THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
- 翔泳社 (2019年1月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798158167
作品紹介・あらすじ
●これまでの営業スタイルは通用しない
「営業が顧客に初めて接触するとき、
すでに商談プロセスの半分以上は終わっている」
この事実の前に、企業のマーケティング、営業活動は変革を迫られています。
スマートフォンの普及によって、情報発信やビジネスの主導権は、企業から
消費者へシフト。法人営業、BtoBのビジネスにおいても、デジタル化の推進、
新たなプロセス構築が急務となっています。
●「The Model」と新たな「レベニューモデル」
本書は、日米のオラクル、セールスフォース・ドットコムでSaaSビジネスの急成長に
立ち合い、マルケト日本法人代表として自ら変革を実践してきた著者が、
「再現性」「ビジネスの成長」を重視して新たなレベニューモデルを提案します。
SaaSの世界で注目を集める「The Model」を踏まえて、さらに現状に適した
「マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセス」によるプロセスを
紹介。これら4つの部門の「分業」から「共業」への道、さらにその先にあるビジネスの
かたち「レベニューモデル」を明らかにします。詳細な数字をもとにした分析はもちろん、
営業の心理を読み解く手法、組織のパワーを引き出すマネジメント・経営の考え方まで、
自身の経験にもとづく明解な語り口は読む人を惹きつけてやみません。
●SFA、MAの使い方が変わる!
営業支援ツールであるSFA、マーケティングオートメーション(MA)を実現するツール
の運用の基本から、マネジメント層が注目すべき指標、営業担当者のメンタルや行動の
理解、部門間の調整、高精度なフォーキャストなど、オペレーションの全体像を
わかりやすく解説。特に営業の商談ステージにおける「移行判定基準」などを具体的
に紹介します。
●成長し続けるために
インサイドセールス、カスタマーサクセスといった新たな組織を導入する会社は
増えていますが、それらがなぜ生まれたのかを知らずに導入することは危険です。
本書は、各論ではなく全体像を俯瞰し、市場をどう攻略するか、顧客との関係を
どのように深めて成長を生み出すのかという視点から、理論やフレームワークの
解説だけでなく、極めて実践的な「プレイブック」となっています。
感想・レビュー・書評
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クラウド、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)の営業とは。
THE MODELは、セールスフォースドットコムの成長モデル。再現性あるプロセスを構築し、ビジネスを成功に導いた。
この再現性が大事で、一言に営業といっても、色々なものを包括しており体系化されてなかった。要するに営業は、人依存の仕事となっていた。
その仕事を見える化、測定可能な状態にする。仕事を分業し、専門性を高め、効率の最大化を実現した。
しかし、分業にはデメリットがある。縦割りにすることで軋轢が生じる。上手く回っている間は良いが、ほころびが出ると互いに攻撃し合うようになり、負の連鎖に陥いる。
人間あるある。
こうなった場合には、間違っても各プロセス個別で解決しようとしてはダメ。プロセスの逆の流れを作りフィードバックしたり、すべての部門を率いる役割を作る必要がある。
ここで大事にすべきは同じ目標を持つこと。
顧客満足や売上だったりするわけだが、そのためにTHE MODELがあり、顧客との接点を営業だけでは無い、各専門家とのチャネルを設ける事で、顧客の満足度をあげ、ビジネスを成功させるという理解が必要。
最初の理念に立ち戻るということ。
デジタルシフトが進み、常にオンラインに繋がっている状態になり、更にマーケティングオートメーション が出来るようになる。
でもそれだけでは、顧客のエンゲージメントは上がらない。リードを素早くフォローだけのやり方から、「あなたを気にかけていますよ」というエンゲージメントを高めるone to oneのマーケティングに繋げなくてはならない。
one to oneが、エンタープライズ向けだけで無くなってきている事がスゴイ。
しかし、営業をかける前に、顧客はネットで商品にふるいにかけれるようになっており、営業する前に勝負が決まっている時代になっている。
どんどん変化している。
組織づくりのベストプラクティスの10個は、とても共感できる部分が多く、面白かった。そして自分がこれと逆の状態にストレスを感じている事に気付いた。
リーダーシップでは、ストレッチゴールの設定について触れられており、その意味を知ることが出来た。恐れず指示しよう。
最後の、筆者に影響与えたリーダーの2人のエピソードは、感動する。素敵な上司です。
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【この作品を短文で】
営業を科学する。受注までのプロセス、受注角度を上げるフェーズ、注意ポイントなど。
【感想】
様々な営業スキルに関する書籍が世に溢れる中で、本書はかなり客観的に「営業」について研究された、論文チックな1冊でした。
文中にもあるように、「伝説の営業マンの武勇伝」ではなく、「営業という学問」というアプローチだった為、読み進めるのに難儀したが、非常に勉強になった。
(自分の会社でもインサイドセールスという部隊があるが、本書で書かれているレベルには到底達していないのでは・・・・)
本書は、「マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの分業体制による営業」というメインテーマで「営業を科学」している。
・どのようなプロセスで発注まで行き着くのか。
・各プロセスごとの部隊には各々どのような成果が求められるのか。
・その間の顧客の心理はどのような事が予測されるのか。
・各部隊をどうマネジメントすべきか?
