カラクリ荘の異人たち 4 ~春来るあやかし~ (GA文庫 し 3-4)

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  • SBクリエイティブ
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797358940

感想・レビュー・書評

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  • あやや、終わってしまった…。
    太一の成長をもっと見守りたかったです。残念。
    素敵なシリーズでした。

  •  色々あって主人公が笑う話。

     結局つきあう相手が化け物であっても人間であっても「同じようだけど違う」という意味では同じ。
     違うっていうことをどう受け止めればいいのか、主人公がそれに気づけて笑えるようになって良かったなと思いました。

  • 最終巻

  • “「おい、兄さん」
    手を放したら壊れる、と太一は思った。
    何だって、壊れるのだ。誰かとの絆とか、関係だとか。そんなものはある日突然、簡単に狂って壊れて、失くしてしまえばもう戻らない。
    確かなものなんて、何ひとつない。
    どうせ失うのなら最初から、他者との関わりなんてなくていい。誰も何も自分には関係ないし、どうでもいい。誰かの気持ちなんてわからなくていい。わかりたくない。
    ――そう、思っていた。ずっと。
    母親との絆すらあんなに呆気なく消えてしまうのなら、他の人間との関係なんてもっと脆いに違いない。だから、いつも心のどこかで信じてなんかいなかった。誰かが、自分のことを想ってくれるなどとは。
    やっとわかった。
    彼の中の傷は、誰の想いももう、信じられなくなっていたことだ。”

    思わず、少し泣いてしまった。
    良い話……なのは間違いないけれど。
    ただ、もう少しシリーズ続けても良かったんじゃないかなぁと。
    終わりをもう少し深くしても良かったんじゃないかなぁと。
    思ってしまう。
    けど、まぁ。
    最後の太一の笑顔が素敵すぎた。
    彼が笑えて本当良かった。

    “「あ、阿川君、今……笑った?」
    「え」
    「笑った?笑ったよねえ。うそ、阿川君が笑った!」
    采奈は歓声のような声をあげる。
    「もっぺん!ね、もっぺん見たい!笑って!」
    もう一度と言われましても。
    でも、采奈の顔を見ているとまた、くすぐったくてたまらなくなった。
    「ふ、ははは……、和泉の顔ったら」
    「え、顔?ヘン?」
    「ヘンじゃないけど……」
    くるくる、くるくると、采奈の表情はなんてよく変わるんだろう。大きな目が動いて、唇を尖らせたり、笑ったり、泣いたり、真っ赤になったり。素直で、わかりやすくて。まるで、子供みたいだ。
    ――今までだって彼女は、ずっとそうだったのに。
    ずっと、彼にありったけの想いをくれていたのに。
    何も気づいていなかった。気づいていないふりで、逃げていた。――怖かったから。
    想いを受け取って、でもそれが壊れてしまうことが、とても怖かったから。
    太一の心を覆っていた不透明な薄い殻がゆっくりと剥がれて、世界が急に鮮明になっていく。
    これまで受け取ることを拒んでいた想いが、胸に沁みていった。
    大丈夫。もう、怖くない。”

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著者プロフィール

大阪生まれ。『出てこい!ユーレイ三兄弟(ブラザーズ)』でデビュー。ファンタジーとホラーのジャンルで活躍。「封殺鬼」シリーズ 、「カラクリ荘の異人たち」シリーズ、「九十九字ふしぎ屋 商い中」シリーズ、「あやかし同心」シリーズほか、著書多数。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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