グローバル・インテリジェンス・ファイル

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  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797670929

感想・レビュー・書評

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  • 発行直後に購入したので、約9年ぶりに再読。時を経て、予測が当たっていること、そうでないこと。
    ~この国が真のグローバリゼーションへの対応をこれ以上遅らせるようであったら、まずは読者一人ひとりが、心のグローバリゼーションを始めてほしい。国がサバイバルできないのであれば、日本人一人ひとりがサバイバルへの覚悟を決めることだ。「日本人」としてではなく、人類のひとりとして、大差の時代を生き抜く覚悟を。~ 正にその通りだと思う。

  • まず、「情報」の英訳について

    普通、学校で英語を学んだ人であれば
    情報 = INFORMATION

    でも、筆者はいう。

    "価値ある"情報というのは

    INFORMATIONではなく、INTELLIGENCEだと。

    なるほどと思った。

    これからの時代は、"INTELLIGENCE"

    僕たちは、いかに"Intelligence"を集めることができるか、

    そういう時代の岐路に立たされている。



    この本はそもそも2003年の出版なので視点が少し古いのですが、

    ヨーロッパや中東、ロシア、アメリカ、中国、日本などの国々を独自の視点から語っている。

    印象的なのは9.11の話。

    あの日を境に、世界各国は変革を求められた。

    犯行声明のない無差別でゲリラに起きるテロ。
    それに対して、様子見などの後手後手の対応に回ってしまっては確実にやられてしまう。
    相手は、自爆テロをしてもいわゆる報われるという心理だからである。
    だから、先手を打つことが必要である。

    確かにアメリカは、イラク戦争においてもサダムフセインの生物兵器を確認する前に攻撃を仕掛けた。
    兵器の発見の情報は出回っていた、しかし発見はできなかった。そんな中に攻撃を開始したため、当時は批判が飛び交っていたが、それは9.11の反省を生かした行動なのである。
    やられる前に、行動を起こす。
    そして、被害は最小限に(首謀者近辺のみ)

    そういう考えに基づき、攻撃を仕掛けたのです。

    ある視点から見れば、正しい攻撃だったと。

    フセイン政権の元のイラクといったものが知りたければ、この本を読むことをオススメします。
    アメリカの早い段階での爆撃にも少しは納得できることでしょう。


    震災から1年が経過した今、未だ9.11から変わることのできていない日本を当てにするのではなく、
    僕たち国民が震災復興支援に向けて先手を打っていくことが大切。

  • 以下、概要。

    ○ インターネットにアクセスすれば、「何でも分かる」と思い込んでいる。

    キーボードをたたけば、誰でも入手できるようなデータは、「情報」ですらない。

    例えば、国際情勢を読むのに必要な情報のことを英語でなんと訳すか。

    答えは、インフォメーションではなく、インテリジェンスである。

    CIAの「I」は「Central Intelligence Agency」であるし、
    SISも「Secret Intelligence Service」の略である。

    少なくても国家機関が「情報」として価値を見出しているのは、「インフォメーション」ではなく、「インテリジェンス」である。

    データを羅列しただけの「インフォメーション」には情報としての価値などない。

    その「インフォメーション」に人間の知性を加味したときに初めてそれは生きた情報になる。

    ○ 9.11

    イラク戦争までアメリカは、外国との戦争で本土を戦場にしたことがない。

    どんな敵と戦おうとも、アメリカ本土は難攻不落の砦であるはずだった。

    その砦がよりによって自国の民間飛行機によって攻撃された。

    アメリカ国民にとってこれほどのショックはない。

    イラク人にしてみれば、テロは日常茶飯事である。

    その恐ろしさを盟友であるアメリカにもっと切実に理解してもらいたかったのだろう。

    国連決議を経ずにイラクを攻撃したアメリカは、「一極主義」との批判を浴びたが、現在の国連はもはや死に体。

    UNとは「United Nations」ではなく「United Nothing」の略であると思われる。

    こんな国連の決議なんて待っている暇も理由もない。

    しかし問題は、なぜアメリカほどの情報大国があれを未然に防げなかったのか。

    CIAもFBIも実は事前に情報はつかんでいた。

    しかし情報が各セッションで止まってしまい、ひとつにまとまらなかった。

    このようにCIAやFBIの能力が以前と比べて格段に低下している。

    特にCIAは、イラクへの攻撃が始まり、テレビに登場したサダム・フセインを、世界中のほとんどの情報機関が偽者のサダム・フセインだと判断したにもかかわらず、本物だと判断するほどの能力のなさ。

