- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797674279
作品紹介・あらすじ
山上徹也のものとされる全ツイート1364件を精査
山上徹也は、2019年10月13日から「silent hill 333」のアカウント名(2022年7月19日に凍結)で、ツイッターへの投稿を始めたといわれている。そのツイートから見えてくるのは、家族そして人生を破壊された「宗教2世の逆襲」という表層的な理解にとどまらず、ロスジェネと呼ばれる世代に共通する絶望感、悲壮感であった。気鋭の政治学者と社会運動家が、山上の悲痛な叫びから、この30年の現代日本の重い問題をあぶり出す。
●山上徹也のものとされるツイート
【ジョーカーという真摯な絶望を汚す奴は許さない(2019.10.20)】
【オレを殺したのは誰だ(2020.1.18)】
【オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた(2020.1.26)】
【残念ながら氷河期世代は心も氷河期(2021.2.28)】
【1フォロワーしかいない素晴らしき自由(2021.3.28)】
【最後まで生き残るのは搾取上手と恥知らず(2021.12.8)】
●宗教2世の政治学者×「100人の村」著者
山上徹也と同世代であり、自身も宗教的な環境を出自とする政治学者の五野井郁夫と、社会運動家でもある池田香代子が、山上徹也のツイートをそれぞれの視点から分析、彼の内なるジョーカーへの共感やネトウヨ的な傾向をひもとく。
巻末には山上徹也のツイートを抜粋して時系列で収録。山上徹也がツイートで触れている映画、音楽、書籍などの「エンタメリスト」、現代日本を理解するための用語の解説や年譜も掲載。
≪著者略歴≫
●五野井郁夫(ごのい いくお):1979年、東京都生まれ。政治学者・国際政治学者、高千穂大学経営学部教授。東京大学大学院総合文化研究科国際社会学専攻博士課程修了、博士(学術)。専門は民主主義論・国際秩序論。2013年ユーキャン新語・流行語大賞で「ヘイトスピーチ」がランクインした際に顕彰。著書に『「デモ」とは何か 変貌する直接民主主義』(NHKブックス)、共編著に『リベラル再起動のために』(毎日新聞出版)など。「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人も務める。
●池田香代子(いけだ かよこ):1948年、東京都生まれ。ドイツ語翻訳家、社会運動家。東京都立大学卒業。著書に『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)、翻訳に『夜と霧』(みすず書房)、『ソフィーの世界』(NHK出版)など。映画『ベルリン・天使の詩』などの字幕も担当。YouTube番組「デモクラシータイムス」内の「池田香代子の世界を変える100人の働き人」では司会を務める。
感想・レビュー・書評
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I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない
山上徹也が聞いていた鬼束ちひろの月光を久々に聞いてみた。京大卒の父は自殺。兄は病気で失明し、兄も自殺。祖父の会社は倒産。母はこうした環境に耐えられず、父の生命保険金を統一協会につぎ込んだ。山上は高校までは進学校に進んだが、こうした状況で大学に行けず。非行に走るでもなく、真面目な優等生がプレカリアート化していく。
宗教組織さえも利用する、政治家を射殺した。
そこが本来の敵ではない事にも山上は気付いていた。インパクトはあるが、闇は壊せない。人の苦しみに漬け込んで金銭提供を煽る根本の組織は崩せない。それでも尚、許せない。二つとも明るみに出して、世論に問うのだ。父と兄を追う前に。
一体彼の何がわかったつもりで、外野から正義を語れるというのか。勧善懲悪や二元論、一般論や正論で語れない複雑な世の様を、我々読書家は理解するために本を読んでいるのではないか。純文学は、そうした人間の過ちや弱さ、葛藤や極限を疑似体験させる。殺人の良し悪しを語るのは分かりきった事で、この本を読む上では必要のない前提だ。
切ない。自分だったらと考える。
ロスジェネ。そして、鬼束ちひろの詩。報われない、世界に堕とされた、失うものさえ与えられぬ、這い上がれぬ、持たざるもの。そして、それを無敵の人と形容する軽薄な世を呪うしかない、そのカルマを考える。心が吼える。 -
池田氏はあべしねの人で五野井氏は名前すら知らなかった。
池田氏に比べると五野井氏のぶっ飛び具合は別格。
「生きながらにして延々と炎に焼かれ続ける地獄のような日本」が元凶と言う。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/499597855.html -
統一教会を軸に殺された者と殺した者とがあまりに対照的な立場だったため、どうしても構造的に運命論的に解釈してしまいがちになる本件。しかし彼の転落は本書を読んでも個人的事情も大きく感じられ、ロスジェネを主因とするこの本の論はやや一方的な気もする。しかし抜粋とはいえ、山上容疑者のツイートを重要なものと思われるものを一次資料化してくれたのはありがたい。
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ロスジェネ論。
山上徹也に友達がいれば、安定した雇用と収入があれば、彼はただのネトウヨ的なおじさんであれたのかもしれない。安倍も死なずに済んだ。
人としての尊厳とは何か。 -
山上徹也のものとされるTwitterの投稿から、彼の犯行に至った背景や思想を読み解いていくという趣向の本。
本当は助けが必要な宗教二世であったにもかかわらず、周りからの支援はなく、氷河期世代の身に染み付いた自己責任論で努力をしてもうまくいかず追い詰められ、映画『ジョーカー』に出てくるアーサーに共感しつつ、凶行に及んだという。
そういう部分もあっただろうという反面、内容は極めて薄く(必要ないような簡単な用語にまで脚注が多用されている。)、事件から日が浅い今だからまだ読めるけど、わざわざ本にするまでもなかったように思う。
山上徹也はネトウヨかというと外れるような投稿があり、インセルかというと自ら拒否する態度を示しているという分析は、そりゃ普通そうだろと思う。
あと、何でもかんでもロスジェネで説明しようとするのにも無理があると思う。大体氷河期世代以降は嫌韓又はKポップ好きに二分されているとか、そんなわけはなく、ネットの見過ぎである。 -
著者:五野井 郁夫
著者:池田 香代子
2023年3月24日発売
定価:1,760円(税込)
四六判/176ページ
ISBN:978-4-7976-7427-9
山上徹也のものとされる全ツイート1364件を精査
山上徹也は、2019年10月13日から「silent hill 333」のアカウント名(2022年7月19日に凍結)で、ツイッターへの投稿を始めたといわれている。そのツイートから見えてくるのは、家族そして人生を破壊された「宗教2世の逆襲」という表層的な理解にとどまらず、ロスジェネと呼ばれる世代に共通する絶望感、悲壮感であった。気鋭の政治学者と社会運動家が、山上の悲痛な叫びから、この30年の現代日本の重い問題をあぶり出す。
[https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-7976-7427-9]
【目次】
プロローグ 山上徹也の言葉をわたしたちは読まなければならない-池田香代子
第一部 五野井郁夫×池田香代子 新自由主義とカルトに追い詰められた〝ジョーカー〟のツイートを読み解く
第二部 山上徹也、あるいは現代日本の肖像 - 五野井郁夫
第三部 山上徹也ツイート全1364件 完全分析
◆山上徹也と日本の「失われた三〇年」 年譜
◆ツイートに見る 山上徹也が言及した作品リスト -
山上被告の考えに共感出来た
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登録番号:0142409、請求記号:368.61/G63
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ツイートを解釈・分析、みたいな感じ。
<書評>『山上徹也と日本の「失われた30年」』五野井郁夫・池田香代子 著:東京新聞 TOK...
<書評>『山上徹也と日本の「失われた30年」』五野井郁夫・池田香代子 著:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/261712?rct=shohyo