小説 ファインダーの蒼炎

著者 : 砂床あい

制作 : やまね あやの 

• リブレ (2017年1月19日発売)

感想・レビュー・書評

[Kさんの感想 · 2017年8月26日]

▼あらすじ
若くしてやり手の検事・黒田慎司は高校時代に一人の転入生と出会う。

――麻見隆一。

ほとんど学校に来ず、様々な黒い噂が囁かれる謎めいた同級生。
麻見は生徒の間で畏怖と羨望の的だった。
そんな麻見と、黒田はある事がきっかけで親しくなっていき…?
謎に包まれた麻見の過去が明らかに――!
やまねあやの描き下ろしマンガ収録!!

＊＊＊

160ページほどのお話なので然程時間をかけずさくっと読了。
DK時代の麻見なんて想像すらした事なかったので、麻見の口から「バイト」という言葉が出たり、まかない料理を作るシーンが出て来た時は麻見のイメージに似合わな過ぎて新鮮でした(笑)
(だって麻見って産まれた時からスーツ着てそうなんだもん…笑)

因みにこちら、ほぼ黒田視点でお話が進むのですが、まさか黒田がこんなにも悲惨な体験をしているとは知らず、軽いショックを受けてしまいました。
物語が進むにつれて仲良くなっていく麻見と黒田の様子にほっこりしていただけに、何の前触れもなく突然始まったレイプシーンは衝撃的なんてものじゃなく、一瞬、本気で思考が止まりました(^^;)

未遂で終わるとか生易しいものではなく、薬を打たれながら輪姦されるシーンがしっかり描かれているので、モブレが駄目な人は注意が必要だと思います。
私も予告無しのモブレはあまり得意じゃないので少し萎えかけましたが、この出来事がきっかけで黒田と麻見が深い絆で結ばれたのなら、それはそれで良かったのかな…と思う事にしました。(本音を言えば、モブレや麻見の殺人を含めあそこまでしてほしくはなかったですが)

最後は束の間の高校生活に終止符を打ち、闇の世界へと消えた麻見ですが…それにしても麻見父って何者なんだ！？って思ってしまいますね。
あの麻見の父親だから相当ビッグである事には違いないんだろうけど…。
謎が多過ぎてそちらも非常に気になりました。

挿絵がないのと、秋仁中心のお話ではないのでやや物足りなく感じる部分もありましたが、最後に小学生の秋仁がちょこっと登場する描き下ろしマンガが収録されていますので、ファインダー好きならそれなりに楽しめる作品だと思います。

[komopyさんの感想 · 2017年1月26日]

『ファインダーの烙印』に引き続き、再び砂床あいｾﾝｾが執筆されたスピンオフ小説です。
至上最強ブラックスパダリw麻見様の高校時代に遡った話とくれば、そりゃ読みますよ。
だって、麻見の生い立ちってすごく知りたいのに、ベールに包まれた謎の部分でしたからね～
今回、黒田視点でそんな麻見の過去の姿を垣間見ることができました。…高校生の麻見を見ることができるなんて、それだけでテンションが上がりますよね。
…期待を裏切ることのない麻見でした。やっぱりタダモノではない(笑)ステキでした。

麻見の過去に本編ではあまり触れられていなかったせいで焦燥感がありましたが、こちらの小説で一部解決。今までのイメージを崩すことなく、ちゃんとつじつまが合ってる展開なのもよかったです…
さらに高校時代以外でも、あの時のあのシーンでの麻見や秋仁らの心情が、さらに掘り下げて描かれていて、ストーリーを改めてじっくり反芻することができました。
マンガで視覚的に数えきれないほど萌えたけど、文章で脳内再生してまた萌えることができて幸せ…！！
それに『烙印』よりは、メインが18歳の高校生の麻見と黒田の話だったせいか、すらすらと読みやすかったですw
黒田がまさかの大変な目に遭ってて気の毒でした…でも、そこで見せた麻見の姿にその後の彼を予感させるものがありグッときました。

やまねｾﾝｾの描き下ろしマンガも収録されていて、こちらは例によってちょっと笑えてキュンとできる話でした。
何だかかわいすぎる…もっと読みたいw
作品全体にやまねｾﾝｾとのしっかりした連携が感じられ、信頼して楽しめたスピンオフ作でした。