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- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797498233
感想・レビュー・書評
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武田泰淳の『ひかりごけ』のモデルとなった事件の真相を15年の歳月をかけて取材したノンフィクション。
第一部の『裂けた岬』での鬼気迫る船長の告白に何もかも忘れて、文字を追い掛ける自分が居た。人間として犯してはいけない禁忌を犯してしまった船長の背負った十字架…
第二部では『ひかりごけ』の背景と事件が歪められて伝聞された謎に迫る。
『裂けた岬 難破船長食人事件の真相』と『知床に いまも吹く風』を合本し、加筆・修正。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦時中の日本で実際に起きた食人行為を扱った本です。2部構成で、第1部は食人という禁忌を犯してまで生き延びた男性が戸惑いながらも事のあらましを語っていく展開で、そこには『ヒト』としての本能、『人間』としての苦悩、『臣民』としての悔恨が入り乱れ、生半可な気持ちではとても読むことはできません。第2部は、この出来事を外から見たもので、特に真実が埋もれたまま創作が一人歩きし、それが事実となっていき、男性を苦しめる事になる過程は、当時の状況を差し引いたとしても、現在に共通するところが多いのではないかと感じました。
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