逆境力 貧乏でコンプレックスの塊だった僕が、あきらめずに前に進めた理由 (SB新書)
- SBクリエイティブ (2021年2月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797394535
作品紹介・あらすじ
米ハーバード大学を卒業し、知性と明るい性格を持ち味に日本で大活躍の「パックン」こと、パトリック・ハーランさん。現在は東京工業大学の非常勤講師まで務めておられます。順風満帆に思えるパックンですが、実は子どもの頃は経済的に困窮し、コンプレックスを抱えていたそう。
本人曰く「ド貧乏」。ド貧乏な子ども時代から、ハーバード大学を卒業され、日本のお笑い芸人から大学講師になられるまでのパックンの「格差逆転の生き方術」をまとめたのが本書。
「生まれた環境ですべてが決まってしまうような人生で、本当にいいの?」
パックンの答えは「NO!」
勉強でもお金のやり繰りでも仕事でも心の持ち方でも、貧乏には貧乏なりの戦略がある。
何より、貧乏には「貧乏力」という人一倍がんばれる力がある。
日本の「子どもの貧困」の現状も丹念に取材しながら、パックンがこれまでの人生で培い、編み出してきた知恵と努力の結晶「格差逆転の生き方術」を初公開します。
感想・レビュー・書評
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パックンを見る目が変わった!
裕福な家で育ち、品がよくて賢いエリートのイメージだったけど、もちろん上品だし賢いんだけと、離婚による母子家庭で貧乏生活を送っているとは思いもしなかった。10歳から毎朝新聞配達のバイト、いつも空腹、文房具も買えないなんて、あのパックンからは想像できない。
パックン少年は貧乏であることに怒りもしたけど、生活のなかで楽しみを見つけ、努力し、他人の助けを素直に受け入れ、母を思いやり、たくましかった。
真の強さや生きる力を見せつけられた気がした。
高校時代にレポートでCをつけられたときの話は涙が出た。
自分より高い評価をもらった同級生のレポートを読んだパックン。
自分のほうがうまく書けていると思い、先生に抗議に行く。
そのときの先生の言葉(P135)
「これは周りと比べた結果のCではなく、あなたの中でのCです。パトリック、あなたが難しい状況にあることは知ってます。毎朝、新聞配達をしていることも。それでも、あなたは、もっとできるはず。にもかかわらず手を抜いたものを提出したから、Cをつけたのです」
「あなたは経済的に恵まれていないけど、一方ではすごく恵まれているということを忘れてはいけません。神から多くを恵まれた人は、それだけ多くを求められます。あなたには、神からの恵みを生かす義務があるのです。無駄にしてはいけません」
誰かに手をさしのべるとき、優しさだけでなく厳しさも大切なんだな。
そして受けとる方も、厳しさの奥にあるものを感じとる力が必要。
経済的に苦しい人もそうでない人も、何かに踏ん張っている人も、いつも踏ん張りきれない人も、今ある状況が辛い人もそうでない人も、大人も子供にも読んでほしい。
圧倒的に強い相手に勝負を挑む力士の試合を見るような、応援しながら逆に力をもらえるような本だった。
こういう本を読書感想文の課題図書にしたらよいのでは?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先進国の相対的貧困が、子供の成長過程における人格形成へ与える影響を指摘しています。
また色々な人と出会い頼ることにより、気づき感じる事が重要で、それにより子供は目覚め、自身で考えるようになることをご自身の体験から説いています。
貧しさが子供の心に劣等感を持たせますが、将来の姿やそれに対する希望を見せることができれば、前向き感を持った行動を取るように変化してくると、キッズドアの事例から紹介しています。
著者に対する私自身のイメージは、ハーバード大学をご卒業され、良家の出自で片手間に日本で生活されていると思っていましたが意外でした。
本書は米国人である著者の日本への愛情のある提言で、これからの日本人に取って必要な考え方であると感じた良書でした。
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貧乏だったパックンがどのように大人になったか、何を考えていたか、それを知り、踏襲できないかと考え、本を手に取りました。
ご自身の半生のみでなく、日本の貧困についても書かれており勉強になりました。
「dollar street」
世界各地の暮らしの写真を掲載している写真では、貧困家庭から裕福な家庭が閲覧できました。
私より持ってるものは少なくても生活できることを知るというのは不安を取り除くには良いかなと思いました。
また、相対的貧困という言葉を知り、世界で見れば貧困で無いけど、日本で住むなら貧困だよねということもあると知りました。
日本財団の第3の家など、貧困家庭の子供を支援する活動があることを知りました。
私は貧困家庭では無かったけど、もっと色々選択肢があったよなと大人になって知ることが多かったです。
子供には選択肢が沢山あることを伝えたいと思いました。
・これは買えない。じゃあどうするか?