これプラス、感情面もどうしても加味されてしまうため、営業という学問は本当に奥が深すぎる。。。
下記「内容まとめ」にも記載しているP-6~8までのフェーズを「クロージング」とするならば、それまでのプロービング、サポーティングがマーケやインサイドのフェーズである。
そして、「分業」を本数や効率だけでなく、受注というゴールの成功角度の高いものにするには、当たり前だが前段階の「マーケティング」と「インサイドセールス」のナイスアシストが必須となってくる。
このあたりに掛かれている事は日々自分にも当てはまる内容が多く、とても共感できた。
確かにその「ナイスアシスト」が難しいんだよなぁ・・・・どうしても、1営業マンに頼ってしまいがちだ。
人にモノを売る事、人が何でモノを買うのか?
こう書くととてもシンプルに感じるが、実際心理的な推移や実際の財布の在処、そして買うと決断してからの迷いなど、購入側の心理や立場は事細かすぎて決してシンプルではない・・・
セールスに関連する部署でこれからも働いていく以上、このような購入心理やフェーズ、受注までのシステムなどのお勉強は欠かせませんね。
今、早川勝の「営業の鬼100則」を読んでいますが、こういった薄い内容の営業ハウツー本を破って捨てたくなるくらい、本書は営業という学問についてしっかりと書かれています。
何度も読み返す必要のある、非常に為になる1冊でした。
【内容まとめ】
0.マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの「分業体制」による営業システム
1.アサインされているテリトリーがはっきり分かれていて、あるレベルに達しない顧客には電話で営業し、レベル以上の顧客は直接訪問すると決まっていた。
顧客に会うたびに飛行機を使うことになる米国では、フィールドセールスではコストがかかりすぎる。
電話でアプローチして、電話で売り切る。テレセールスは絶対に顧客に会いに行ってはいけない。それが当時のスタイルだった。
2.営業は学問
営業組織の作り方や、テリトリーの考え方、報酬体系の構築など、まるで経営学の一部のような「学問」である。
3.受注までのプロセスは完全分業制
P-1:ウェブサイト、セミナー、キャンペーン
P-2:リード獲得
P-3:メール
P-4:電話
P-5:クオリファイ
P-6:提案
P-7:交渉
P-8:受注
P-1~3:マーケティング
P-4~5:インサイドセールス
P-5~8:現場の営業
4.「マーケティングが獲得した新規リードをインサイドセールスが素早くフォローして選別し、営業に引き渡す」という分業によるオペレーションは、もはや通用しない時代となった。
現在は、営業が接触する前の「顧客による調査・評価」のプロセスが重要度を増しており、営業する前のプロセスが非常に重要になっている。
5.購入フロー
「認知→興味→検索→比較検討→購入→利活用」
6.インサイドセールス
労働集約型からインテリジェンス集団へ。
インサイドセールスの仕事は、どうしても時間が限定される。常識的な範囲として、朝9時から夕方6時くらいまでしか活動できない。
どうしても時間をどう使うかというタイムマネジメントの勝負となり、どれだけ業務効率を上げられるかが成果に直結する。
7.インサイドセールスの「1日8時間」をフル活用するために
出社して席に着いてから、「さて、どこにかけようか」と考えているようでは大きなタイムロスになる。
前日の業務終了時には、翌日のコールリストを整備し、明確にしておくこと。
コール前に対象リードの情報を頭に入れておくこと。
また、「量と質」についても一考の価値がある。
質が悪いアポイントを営業にパスしても、営業の無駄な訪問が増えるだけで、かえって非効率になってしまう。
だが、温めすぎてもその内に競合他社に先にアプローチされ、機会損失してしまうリスクがある。
8.商談のフェーズ管理1~5
フェーズ1:リード以上 商談未満
フェーズ2:ビジネス課題の認識/課題を認識して、この製品やサービスが必要だと理解してもらうフェーズ。
フェーズ3:評価と選定/競合が現れた場合、状況整理する有効なフレームワーク「相殺」「弱点」「差別化」「防御」
フェーズ4:最終交渉と意思決定
フェーズ5:稟議決済プロセス
9.フェーズ3「評価と選定」
競合が現れた場合、状況整理する有効なフレームワーク
自社の製品やサービスだけでなく、競合の製品サービスについてもしっかりと勉強すること!!!
