- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797680676
作品紹介・あらすじ
物理学者の頭のなかは、どうなっているの?
物理学者は研究だけでなく、日常生活でも独自の視点でものごとを考える。著者の「物理学的思考法」の矛先は、日々の身近な問題へと向けられた。
通勤やスーパーマーケットでの最適ルート。ギョーザの適切な作り方、エスカレーターの安全性、調理可能な料理の数…。
超ひも理論、素粒子論という物理学の最先端を研究する著者は、何を考えて学者になったのか? レゴを愛し、迷路づくりに勤しむ少年時代。数学の才能の無さに絶望し、物理学の面白さに開眼した大学時代。思考に集中すると他のことが目に入らず、奇人扱いされる研究者人生…。
超ひも理論、素粒子論という物理学の最先端を研究する学者の発想は、日常をまさに異次元のものにしてしまう。
面白く読み進めながら物理学の本質に迫る、スーパー科学エッセイ。
【本文より】
皆さんの周りでは、いろいろな問題が日々発生しているでしょう。そして、解決に頭を悩ませているかもしれません。物理学は、現象に現れる問題の原因を見つけ、問題が起こる仕組みを論理的に考え、そして問題のないシステムを提案する学問です。ですから、物理学でふんだんに用いられる物理学的思考法が、皆さんのお役に立つかもしれないのです。
皆さんは、発想の転換を必要としているかもしれません。物理学的思考法は、現象をまったく異なる視点から見る、ということを含みます。この本で取り扱っている「異次元の視点」が生む発想の転換は、皆さんの人生を豊かにしてくれるかもしれません。
皆さんが教育に関心をお持ちなら、お子さんの論理力や理系力を教育しこれからのビッグデータの時代を生き抜いてほしいと思われるでしょう。科学者になりたいと希望する小学生も大変多いようです。この本には、私個人がどうやって科学者になったか、つまり物理学的思考をどう培ってきたか、が書かれています。
【内容】
第1章 物理学者の頭のなか
エスカレーター問題の解/無限の可能性
経路積分と徒歩通勤/スーパーマーケットの攻略
時間は2次元?/ギョーザの定理 ほか
第2章 物理学者のつくり方
数学は数学ではなかった/レゴと素粒子物理
迷路を書きつづける/シャーロック・ホームズ
鉄道から宇宙へ/別人格の自分に出会う ほか
第3章 物理学者の変な生態
奇人変人の集合体/理学部語
歩数計を欺く/踊る数式
ニンニクの微分/研究という名の麻薬 ほか
【著者略歴】大阪大学大学院理学研究科教授。1973年生まれ、大阪育ち。専門は理論物理学、超ひも理論、素粒子論。1995年京都大学理学部卒業、2000年京都大学院理学研究科修了、理学博士。東京大学、理化学研究所などを経て現職。著書に『超ひも理論をパパに習ってみた』『「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた』、共著に『ディープランニングと物理学』(すべて講談社)など。
感想・レビュー・書評
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本書の読者対象は中学生以上で、日常の身近な話題が多いので取っ付き易いといえる。
だが「すごい思考法」というタイトルは本書に合っていなくて、何でも物理法則と結び付けちゃう悪癖があるというだけ。
何の役にも立たないことを悶々と考えて自己満足に浸っている著者は、身近にいれば「うっとうしい」or「めんどくさい」奴だと思う。
軽くあしらっている奥さん、エライ!
本書はあまり堅苦しく考えずに物理バカの思考回路を笑い飛ばす感じで読めばいい。
つまらない話題もあるので、そこは読み飛ばせばよい。
しょっぱなは、「エスカレータ上で歩かないようにするにはどうしたらよいか?」という問題を考えるエッセイだ。
幾つか解決案(段差を大きくするなど)を考えていた時に香港で目撃したのが、人々がエスカレータ両側にきちんと立っている情景。
そのエスカレータに乗ってみて理由が分かる。
日本のエスカレータと比べて明らかに"速い"ので歩こうという気が起きないのだった。
私は科学者ではないが大学は物理学科で、著者ほど極端ではないが(文系とは違う)同類の思考癖があるかもしれない。
花はなぜ綺麗か。葉っぱはなぜ緑なのか。緑が嫌いな理由があるから緑の光を反射するのだ。な~んて考える所は同じだ。
また、好きな画家がエッシャーというのも同じだ。
3月生まれで、小学校の時は一番背が低かったのも同じ。
筆者には物理オタクの変な奴という印象を持ったが、少しだけ親近感が湧く(同種の人間に見られたくはないが、、)。
シャーロック・ホームズは科学の素晴らしさを広く世界に伝えているらしい。
芦田愛菜もホームズのファンみたいで愛読書に挙げていたし、自分も早く読まなくてはと思った。
自分で問題を設定して自分で解く。世間はそれを研究者と呼ぶらしい。
自分は問題を設定することはできたが、自分で解くことができなかった。だから研究者にはなれなかったんだなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物理学者のエッセイ
概念とか理論が分かればハマるのだろうな
なんとなくのエッセンスしかわからず、モヤモヤ
でも本気で考えて答えを見つけたら脳内麻薬が出まくるのだろうな -
日常生活で、物理学者が思い浮かべるいろんなことを見える化したエッセイ集。
常日頃から、世の中の法則を解き明かすべく、考え続けている極端な人たちの生態を観察できる。想像できない展開なので、著者に委ねてただ読みすすめるだけだ(褒めているのです。こんなふうに世の中を眺めている人がいるんだなぁ〜)。 -
物理学科卒の自分からすると共感出来る部分がたくさんあったが、本物の理論物理学者は度が過ぎる。
ただ、そんな物理学者の考えた推論も経験論に基づく奥さんの理論には一歩も二歩も及ばないないというのが面白い。妻は偉大だ。 -
数学と算数の表現
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何かに没頭するというのに、私はよく憧れる。
物理学に没頭するなんて、限られた人だろうし、頭も良くないといけないだろうし、こういう人っていいよなぁと、よく思っていた。
でも広くいえば、人生そのものに没頭してればいいんですよね。
別に何かひとつに没頭する必要もない。
それにしても物理学者の思考は、曰く「役にはたたない」かもしれなくとも「常識を逸脱する」という点においては、よい思考だと思いました。 -
タイトルに、自ら'すごい'と形容する思考法につき、著者自身の経験を踏まえて、平易に説明していく。まず物理学者の頭の中がどうなっているのか、どんな思考をしたがるのか、次にそんな思考プロセスをもつ人間はどのように作られていくのか、最後に、出来上がった物理学者の変な生態を紹介している。身の回りの出来事に対して、モデル化して解析したい欲求が強いことがわかり、生活感から乖離しがちな行動を、奥さんのストレートな一言で現実に戻される、その雰囲気がいい。
物理学は数学により補完され、数学は物理学により具象化される、そんな両者の関係がお互いを高みへと導いていくことだろう。 -
物理を学んだ端くれとしてはとても興味深く読めた。私も納得する場面もあり、学生時代に戻った感覚になる。
時々登場する奥さんの秀逸なツッコミにどんな方なのか興味がわく。