日本はもはや「後進国」

著者 :
  • 秀和システム
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798060217

作品紹介・あらすじ

日本の世界競争力ランキングの順位は63カ国中30位(IMD調べ)、平均賃金はOECD加盟35カ国中19位、相対的貧困率は39カ国中29位、教育に対する公的支出のGDP比率は43カ国中40位(いずれもOECD調べ)など、データを参照すると、世界有数の先進国というイメージとは大きく異なった日本の現実がみえてきます。
その原因は様々ですが、もっとも大きいのは、日本の労働生産性が相対的に低い水準のまま伸び悩んでいることです。本書は、日本の豊かさのカギを握っている「生産性」という概念について、できる限りわかりやすく解説したものです。そのうえで、どうすれば生産性を上げ豊かな社会を実現できるのか、その道を指し示します。

感想・レビュー・書評

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  • いろいろショックなことが書いてありますが、現実は受け止めた上で、できることから改善しなければならないと感じました。

  • 凄く同感。昨日読んだ石井光太氏の内容と微妙に被さって、日本が直面している問題点が詳らかになっている。沈みかけた船なのかな?

  • 長期的な経営と流動的な雇用体系が重要。

    「日本の雇用者で自己学習している人の割合は33.1%」

    日本の社会人が諸外国と比べて全く自己学習を行なっていないことに関して、そもそも就職以前に勉強熱心な大学生さえも少数派である日本の現状に問題があると感じた。

    個人的には、日本の競争主義が大学受験で終わってしまう事に問題があるように思える。

    職場環境に不満を感じている日本人にとっては、より良い職場に転職しようという心持ち(+努力)が重要なのでは?

  • 義務教育で伝えて欲しい

  • 第3章の日本は儲かるビジネスができていない、企業の経営視点が極めて短期的になっている、などの議論は心に来るものだった。目の前の仕事に一生懸命に取り組んでも、マクロ的に見た場合、自分自身の働き方は生産性を悪くしていることに繋がっているのでは?豊かさに繋がっていないのでは?と感じて悲しくなった。

  • 〈全体の感想〉
     やや過激にも思われるタイトルではあるが、日本に住む私にとって知っておくべき現状が冷静に書かれてるな感じた。
     まず、生産性の定義を確認し、次に、それを構成する要素である付加価値、社員数、労働時間について現状を述べ、最後に、どうすれば生産性を上げられるかを述べるという非常にシンプルで読みやすい構成になっている。
     日本のダメなところを痛快に言ってくれるのと同時に危機感も植え付けられた。

    〈面白かったところ〉
     筆者が「ご挨拶テロ」と呼ぶ日本に特有だが、国際社会では忌み嫌われる慣習が印象的だった。これは「ご挨拶」と称し、目的もなく相手の会社を訪問し、しかも大人数で押しかけるというものである。話を聞いている分には滑稽に思えるが、いざ自分が入社して上司に行くぞと言われれば、逆らえないのだろうなと考えると悲しくなってくる。

    〈疑問点・反論〉
     量的緩和やリーマショックによって円安が引き起こされたという部分は、ある程度常識があればわかる話なのだろうが、私にはよくわからなかった。単に勉強不足なだけなので勉強したいと思った。

  • 日本は「後進国」加谷珪一 
    内容は古典的であるが極めてオーソドックス・ベーシック
    問題は実行する力 世襲体制の打破につながるか
    コロナショックが良い機会

    世界輸出シェア 日本は9%→4% 中国は11%へ ドイツは変わらず8%
    日本は中国に地位を奪われた 代わる戦略がなく「じり貧の30年」
    生産性は低いまま 長時間労働 輸出/GDPは上昇 円安効果 たたき売り
    ⇒本来はビジネスモデルの転換が必要 ex米国のIT産業 時価評価額に反映
    成長分野への取り組みが弱い 既存ビジネス中心 
    炭素繊維・自動車・デジカメ・マイコン・産業ロボット・白色LED
    新陳代謝の低さ=少ない倒産件数 ドイツとの違い2012年倒産法 破産処理の強制
     2009年中小企業円滑化法 すべての中小企業を救う
    人材育成 日本の経営者はノンプロ
    2014年伊藤邦雄レポート「持続的成長への競争とインセンティブ」
     日本企業は短期主義経営=コストカットによる利益の捻出・設備投資の抑制
     長期的なイノベーション投資がなされていない
    ⇒①現実を直視する勇気②当たり前のことを当たり前に実行する
    通勤コスト@1百万円/年 広域分散する東京の低い人口密度 

  • https://www.google.co.jp/amp/s/mainichi.doda.jp/article/2019/02/23/1372.html%3famp=1
    という結果もあるようだ。能力はあるけど、使う方向(付加価値の高い仕事)が間違っているのと英語力か?やはり、時代に合う、時代を作るように仕事すべき。
    日本人のネット空間の活用の課題が、集合知へとつながらない点
    長期的、巨視的視点でのビジネス構築
    など課題も多い。見えない資産に気づくこと、ニセコの山々、都市景観、何でもないそこにあるものが、ストーリーをつくることで価値になる。