「相殺」:自社と競合双方の強みと弱み
「弱点」:競合のほうが優位性を持つ点
「差別化」:自社が競合に対して差別化できる強み
「防御」:双方ともに弱く、顧客ニーズに合致していない点
10.フェーズ5:稟議決済プロセス
フェーズの後退や失注を防ぐために必要なのは、「リスク検知能力」の一言に尽きる。
事故を起こさないドライバーさながら、想定されるリスクを意識しながら運転し、何か起きた時でも咄嗟のタイミングで対処する。
何事も経験の浅い人ほど最善のケースを想定し、経験豊富な人ほど最悪のケースに備えるものだ。
・最終承認者は誰か?
・発注書にサインする人は誰か?
・取締役会や経営会議での決議が必要か否か、またそれらの日時はいつなのか?
・起案者が、過去に同じような金額の決済を通したことがあるか?
11.受注を確実にする8つの質問(ネクストステップ、KOL、推進者、財布、何もしなかった時の効果)
Q1:「ネクストステップ」は何か?次のアポはいつか?確定していない場合は何待ちか?
→行動予定など行動を先に決めるのではなく、「次に進めるために何をすべきか?」という発想を持つことは営業にとって良い訓練になる。細かい事でも「なぜ?どうして?」と考えるクセをつけること。
Q2:この会社は何をしている会社か?この会社のお客様は?この会社の競合は?
→顧客に対する関心を沢山持つこと。「顧客の顧客」や「顧客の競合」を知ることで理解が深まる。
Q3:意思決定のキーパーソンは誰?また、何故の人と判断できるのか?
→意思決定者(KOL)と、その人への影響力がある人を理解すること。
Q4:顧客の内部に、「絶対に進めたい」と思っている人がいるか?
Q5:顧客が「今期に」発注する理由は何か?
→その会社のプロジェクトとして必須なものなのか、あるいは制度や法律の改定に対応しなければならないなど、明確な理由があるかどうか。
Q6:予算を持っている人は誰か?
⇒顧客の「財布」はどこなのか?
Q7:もし何もしなかったとしたら?
