それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799327371

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    コピーライターの仕事は単なる言葉あそびではない。
    言葉を発信し、それを読んだ人々に行動を促すのがコピーライターの役割だ。

    当たり前のように認知されている物事の違和感や本質を発見し、それを言葉で形容し直すことで、人々に発見を与える。そのためには、コピーを作る人の心中に「読んだ人にこうなってほしい」という強い動機がなければいけない。それが大きいアクションを産むのか、ナッジのような小さい行動変容を産むのかは、コピーが掲出される場と対象とするユーザーによって異なってくる。

    何が言いたいかといえば、「コピーには必ず発信者が意図した目的がある」ということである。

    では「自分自身の(再)解釈」とは――自分で自分の歴史や感情に名づけを行うことは――いったい何を要求しているのか。

    それは、「未来に進むための指針を手に入れる」ということではないだろうか。
    解釈というのは自分の地固めをする行為である。
    今まで歩んできた道を振り返って「これで良かったのか?」。また、これから進むべき道を前にして「この方向でいいのか?」。そうした迷いに直面したとき、人は不安になり、自分の居場所が揺らぐような感覚に陥る。
    この危うさをしっかりと踏み固めるために、思考を言葉にして解釈を行う。曖昧な概念に輪郭を与え、納得して前に進むための指針とする。
    コピーライターの語る言葉は大抵青臭いポエムとなって霧散するが、ときに想像以上の推進力を与えてくれるのだ。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    【まとめ】
    1 解釈することを始める
    激動の2020年、これまでの当たり前が大きく揺らいでいる今、「こうじゃなきゃいけない」という考えに自分を縛り付けてしまいそうになる今、みんなが「解釈すること」を欲しているのかもしれない。

    世のなかが大きく変わっていく今こそ、真っ先に見つめるべきは「自分」という存在なのではないか。まず自分を、次に現在を解釈し直すことで、自分の心がはっきりしてくる。そして、自分の現在を真ん中にして、過去を、そして未来を解釈すれば、どれだけ強風に吹かれようとも決して折れない柳のような芯が通る。


    2 自分の感覚に目を向ける
    自分の中の感覚――名前と同じように当たり前にあるものを解釈し直す。

    自分の「らしさ」が一番滲み出るのはその人の「好き」と「嫌い」なのではないかと思うのだ。
    そして、「好き」であれば、何が好きで、どう好きで、どんなところが好きなのか、その好きを、好きと書かずに伝えてみる。感じたことを説明文として書き出し、その上で「名前をつける」。そうすると自分の感情をちょっと俯瞰して見ることができる。
    「嫌い」であれば、はっきりとダイレクトな表現をせず、オブラートに包んで発表してみる。

    また、自分の仕事に「●●という仕事」と名前を付けてみる。正解はない。大切なのは自分が納得できるかどうかだ。
    名づける素材を集めるために、問いを重ねて思い出を集めていく。仕事を始めたきっかけから、嬉しいことや辛いことや、自分を支えるモチベーション。入口から出口までを、自分自身にインタビューしていく。


    3 積極的な受け身
    積極的な受け身とは、自分の中に生まれる衝動をつかまえて「アンサーを返す」ことを、着実にやっていく感覚だ。まず受け身(リアクション)があり、そこから行動(アクション)がある。前のめりにガツガツというよりも、機を待って反応する感じだ。

    現在という「今」に対して、積極的な受け身を取るのはどうだろう?日々刻々と情勢が変わる今、この環境に身を委ねながら、リアクションという名の「解釈」をすればいい。

    ●ワーク
    ・世の中に感じるあなただけの違和感に名前をつけてみよう。
    ・現状の先にある未来を、その結果を前向きに想像して解釈してみよう。
    (例)恋人と別れる→運命の人と出会うためのステップ
    自分の不安に目を向けることで、逆に安心する。自分自身の心に目を向けて言葉にすることで、不安や悩みを外在化して、物事を「ポジティヴ変換」する。自分を尊重する見方を選ぶことで、自己肯定感を高めていけるのだ。