    なぜ間違えたかというと、偽者フセインを捕まえた後、フセインを知り尽くしているイスラエルのモサドに問い合わせた。

    CIAの問い合わせに対して、モサドは「本物である」と答えた。

    しかし、モサドはそれが偽者であることはとっくに承知していた。

    しかし、本当のことを話すと、イラク国内にいるエージェントが「リーク」の罪で、テロによって殺されるので、虚偽の情報をCIAに流したのである。

    そもそも、この「イラク戦争」は、正式には「第2次湾岸戦争」と呼ぶべき。

    1991年4月に採択された国連安保理決議687はあくまで、「停戦条件」であり、「終戦条件」ではない。

    第一湾岸戦争と第二次湾岸戦争はどこが違うか。

    アメリカの指導者は、前回も今回もジョージ・ブッシュ。

    ブッシュ家のシニアからジュニアへと受け継がれた。

    違いは、戦争そのものを実際に取り仕切った、軍の総責任者だ。

    当時の参謀はコリン・パウエルである。

    大量の兵器、兵隊、物資を投入して、相手の士気をくじくのが彼の戦術である。

    一方、今回の国防長官ラムズフェルドが示した戦い方は、「できるだけ少ない人数で」「できるだけ早く」「できるだけきれいに」敵を制圧するということになる。

    例えば、今回の第2次湾岸戦争はマスメディアの関係者が大量に動員された。

    これは「できるだけ早く」終わらせるための手段である。

    記者が戦場に入ることを許し、軍の一員として積極的に活用した。

    それは、「敵に、自分たちの追い込まれた現状を悟らせること」によって戦争に貢献したといえる。

    早期の降伏を勧告するために、映像や報道によって、いかにイラクの首都、バクダッドが攻め込まれているかを思い知らせるためである。

    さらに、あれだけの規模の戦争は、わずか26日で片付いたし、

    あの規模の戦争で、英米軍に160名の死者しかでなかったことは信じられない。

    イラク側には、兵士と民間人合わせて7000人ほどの犠牲者がでたけど、数万人の死者をだした第一次湾岸戦争に比べれば、激減。

    彼の「少人数で」「早く」「きれいに」という目標は達成されている。

    ハイテク兵器の進歩は世界でもアメリカがずば抜けており、ラムズフェルドが目指している究極の戦術は、戦場にロボットを投入するというもの。

    そうすれば、死者もでない。

    ここまでくるとSF映画だけど、近いうち成功するほどの技術力を有している。

    この戦争後、イスラム社会全体が反米一色に染まっているように思えるが、実はそうじゃない。

    若い世代を中心に、「われわれが不幸なのは、為政者による独断体制に原因がある」ということに気付き始めている。

    そのことさえわかれば、アメリカは、イラクの民主化を絶対に成功させなければならない。

    もうアメリカ国内では、イラクに大量破壊兵器があったかどうかということがそれほど問題視されていない。

    フセイン政権下のイラクは、生まれた子供の5人に1人は餓死してしまう。人々が「戦争は、子供が犠牲になる」という理由で、反戦を唱えるのは、少しおかしい。

    今回の戦争でも子供の犠牲は出たが、今までのイラクではその何十倍のもの人数の子供が死んでいた。

    そんな苦境からイラク国民を救うには、ブッシュも口にした「政権交代」がなによりも必要だった。

    ○ 中国

    中国が世界に追いついたのは経済だけ。

    それ以外の部分では世界の常識が分かっていない。

    広東省では、2002年11月の時点で、すでにSARSによる2名の死者が出ている。

    国際社会の一員としての責任を果たす意思があるならば、すぐに国連の世界保健機構(WHO)に報告すべき事態。

    ところが、中国は、それを翌年の3月まで隠し続けた。

    中国政府が早期に公表しなかったために、被害が世界中に広まってしまった。この罪はきわめて大きい。

    中国共産党が重大事を公表しない理由は、人々がパニックを起こすことを恐れているため。

    中国はご存知の通り、様々な民族が一緒に暮らしているところなので、その民族たちがバラバラになってしまうのをものすごく恐れる。

    「中国統一」というのを常に意識している中国にとって、「分裂」してしまうような話題はできるだけ表に出したくない。

    1997年にイギリスから香港を返還された後、50年は1国2制度を続ける約束だったが、10年もたたないうちに我慢できずに、セディション・アクトという法律を持ち込もうとしている。(2003年)