→大きな投資を決断する時は「Do Nothing」も立派な選択肢である。導入効果を精緻にシミュレーションするよりも、「顧客が何もしなかったらどうなるか」を考えるのもかなり有効である。
12.孫子の兵法
第一には、戦ってよいときと戦ってはいけないときとを弁えていれば勝つ。
第二には、大軍と小勢とのそれぞれの用い方を知っていれば勝つ。
第三には、上下の人々が心を合わせていれば勝つ。
第四には、よく準備を整えて、油断している敵に当たれば勝つ。
第五には、将軍が有能で主君がそれに干渉しなければ勝つ。
敵情を知って身方の事情も知っておれば、百たび戦っても危険がない。
13.自分のテリトリーのCEO
「人のせいにするな。それが問題なら、なぜ声を大にして言わない?自分が任せられているテリトリーのビジネスについては自分に責任がある。セールスマネージャーと思うな、自分はテリトリー内のCEOだと思え!」
そのような視点を持てば、役職レベルがどうであれ、常に仕事のレベルを高めていける。
【引用】
・営業プロセスの改革
当時の業界は、電話でアプローチするテレセールスと訪問営業をするフィールドセールスは完全に分かれていた。
アサインされているテリトリーがはっきり分かれていて、あるレベルに達しない顧客には電話で営業し、レベル以上の顧客は直接訪問すると決まっていた。
顧客に会うたびに飛行機を使うことになる米国では、フィールドセールスではコストがかかりすぎる。
電話でアプローチして、電話で売り切る。テレセールスは絶対に顧客に会いに行ってはいけない。それが当時のスタイルだった。
p3
・「ヤス、なぜ日本人はあれほど細かく生産管理をやるのに、営業については何もしないんだ?」
アメリカの書店に行ったところ、「伝説の営業マン」のような武勇伝ではなく、営業組織の作り方や、テリトリーの考え方、報酬体系の構築など、まるで経営学の一部のような「学問」であった。
p12
・営業の分業体制
研修で学んだのは、「マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの分業体制による営業」であった。
また、単に分業というだけではなく、プロセスがきちんと整理されている。
受注までのプロセス
1.ウェブサイト、セミナー、キャンペーン
2.リード獲得
3.メール
4.電話
5.クオリファイ
6.提案
7.交渉
8.受注
1~3:マーケティング
4~5:インサイドセールス
5~8:営業
p21
相手からは電話でなく、会って説明しろと必ず言われてしまう。インサイドセールスは外回りの営業と違い、外出しないことで大量に業務をこなす事ができるので、説明のために訪問していては分業体制を敷く意味がなくなってしまう。
p31
日本は金額の多寡に関わらず商談には必ず営業が訪問していたが、アメリカは顧客規模や商談金額ごとに明確な基準を設け、必要なしと判断された場合は訪問することができなかった。
「福田さん、とりあえず訪問した方が早いですよ」と何度も言われたが、お客様もわざわざ営業が訪問してくることにプレッシャーを感じている事も明らかだ。
何か提案したいなら説明にくるのが筋だと考える人もいれば、まだ情報収集の段階なのに売込みに来られると面倒だと考える人もいる。
p40
・営業を科学する
「マーケティングが獲得した新規リードをインサイドセールスが素早くフォローして選別し、営業に引き渡す」という分業によるオペレーションは、もはや通用しない時代となった。
p48
・営業が接点を持つ前に、すでに勝負はついている。
以前は購買プロセスの中で営業の占める役割や範囲は圧倒的に大きかった。だが現在は、営業が接触する前の「顧客による調査・評価」のプロセスが重要度を増しており、営業する前のプロセスが非常に重要になっている。
・購入フロー
「認知→興味→検索→比較検討→購入→利活用」
p60
・分業の副作用
部門間の対立が生み出す「負のループ」
顧客と企業の2つの変化に続き、もう一つの課題として「分業の副作用」が取り上げられている。
マーケティングが「リード作成」、インサイドセールスが「作成商談の数」、営業が「売上」というプロセスを分担して受け持っている。
やはりそれぞれ自分の部署の課題のみを優先するため、「リサイクル」という掘り起しの概念を後回しにしてしまい、結果顧客のフォローや提案の質が低下、組織全体の生産性が下がる。
p66
・協力せざるを得ない目標を与えよ。
会社組織には、利益・キャッシュフロー・株価など追い求める指標がいくつかある。が、すべての始まりは売上である。
シェリフの実験が示唆したのは、マーケティング・営業・インサイドセールスが飲み会で仲良くなっても大した効果はないということだ。キャンプ実験に参加した少年たちが飲料水の供給を復活させたり、ぬかるみにはまったトラックを引っ張り出したように、一つの目標に向かって一丸とならざるを得ないような共同作業が必要だ。
p94
・インサイドセールス
労働集約型からインテリジェンス集団へ。
インサイドセールスの仕事は、どうしても時間が限定される。常識的な範囲として、朝9時から夕方6時くらいまでしか活動できない。
どうしても時間をどう使うかというタイムマネジメントの勝負となり、どれだけ業務効率を上げられるかが成果に直結する。
p107
・1日8時間をフル活用するために
出社して席に着いてから、「さて、どこにかけようか」と考えているようでは大きなタイムロスになる。
前日の業務終了時には、翌日のコールリストを整備し、明確にしておくこと。
コール前に対象リードの情報を頭に入れておくこと。
また、「量と質」についても一考の価値がある。
質が悪いアポイントを営業にパスしても、営業の無駄な訪問が増えるだけで、かえって非効率になってしまう。
だが、温めすぎてもその内に競合他社に先にアプローチされ、機会損失してしまうリスクがある。
p124
・商談のフェーズ管理1~5
フェーズ1:リード以上 商談未満
フェーズ2:ビジネス課題の認識
フェーズ3:評価と選定
フェーズ4:最終交渉と意思決定
フェーズ5:稟議決済プロセス
p128
・営業フェーズ2「ビジネス課題の認識」
課題を認識して、この製品やサービスが必要だと理解してもらうフェーズ。
フェーズ1である「リード以上、商談未満」をクリアした次のステップ。
購買検討フェーズ表現時に使われる「4つの不」と言われる「不信・不要・不適・不急」の中で、ここは「不要」を突破する段階である。
この段階を疎かにしてしまうと、「今はこれが重要課題でない」「他に優先事項がある」と後回しにされてしまうのが関の山。
最後のクロージングが弱いという営業は、営業プロセス後半の交渉や詰めが弱いと思われがちだが、実際はこの初期段階の進め方に課題がある!
