文部科学省の解剖

  • 東信堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798915531

感想・レビュー・書評

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  • 仕事柄、文科省とやり取りする機会が多いだけに興味深く読んだ。特に科技系が統合によって大きな果実を得たこと、昨今のCSTI主導のSTI政策に引っ張られる高等教育政策のありようなどはその影響を感じずにはいられない。
    個人的関心としては、統合により科技系が果実を得つつも高等教育局長は省内での重要性を維持していることから、先に触れたCSTIによる高等教育政策への介入が起きている事実をどのように解釈すべきだろうか。また統合によって大学設置基準、大学設置認可制度の制度変更への影響はあったのか、もう少し下部ポストだが、大学設置室長は統合後の襷掛け人事の対象に含まれているのかなどに関心を持った。

  • 幹部職員へのサーベイ調査の分析をベースに、行政学の立場から文部科学省の実態を明らかにしようとする研究書。文部科学省官僚の認識と行動、地方自治体との関係、他府省との関係、官邸権力との関係、執務空間の特徴、旧科学技術庁の省庁再編後の動向、人事など、多角的な観点から、まさに文部科学省を解剖しようという試みといえる。
    第一線の行政学者が分担して執筆しており、どの章も興味深かったが、「文部科学省三流官庁論」を再考する伊藤正次氏の「第4章 組織間関係からみた文部科学省」が特に知的な面白さを感じた。人事交流面から各府省のプレゼンスを分析しようと、他組織への出向率の高低、他組織からの出向受入率の高低により、各府省を「多民族国家型」官庁、「宗主国型」官庁、「植民地型」官庁、「鎖国型」官庁に分類したところ、文部科学省は実は「宗主国型」官庁と位置付けられ、人事面での組織間関係からは必ずしも三流官庁とはいえないという指摘は目から鱗だった。

  • タイトル 文部科学省の解剖
    刊行日 2019年3月30日
    編者 青木栄一 
    定価 3200円+税
    ISBN 978-4-7989-1553-1
    Cコード C3037
    ページ数 296
    判型 A5
    製本 上製

    文部科学省の組織構造の全貌を捉えた官僚制研究!
    近年、多くのスキャンダルが取り沙汰され、しばしばメディアや世論の標的となっている印象をぬぐえない文科省ではあるが、果たしてどれだけの人がこの組織の実態を理解しているのだろうか?本書は、幹部職員に対する初となるサーベイ、文科省と官邸・他省庁・地方自治体関係、庁舎内の部署配置・執務室内の座席配置分析といった行政学的分析を通じて、文部省/科技庁の統合後の変容も含めた、中央省庁の一翼としての文科省の組織構造を明らかにする。文科省研究の先駆的一冊であり、かつ日本の教育改革をめぐる構造的問題を解明した気鋭の共同研究。
    https://www.toshindo-pub.com/book/%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81%E3%81%AE%E8%A7%A3%E5%89%96/

    【簡易目次】
    第1章 官僚制研究に文部科学省を位置づける(青木栄一)
    第2章 サーベイにみる文部科学省官僚の認識と行動(曽我謙悟)
    第3章 文部科学省の格差是正志向と地方自治観(北村 亘)
    第4章 組織間関係からみた文部科学省(伊藤正次)
    第5章 文部科学省と官邸権力(河合晃一)
    第6章 配置図からみる文部科学省統合の実相(手塚洋輔)
    第7章 旧科学技術庁の省庁再編後の行方(村上裕一)
    第8章 文部科学省設置後の幹部職員省内人事と地方出向人事の変容(青木栄一)

  • 東2法経図・6F開架:317.2A/A53m//K

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著者プロフィール

東北大学教授

「2024年 『地方自治論〔新版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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