    これは反体制的な思想を弾圧するための法律で、令状もなしで誰でも逮捕できる法律。

    香港でこれに反対する50万人規模のデモが起きたこともあって、さすがの北京政府も恐れをなして導入を延期することにしたが、こんな法律を持ち出すこと自体が時代錯誤。

    もし中国が完全に民主化され、共産党による締め付けがなくなったら、その翌日には10万人を超える宗教団体と、50万人を超える政党ができるに違いない。

    漢民族が圧倒的多数を占めているとはいえ、今の中国には56もの民族がひしめきあっている。

    共産党の支配無しには統一されるはずがない。7つぐらいの国に分裂してしまうだろう。

    共産党独裁を続けながら、世界に適用するためには、

    1、 世間並みの法治国家を目指すこと。
    2、 閉鎖的な体質を捨てて、情報をオープンにすること。

    中国は「人治国家」。人間の恣意的な判断で物事が決まる。

    たとえ法律があっても解釈次第でどうにでも運用できるし、それ以前に、普通はどの国にもある法律が整備されていないこと珍しくない。

    しかし、法治国家にするには大きな壁が。損をする人間が出てくるのだ。

    損をする人間とは、現在「治」を行っている「人」のこと。

    人治国家で目的を達成させようと思ったら、決定権を持っている人間とコネを作るのが一番。

    当然権限を持っている支配層はそれで私腹を肥やすわけだから、法治国家になってしまったら、収入が減る。

    喜んで法律を受け入れるわけがない。

    この腐敗体質があるために、中国の統計は全く信用できないデタラメなものになっている。

    中国には「天井統計」という言葉がある。

    たとえば、小麦の生産量を本部に報告するとき、担当者が見つめるのは数字を記した書類ではなく、じっと天井を見上げて、しばし考える。

    そして書類には10万トンと書いてあるが、「よし、20万トンにしておこう」と決めてしまう。

    それを本部に認めてもらうために、裏金を払わなくてはならない。

    担当者の思いつきと懐具合ひとつで、数字が青天井になるというわけ。

    こんな統計が通用するのは、国内だけで、国際社会がそれを受け入れるわけがない。

    年間8%といわれる成長率は、正確な統計から出せばせいぜい4〜5%。

    天井統計を使えば、世界から信用されないが、実体を見せると、世界に失望させてしまうという厄介なジレンマを持っている。

    もう1つ、中国の国際的な信用を大きく損なっているのが、不良債権。

    銀行が抱える不良債権といえば、日本も深刻だが、中国は日本の比ではない。

    赤字を垂れ流す国営企業に4大銀行がジャブジャブ資金を与えてきた結果、貸している金の25%が不良債権化しているといわれていた。

    しかし、中国人民銀行(中央銀行)の総裁が30%と確信した。

    スタンダード&プアーズは中国の不良債権は5180億ドルと見積もっている。

    これは中国GDPの50%以上。

    なぜ不良債権がこんな状態になってしまったかというと、中央の人間が誰も正確な数字を把握していなかったから。

    自らの保身を図るために、天井統計を積み重ねていった結果、国そのものの土台が揺らいでいる。

    これが人治国家の限界。

    また、中国が抱えている問題はこればかりではない。

    貧困の格差である。

    中国の農民は貧しいといったって、テレビはある。

    そこには上海の高層ビルや香港の絢爛たる夜景など、同じ国とは思えない風景が映っているわけで、内陸部の人々が自分たちの疑問を抱き、不満を募らせるのは当たり前。