「こうできたら便利なんだけど」という相手の話に付き合わされているだけで、会社としての課題と提案がマッチしていない為である。
p130
・商談の際に頭の中に入れておく4項目
1.ビジネスイシュー(顧客のビジネス課題)
→目標達成するためにハードルとなること
2.プロブレム(問題点)
→顧客の現場担当者が日々の業務で問題に感じていること
3.ソリューション(解決策)
4.ベネフィット(効果)
p134
・フェーズ3「評価と選定」
競合が現れた場合、状況整理する有効なフレームワーク
自社の製品やサービスだけでなく、競合の製品サービスについてもしっかりと勉強すること!!!
「相殺」:自社と競合双方の強みと弱み
「弱点」:競合のほうが優位性を持つ点
「差別化」:自社が競合に対して差別化できる強み
「防御」:双方ともに弱く、顧客ニーズに合致していない点
p138
営業活動を進める上で注視すべきは役職ではなく、影響力を持つ人だ。
「役職」と「影響力」の双方に注目し、双方が高い人間をKOLとして接点を持つことが大切である。
p144
・フェーズ5:稟議決済プロセス
顧客が稟議決済の準備を開始したら高い確率で受注に結びつくが、フェーズが後退したり失注につながることもある。それを防ぐために必要なのは、「リスク検知能力」の一言に尽きる。
事故を起こさないドライバーさながら、想定されるリスクを意識しながら運転し、何か起きた時でも咄嗟のタイミングで対処する。
何事も経験の浅い人ほど最善のケースを想定し、経験豊富な人ほど最悪のケースに備えるものだ。
・最終承認者は誰か?
・発注書にサインする人は誰か?
・取締役会や経営会議での決議が必要か否か、またそれらの日時はいつなのか?
・起案者が、過去に同じような金額の決済を通したことがあるか?
p148
マネジメントは「管理する」という発想ではなく、自ら「現場で何が起こっているかを理解する」というマインドが求められる。
p159
フォーキャストは誤差なく正確に出すことが大切だが、正確さばかりに気をとられると、今あるものからどれだけ受注できるかという縮小均衡になってしまう。
正確なフォーキャストを出す以前に、営業部門に課された絶対条件は、「目標(予算)を達成すること」の一言に尽きる。
本当に組織を成長させるマネジメントは、「チャレンジだが達成不可能ではない」目標を設定する力に優れている。
p166
・営業一人一人の特性を知る。
様々なパターンがあり、異なる特性を持つ営業個人を標準化しようとせずに、マネジメントが営業一人一人の性格やクセを理解して、アジャストしていくことがはるかに現実的だ。
全員の基準をピッタリ揃える事は難しくても、個々人を見ればその人なりに一貫性がある。それぞれのクセや考え方を理解すれば、フォーキャストの正確性や現状把握は楽になる。
p172
・受注を確実にする8つの質問
1.ネクストステップは何か?次のアポはいつか?確定していない場合は何待ちか?