    ・仮説でもいい。時代を言葉で捉えて、えも言われぬ説得力をつけよう。今と言う時代の気分を見つめ、「○○の時代」という名前をつけてみよう。
    →(例)Z世代
    Z世代とはつまり、個と社会で、安定と冒険で揺れる価値観を持つ。自分の仕事が、人生に、社会に、どうつながるかを常に意識している。
    彼らにメッセージを届けようとするなら、必然的にこの価値観に寄り添っていくことになる。これが「時代を名づける」ということだ。


    4 過去を捉え直す
    自分にとって「あの感情」とも言えるぐらい記憶に強く残る過去の出来事をふりかえる。
    「どうしてああしてしまったのか?」と胸につかえていても、書くことによって心が晴れていく。


    5 自分コンセプト
    自分が最も大切にする、信念となるような言葉が「自分コンセプト」だ。それは「これまでがんばったこと(何に時間をかけてきたのか)」「将来成し遂げたいこと」「自分の強み」の三角形の中心に位置する。それぞれを書き出して、解釈を育てていこう。


    6 未来を解釈する
    未来を解釈するための2つの指針
    ① being型――「どうありたいか?」
    ② doing型――「何をしたいか?」
    この2つのうち、どちらを軸に未来を解釈してもいい。自分の拠り所を見つけよう。

    ●ワーク
    ・自分はどんな企画をする人になりたいか?
    ・漢字一文字で今年の希望を表す


    7 ミッション
    企業のミッションをコピーにするとき、コピーライターがサラサラッと書いて「こんなのどうでしょうか?」と提案する姿を思い浮かべる人もいるかもしれないが、実際は違う。相手から言葉を引き出す感覚である。答えは僕の中にあるのではなくて、僕と相手の間にある。 だから、コツコツ、コツコツと、徹底的に「聞く」ことからはじまっていく。
    ・なぜこの仕事をはじめたのですか?
    ・今、仕事をしていて何が面白いですか?
    ・これから仕事でどんなことをしたいですか?
    などを繰り返し、仕事への思いを語ってもらう。


    8 未来へ向けて足を進める
    未来とは「約束」なのではないだろうか? 他者との、そして何よりも自分との約束だ。
    「どこへ向かうのか?」という鍵を握るのは自分の心であり、自分の意志である。厳しすぎず、甘やかしすぎない自分との約束の積み重ねが、より良い未来の自分をつくる。未来を解釈してみよう、そして語ってみよう。

    解釈する先に、人は進める。
    この先には進めない、と勝手に決めつけているのは、他ならぬ自分自身だ。

  • コピーライターである著者が、人生を愉しく生きるものの見方や考え方を教えてくれます。
    コピーライターらしい素敵な言葉のチョイスが沢山あります。
    ぜひぜひ読んでみてください

  • んー、個人的には期待してたものと違ったけど、それこそタイトルを見ただけの決めつけだったか。
    現在の自分の捉え直しから、過去・未来の解釈を変えていくことで人生を自分なりに変えていこうという話。
    これはこれでへぇと思う部分もいくつかあった。
    269冊目読了。

  • 昔、法律は解釈だ、と聞いたことがあり、その通りだ!!と思ったことがある。
    自分の解釈(価値観)に人を当てはめることの危うさみたいなことを考えるようになって、「勝手な決めつけ」をせずに、でも自分の考えはしっかり持つって難しいなと感じている。
    なので、この本のタイトルが目に止まった。

    これは若い人達、就活生や、これから仕事で自分を表現しようとする人達に役立つと思う。
    ワークショップで受講生が書いた言葉がたくさん出てきて、キラキラしてて、いいなと思った。
    自分の感情を観察して言葉にするって、大事だし、
    面白い。

    著者がもらった年賀状に書かれていたという、
    「人生バラ色より色々」。おー、いいね。
    著者が言われた「積極的な受け身」。なるほど!
    先輩や同僚、友達からの言葉。書籍やCMの言葉。
    映画のセリフ。どこかで目にした言葉。
    それらが自分の心に響いて(残って)、こういうことだよねって自分で解釈して、少しだけ見る目や行動が変化するって、たぶんみんな無意識にやってる。影響を受けるって、そういうことだと思う。

    違和感を放置しない。
    上司に言われたから………
    友達がそうしてるから……
    家族がそうするべきと言うから……
    右向け右の時に、違和感は出没する。
    周囲の空気に流されない。あれ、おかしいなと思ったら、その違和感を「まあいいか」と放置せずに丁寧に理由をたどろう。小さいほつれのうちに。