・まずは自分の暮らしを守り、他者を支援する
この2点の考えを大切にしたいと思いました。 -
今やテレビで活躍しているパトリック・ハーランさんだが、学生時代は大変貧しい生活をしており、たくさんのバイトを掛け持ちしたり穴のあいた靴を履いていたり母親は毎日同じスカートを履いていたりした。そんなことは想像もできないが、その頃の貧困生活があるから今の自分があるとハーランさんは語る。日本の子供の貧困は目に見えないことが多いが、人知れず悩みを抱いたりコンプレックスを持っている生徒はいると思うし、そうでない生徒にも、チャンスは誰にでも転がっていることを知ってもらうためにはよい本だと思う。
[NDC]S-369.4
[情報入手先] 新聞書評欄
[テーマ]フリーテーマ -
日本も貧困層けっこういるんだなぁと思った。身近にはいないから勉強にはなった。お金があれば何でもできるが、貧乏だったらそれを理由に選択肢が狭まることも事実。人間どんな時でも頑張らないといけないんだなって思った。私も貧乏根性でもっとがんばらなくちゃっ
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学び
少子高齢化の進む日本で、貧困家庭のこどもの食や勉強をサポートし育むことが日本の生産力アップにつながる。 -
パックンが好きなので、借りてみた。日本では途上国とは、違った問題がある。1000円に困る人の相対的貧乏の問題が軽視されがち。貧乏は自分のせいだという意識が、根強い。自分だけ買えない、遊べないのは、卑屈な性格、人間関係の歪みとなり、将来の低所得にもつながる悪循環。家族旅行や大学進学は贅沢ではない。自分の居場所や楽しかった思い出は子供に必要なもの。
貧困の問題は興味がなかったけどこの本で興味が芽生えた。子どもの貧困の解決は、ローリスクハイリターンの投資。
貧乏だった人はお金を持つようになると、ここぞとばかりにステータスをひけらかすためにブランドものに浪費したりするけど、パックンは違う。自分の所有欲を満たすんじゃなくて社会問題に目を向けているところがすごい。ハングリー精神をいい方向に向けている。お金がなくても自己肯定感がある子どもは大人になっても卑屈にならないで社会に目を向けられる。持ってないことではなくて持ってるものに目を向ける。自分が感謝すべきものに目を向けると、社会への恨みは育たない。逆にどう返していくかしか考えない。 -
日本の7人に1人は相対的貧困。
感謝が大事。 -
世界の貧困国に目を当てがちだが、裕福な国、日本の貧困に目を向けることができました。
逆境を乗り越えてる秘訣は、自分を可愛そがる事をやめてとにかく行動して努力する事だと思います。
そんな勇気を与えてくれた本です。 -
●「自分だけ貧しい」が1番辛い。いわゆる先進国で生じている「相対的貧困」。GDPが高いことが必ずしも幸福度が高いことを意味しません。なぜなら、幸せも不幸せも「相対的に感じるもの」だから。
●日本の相対的貧困。スマホもテレビも洋服もある。外見的特徴を見る限り貧困とは分かりません。しかし塾に行けない、家族旅行に行けない、希望の進路に進めない。
●可処分所得の中央値の半分に満たない世帯。全人口の6人に1人、子供の場合は7人1人が相対的貧困。
●昔は当然のように焼いていた「おせっかい」が消えつつある。子供がひとりでいたら自然と手を差し伸べるような、地域ぐるみの支え合いは薄くなり、かといって外部からの支援体制が十分なわけでもない。その狭間で社会から取りこぼされている子供は存外に多いのかもしれません。
●日本の生活保護制度は、保護を受けながらの大学進学を原則的に認めていません。高校卒業したら働いて家計を助けると言うことが前提になっている。
●運は機会と準備の接点と言う言葉。個人の努力と周りの支えの元で捕まえる準備をしておけば、巡ってくるチャンスを生かせる。それが運に見えるが、皆が手を尽くしたおかげだ。
●神から多くを恵まれた人は、それだけ多くを求められます。あなたには、神からの恵みを生かす義務があるのです。無駄にしてはいけません。
●だから、お金持ちの家の子と貧しい家の子が同じ条件であるはずがない。それは重々わかった上で、「さて、あなたはどうする?」と問われたときに、「周りの助けを借りて頑張ってみたい」と答えられる子供が増えたらいいなと思います。
●奨学金を使った社員に、入社5年目で100万円奨学金返済支援制度を導入する会社。