→行動予定など行動を先に決めるのではなく、「次に進めるために何をすべきか?」という発想を持つことは営業にとって良い訓練になる。細かい事でも「なぜ?どうして?」と考えるクセをつけること。
2.この会社は何をしている会社か?この会社のお客様は?この会社の競合は?
→顧客に対する関心を沢山持つこと。「顧客の顧客」や「顧客の競合」を知ることで理解が深まる。
3.意思決定のキーパーソンは誰?また、何故の人と判断できるのか?
→意思決定者(KOL)と、その人への影響力がある人を理解すること。
4.顧客の内部に、「絶対に進めたい」と思っている人がいるか?
5.顧客が今期に発注する理由は何か?
→その会社のプロジェクトとして必須なものなのか、あるいは制度や法律の改定に対応しなければならないなど、明確な理由があるかどうか。
6.予算を持っている人は誰か?
7.顧客の企業文化は?
8.もし何もしなかったとしたら?
→大きな投資を決断する時は「Do Nothing」も立派な選択肢である。導入効果を求められるのは当然だが、その導入効果を精緻にシミュレーションするよりも、「顧客が何もしなかったらどうなるか」を考えるのもかなり有効である。
p188
・顧客とのリレーション構築
B2Bにおけるヘルスチェックの難しさは、相手が個人ではなく企業であるという点だ。
窓口以外のメンバーが不満を持っている事に気づけないことが多い。
自社と顧客が1対1の関係ではダメなのは勿論で、意外と多いのは自社の様々な部門で対応しているが顧客側の登場人物が少ないパターンである。顧客リレーションは「多対多」の関係を築けているか、定期的にチェックしよう。
p205
・孫子の兵法
第一には、戦ってよいときと戦ってはいけないときとを弁えていれば勝つ。
第二には、大軍と小勢とのそれぞれの用い方を知っていれば勝つ。
第三には、上下の人々が心を合わせていれば勝つ。
第四には、よく準備を整えて、油断している敵に当たれば勝つ。
第五には、将軍が有能で主君がそれに干渉しなければ勝つ。
敵情を知って身方の事情も知っておれば、百たび戦っても危険がない。
p208
・ビジネススクールなどで教えられている経営理論を軽視せずに勉強する。
→勿論、理論だけで成功する訳では決してないが、セオリーを知っていて経営判断する人と、知らないで経営判断する人では、成功確率がまるで違う。
・スタートの勢いは大事だが、中長期的に勝負を考える。
・自社にとって天王山となる市場や顧客を見逃さず、勝負所を見極めあらゆるリソースを投入して考える。
p224
・マネジメントは目標から逆算する事も大切だが、目標を設定する力の方が遥かに大切だ。
高すぎる目標だと上半期を終えた時点で「もう今から頑張っても年間目標の達成は無理だ」と諦める人が出たり、「周りも達成してないから出来なくて当たり前」という空気がどうしても出てしまう。
理想的な目標は「challenging but achievable(チャレンジだが、達成不可能ではない)」。
p231
・優れたマネジメントは数字をどのように見ているか?