    違和感に名前をつけよう、ってのが面白かった。
    「隠れプラ」=レジ袋は有料になったのに、小さいビニール袋は取り放題。モヤッとする。
    「なんでも判定団」=関係ないのに、僕はいいと思いますとか、それは嘘、とかジャッジする人々。

    過去の出来事は変えられないけど、その捉え方や意味は更新できる。つまり、過去の出来事は変えることもできる。
    これはすごい。解釈って、現在起こってることだけじゃなくて、過去を解釈できるんだ!
    過去の「あの感情」を受け止めることができたら、
    呼吸がラクになるかもしれない。。
    「今思えば」という言葉は魔法。たとえ感情の旬が過ぎても腐らせずに発酵を促す力になる。

    「なにを言うか」が、知性。
    「なにを言わないか」が、品性。
    「なんであんなこと言っちゃったんだろう…」
      が、人生。

    なるほど、そうだ、うーん、たしかに、
    という言葉が、読んでてこぼれる本でした。

  • すらすら読めるが余り印象的な部分は無かった。少し残念でした。

  • 物は考えよう・捉えようだという言葉はあるし、確かにそういう面はあるだろうと思ってた。
    けれど、出来なかったり、どうしてもネガティブになってしまったのは、解釈するという観点が抜けていたからだと思う。
    この本は「立ち止まって解釈してみる」という方法を教えてくれた。
    瞬間的な反応をしていると、囚われゆえのリアクションであることにすら気づけない。
    受け止めて立ち止まって解釈する時間を持つことで、より良い方向に進んでいける気がする。

  • 解釈の重要性、解釈の仕方、解釈することで得られる自由や解放感がある。

    縛られた正解ではなく、それぞれの解釈を見つける。

    その解釈するための練習として、この本を読む。


    p128〜
    「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。」
    by 喜劇王チャップリン

    p130〜
    人と別れること=独立記念日

    p143〜
    物事の視点を変えること
    =心理学用語で、「リフレーミング」

    p223〜
    生きるということは、過去の自分を肯定していく行為だ。

    p265〜
    ダイバーシティが大切にされる世の中で、それと同じくらいに自分の中の多様性を尊重したいし、一色では収まらない自分の持つ可能性を引き出してあげたい。

    〜〜〜

    未来は今だ。今の連続が間違いなく未来をつくる。

    〜〜〜

    未来は「0か100」、白か黒かなんてことはありえない。グラデーションを、その間にあるグレーな日々を愛そう。

    〜〜〜

    解釈する先に人は進める。



    読み終わってみて、

    誰かの正解に縛られない「解釈」の練習ができたと思うし、
    さらにその練習を、積み重ねていきたいと思えた。

    このタイミングで、この本と出会えて良かった。

  • 人間解釈や捉え方を変えるだけで拓ける未来がある、と思わせてくれる一冊。
    読みやすく、すぐ実行にうつせるようなことが書かれている。

  • 人の事例と解釈=名前をつけるの例はちょっと合わなくて読みにくかったけど、解釈を変えると見え方が変わるという考え方は共感できた。

    解釈を変えるともう一つの生き方を手繰り寄せることができる。
    人との別れは独立記念日。
    偉人著名人の名言が刺さりました。

  • 心にグッとくる言葉が多かった。私も両親からハッキリとした名前の由来を伝えて貰えなかった過去があった為、目から鱗だった。自分で願いを込めるっていいなと思えた。

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著者プロフィール

1986年生まれ。埼玉県出身。慶應義塾大学経済学部卒。98年電通入社。人事局に配属後、コピーライターに。言葉の力を味方につけて「世の中に一体感をつくる」コンテンツを企画する。映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで境界を越えて取り組んでいる。映画「アイスと雨音」、映画「君が君で君だ」、舞台「みみばしる」プロデューサー。ソーシャルエンターテインメントの「ダイアログ」シリーズのクリエーティブディレクション。BUKATSUDO講座 「企画でメシを食っていく」主宰。著書に『待っていても、はじまらない。-潔く前に進め』(弘文堂)、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)、『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

「2023年 『あの日、選ばれなかった君へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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