかというぐらいに子どもの嫌らしさが描かれていて、読みながら爆笑するコトしきりであった。

    後書きにも書かれているが文中の偏執狂的な写真にも注目して欲しい。

    読めばあなたも明日から鉄塔を見上げる日々になろう


    追加

    後書きの中で矢川澄子さんとの交歓の様が記述されている。
    この後起こった悲劇を思うと涙が出てならない。合掌

  • 現実の 冒険物語のようである
    鉄塔の写真が載っている
    変電所所長からの招待状がとても面白い

  • 4〜5

  •  10年以上も前になるのか、映画を見たことがありいつかは原作をと思った作品。
     小5のボク一人では心細く、ともに苦楽を分かち合いたいと誘う二歳下のアキラの存在が大きい。なだめすかしたり、年上をかさに強引だったり、助けたり、助けられたり。
     冒険小説であるととものに、鉄塔の形状の美しさが伝わってくる。送電の塔ならば画一化した形であっても不思議でもないのに、立地であったり、電線が接触しないためにも形は様々。子供視点から立ったネーミングも楽しい。
     時代も変わり武蔵野の景色も変わり、その後の武蔵野線。そんな小説が生まれてもいいなぁ。

  • 少年が鉄塔を順に辿る冒険譚。途中単調になるも、冒険が終わりを告げるシーンはかなりセンチメンタル。読後は鉄塔が目について仕方がなくなること請け合い。ファンタジックな終章も良。

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