過去に細かい数字の指摘をするマネージャーもいて、「この人たちは超人的な能力を持っている人かな?」と思ったが、決して特別な記憶力を持っているわけではない。どこに意識を向けているかの違いだ。
p265
・仕事のリズムを大事にする
仕事はリズムを作ることが大事で、同じリズムで仕事をすればするほど「ゾーン」に入りやすくなる。
逆にスイッチのオンオフが多くなればなるほど、量もこなせないし、結果的に質も下がっていく。
たとえばインサイドセールスなら、各自が電話したいリードを自由に選ぶのではなく、午前中はWEB経由のリードにかける。
新規、既存、失注対策など、テーマが違えば前提知識も異なるので、自ずと聞く内容も異なってくる。
ランダムではなく、同じ特徴のものをまとめて対応する事によって、格段に生産性が高まる。
p278
・利益と尊敬と少しの恐怖
恐怖と利益だけでマネジメントする組織は、短期的に結果を出したとしても長続きしない。
一方で、居心地いい雰囲気を作って耳あたりのいいことばかり言っていても組織は強くならない。
「少しの恐怖」という絶妙のバランスがそこには求められる。
p286
・自分のテリトリーのCEO
「人のせいにするな。それが問題なら、なぜ声を大にして言わない?自分が任せられているテリトリーのビジネスについては自分に責任がある。セールスマネージャーと思うな、自分はテリトリー内のCEOだと思え!」
そのような視点を持てば、役職レベルがどうであれ、常に仕事のレベルを高めていける。 -
営業マネージャーやマーケティングにとって、とても参考になる内容。筆者の経験から、こうすれば良いと考えている内容がすっきりまとまっており、押し付けがましくないのも良い。出来ることをやれば良いというスタンスも、内容を受け入れ易い要因の一つ。失敗談や、そうは言ってもうまくいかないよね、というような記述があると読んでいて気楽になる。出来れば何度も読み返し、頭に叩き込みたい本。
-
非常に参考になった。SFAやCRMを活用した営業とは何かが本書を読めばわかる。セールスフォースやマルケトが凄いのはそれまで難攻不落とされていたSMEマーケットへのアプローチ手法であろう。マーケティング、インサイド、フィールド、カスタマーを専門職化し分離し連携させKPI管理しPDCAサイクルを回していく合理性は素晴らしい。
SME自身、営業は根性論で川上から川下まで一貫してフォローするものという文化が根付いているが(それはリソースの問題もあるが)、ポストコロナの時代、SFAやCRMを導入することでゲームチェンジが促進されるかもしれない。
著者は『The Goal』に感銘を受けシステムを総称して『The Model』と呼んだがまさにこれからのビジネスモデルといえる内容だ。 -
マーケティング、セールスプロからチームビルディングまでかなり勉強になる。
どういった観点でメンバの商談フォロー、チェックをしていくかはすぐにでも実践できる。 -
セールスフォースがアメリカから日本に持ち込んできた営業手法を描く。
インサイドセールスを単にアポイントや商談作成のための組織と見ていてはその価値をフルに生かしきれていない。自社製品はどのように見られているか、見込み客はどのような製品や情報を求めているかなど、データだけではわからない市場の感覚をつかみマーケティング部門や経営陣などにフィードバックすること。顧客との最初の接点として会社のメッセージ、製品の内容を正しく市場に伝えることも重要な役割だ。
見込み客の選抜、フィールドセールスへの橋渡し。影響にパスしたリード件数後何件商談がされるかを定点観測しておくことが必要。このパーセンテージはインサイドセールスのクオリフィケーションの質と連動している。高すぎるとインサイドセールスが確実なものに絞りすぎていて商談機会を逃していると言う見方もできる。
仕事はリズムを作ることが大事で同じリズムで仕事をすればするほどゾーンに入りやすくなる。逆にスイッチを入れたり切ったりすることが多くなればなるほど量がこなせないし質は結果的にも下がっていく。
組織は構造としていくつかの部門に分かれているだけではなく東京オフィス、大阪オフィスのようなエリアごとのグループ、仲の良い社員のグループなどフォーマル/インフォーマルのサークルが存在する。それらが互いにバラバラで動いていては形は成り立たないので、異なる円がそれぞれ交わるところに情報を流通させられる人が必要になる。マネジメントがそのような結節点となれれば、500人1000人と成長に耐えられる組織ができるのではないか。
人間を動かす2つの抵抗がある。それは恐怖と利益である。リーダーは利益と尊敬と少しの恐怖で組織を動かしていくべきでその潤滑油が笑(ユーモア)だ。
良い時こそ苦しかった時のことを思い出そう。
会社が小さい時は色々な人にお世話になって助けてもらったのに大きくなると急に業者を切り捨てたりする人がいる。どんなに忙しくても断るときは相手の立場に立ってきちんと説明し謝る。得ることと同じように正しく購入することが必要だ。会社の強さは営業に現れるが会社の品格は購買に現れる。良い時こそ苦しかった時のことを思い出そう。
会社が小さい時はいろいろな人にお世話になって助けてもらったのに大きくなると急に業者を切り捨てたりする人がいる。どんなに忙しくても断るときは相手の立場に立ってきちんと説明し謝る。得る事と同じように正しく購入することが必要だ。会社の強さは営業に現れるが会社の品格は購買に現れる。
自分がどんなタイプかなんて決めつけるな。
採用、組織作りにおいてその人が大事にしているものは何かを聞く。