    その不満の矛先を日本に向けているのも、全く恐れ入るが。

    そのため、内陸部のものは沿海部に怒涛のごとく押し寄せた。

    その大半が、一人っ子政策によって、国籍を持たない、いわゆる「闇っ子」である。

    中国の公式人口は13億とされているが、実際には15億以上となっている。

    沿海部(上海市・トップ)と内陸部(貴州省・ビリ)の一人当たりGDPの差は、10倍程度となっている。

    ○ 北朝鮮の核保有をアメリカより嫌がっているのは、中国。

    中国が嫌なのは、北朝鮮が核を持つことによる日本の反応。

    今まで日本では、非核三原則によって核兵器をもたなかったかが、北朝鮮の核問題によって、国内に核武装を容認する声が起こり始めている。

    もし日本が世論のコンセンサスを得て開発に乗り出したら、核保有国になるまで1週間もかからない。

    技術はすでにあるし、使用済みの核燃料も処理に困っているほど日本にある。

    ヨーロッパよりもよほど優秀なデリバリー・システムを作ることが可能。

    さらに日本は、アメリカが開発中のミサイルディフェンス(MD)を買うだろう。

    ミサイルディフェンスとはその名の通り、ミサイルでミサイルを打ち落とすこと。

    日本のミサイルディフェンスが届くのは、北朝鮮だけでなく、中国にも張られる。

    それは絶対に避けたいと中国は思っている。

    中国が見据えているのは、数十年後に想定しているアメリカとの最終決戦だ。

    中国がさまざまな問題を乗り越えてこのまま力をつければ、必ず最後にアメリカとぶつかることになる。

    アメリカと中国が似ているのは、どちらも「自分たちが世界一でなければ気がすまない。」という点である。

    ○ CIAが「2015年には日本は先進国の座から転落する」と発表している。

    アメリカが他国の将来に関してネガティブな予測を公表するのは、極めて例外的。

    おそらく、日本はアメリカ国債の40%を持っていることもあって、その先行きは隠すべきではないということだろう。

    日本が沈めば、アメリカも多大な影響を受けるから、自国内に警告を発する意味で公表したに違いない。

    日本は、口では危ない危ないといいながら、その危機をさけるためにやっていることが中途半端なものばかり。

    今の日本を救おうと思ったら、ソフト・ランディングはありえない。クラッシュ・ランディングにかける以外に、助かる方法はない。

    クラッシュ・ランディングとは、要するに、全員を助けるのは不可能だということ。

    80人分の食料があったときに、100人いるなら、20人を見捨てようということである。

    まず、ダメな企業を徹底的に潰すことからはじめなければならない。

    その意味でダイエーは重要な試金石だったが、結局、ダイエーを潰さなかった。日本の将来については悲観的にならざるを得ない。

    ○ 日本の外交の先行きを考えると、最後に迫られるのは、アメリカにつくか、中国につくかという一点だけ。

    思考もシステムも価値観も違う中国につくのは論外。日本と中国に共通しているのは肌の色だけ。

    現在でも、日本は中国の中距離ミサイルの標的となっている。

    これまで中国に莫大な経済援助を与えてきた日本が、かの国のミサイル攻撃の標的となっている事実は皮肉そのもの。

    この日本と中国の「最終戦争」のために、日本という国がアメリカと「合弁」するのもありえることである。

  • ちょっと前だけど、イラク戦争の時の世界の力関係が、やっと判った本。

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