  • 日本の生産性。ごもっとも。。

    目次でかなり内容わかるから目次をメモっておこう。


    日本はもはや後進国

    | 目次 |

    まえがき日本はもはや先進国ではない

    第1章 日本が貧しくなった理由はすべて生産性で説明できる
    日本は豊かな先進国ではなくなった
    日本の生産性は実は万年ビリ
    日本は輸出大国ではない
    日本が輸出大国というのはウソ
    長時間労働しないと稼げない
    一方で日本は世界でもっとも休日が多い国
    コンビニで過重労働が発生する理由
    生産性はたった3つの要素で決まる
    余剰人員が別の仕事をすればGDPは一気に増大する
    米国人はテキトーに仕事をしているのになぜ生産性が高い?
    日本はすでに先進国ではないという自覚が必要

    第2章 人が多すぎ、時間をかけすぎ
    ご挨拶テロをご存知ですか
    目的のない訪問は嫌悪されるという現実に気付いていない
    簡単な商談にゾロゾロと人が出てくる:
    印鑑廃止が進まない事情
    印鑑届出義務の廃止が見送られた理由
    何のためのその道具を使っているのか?
    印鑑のケースは特殊ではない
    日本には働かないオジサンが400万人もいる
    人手不足の中、著名企業が相次いでリストラを発表
    働かないオジサンをなくせばGDPは数十兆円も増える
    年功序列のシステムがいよいよ機能しなくなった
    日本企業は人を増やしてばかり
    売上高が減っているのに最終利益が増えている理由
    減税というゲタを履かせている
    人余りと人手不足が同時進行
    人手不足なのに余剰人員が発生する理由…
    この話はIT業界だけにとどまるものではない
    イタリアは5人に3人が無職なのに豊か
    イタリアでは多くの人が無職
    生産性の低さを認識しないと介護制度にも影響が及ぶ
    日本は実はパソコンが普及していない
    税率が複数設定されると計算が複雑になる
    パソコンが普及していないのでインボイスが導入できない?
    日本のパソコン普及率は異様に低い
    電話オジサンの末路
    使い慣れたツールから脱却できない人が多すぎる
    同期通信である電話は暴力的
    電話しか使えないと、そのうち相手はAIになってしまう
    電子メールも同じ末路を辿る?

    第3章 儲かるビジネスをしないと生産性は上がらない
    儲かるビジネスができていない
    縮小市場で高 い シェアを確保しても意味がない
    ドイツはなぜ製造業で成功し続けているのか
    新陳代謝が活発でなければ製造業で勝ち続けることはできない
    モノ作り大国になるためには英語が必須
    下請けと中間搾取をなくさないと豊かになれない
    重層的な下請け構造が生産性を引き下げている
    中間マージンを得るためだけの企業はいらない
    あまりにも学ばない日本人
    自分が学ばない理由を考えたことすらない
    ITを活用しないことをポジティブに評価
    文字は読めても文章が読めない 日本人
    グローバル化できないのは英語だけが原因ではない
    日本でテレワークが進まない理由…
    他人を信用する能力がないとビジネスはうまくいかない
    日本人のネット利用はもっぱら閲覧・
    「信用」することもひとつの能力…
    日本企業の経営は、実は短期的
    人を増やすばかりで設備投資を抑制:
    NTTもKDDIもガラパゴスであることを自覚していた …
    ビルばかり作ることは弊害が大きい
    オフィスビル建設とオリンピック特需は関係ない
    不動産開発のツケを支払うのは実は従業員

    第4章どうすれば豊かになれるのか?
    何の変哲もないフツーの会社になろう
    ソニーとシャープが復活できた理由…
    当たり前のことができていなかった……
    通勤時間を可能な限り削減しよう
    1人あたリ年間100万円のコスト:
    東京の人口密度はパリの半分しかない…
    メンタルをもっと重視しよう
    あまりにもひどい仕事に対する日本人の意識
    ロボットではなく人間になろう
    一生のうち2回は転職する社会にしよう…
    財界トップが相次いで終身雇用の終焉を宣言
    転職がもたらす劇的な効果
    すでに存在するものの価値を最大化しよう
    都市景観はお金にできる
    地震大国だから古いビルを維持できないというのは思考停止
    新興国は法外な値段でも文化的価値が高いモノを欲しがる
    市場のことは市場に聞こう
    「おもてなし」の多くは、実は押し付け
    顧客の声を聞くのはビジネスの基本
    日本はコンパクトな消費国家を目指そう
    企業を可能な限リスリムに
    「国内資本」と「国内市場」をフル活用しよう

    おわりに



    ーー気に入った一節


    挨拶テロ

    目的のない訪問は嫌悪されるという現実に気付いていない
    「ご挨拶」「情報交換」と称して相手の会社に大人数で訪問し、何かを提案したり製品を購入するわけでもなく、話だけを聞いて「いやあ、たいへん勉強になりました」と言って帰っていく。グローバル市場における、日本人ビジネスパーソンのこうした奇妙な振る舞いは非常に有名です。
    一般的に日本以外の国では、目的もないのに会社を訪問し、面談することは、相手の時間(つまりお金)を奪っていることと同じであり、激しく嫌悪される行為です。これはいわゆる欧米圏でもアジア圏でも同じであり、ほぼ万国共通の価値観といってよいでしょう。
    筆者はこうした行為を「バイトテロ」にちなんで「ご挨拶テロ」と呼んでいます。



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著者プロフィール

経済評論家。仙台市生まれ。1993年東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在、「ニューズウィーク(日本版本誌)」「現代ビジネス」など多くの媒体で連載を持つほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。著書に『新富裕層の研究』(祥伝社新書)、『戦争の値段』(祥伝社黄金文庫)、『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『縮小ニッポンの再興戦略』(マガジンハウス新書)など多数。

「2022年 『スタグフレーションーー生活を直撃する経済危機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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