にぶんのいちボーイフレンド (1) (ゆるよんコミックス)

著者 :
  • リブレ
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799736951

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  • ドキドキしたら性別が変わる「両性」な男子高校生 相二郎と金と科学の力で同じ体質になってしまったさくらのラブコメ。相二郎の幼馴染の朋彦もいい味出してる。一瞬、相二郎の両親の性別が理解できずに二度見三度見した。なかなかむちゃくちゃやってるけど、ほら、ラブコメだし。

  • きっとこれは、TS漫画におけるエポックメーキング。

    WEB漫画誌「ゆるよん」にて連載中のドタバタラブコメディマンガです。
    高橋留美子先生の代表作リスペクトなネーミングから連想できる通り、いやそれを越える頻度で主人公の性別がコロッコロと変わりまくりますよ。

    後天的性転換を主題とした作品(TSF)も提唱からはじまり、定義がある程度定まって久しい昨今ですね。
    私もそのすべてを見てきたわけではないにせよ、様々な作品が世に流れるようになったのは、性と愛の多様性が叫ばれるようになった現実と歩を合わせるようでいて実によろこばしいことです。

    さて、結論から言いましょう。
    この漫画、一巻時点からして私が今まで見てきた同ジャンルの中でも確実に五指に入るであろう素敵な作品です。

    一番の特徴は、性別が入れ替わる対象が主人公の要相二郎(基本:男)のみならず、ヒロインの一条さくらにまで適用されるってところです。
    これによって、異性愛(♂×♀⇔♀×♂)のみならず、同性愛(♂×♂⇔♀×♀)まで、フレキシブルに絵面が入れ替わります。
    これら四パターンはどれを取っても嫌味がなく、なおかつ絵も美麗なので男性向け女性向け、とジャンルを絞らせません。むしろ同時並行バッチこいや! って器の大きさがあります。
    いろんなジャンルの入り口にいいかもしれません。

    完璧すぎる彼女の前でいいところを見せようとしてる主人公は隙の多すぎるヒロイン気質で、お嬢様なヒロインが金と組織力を駆使して彼を護るヒーロー気質という逆転した構図になっているのも面白いところ。
    それでいてお互い勘違いとすれ違いを乗り越えて、筋を通して好きという思いを伝え合う王道のエッセンスが軸に据えられているのでページの割にはかなり濃いかもしれませんね。
    事実、山場では外見上の男女の組み合わせが気になりません。ラブコメギャグ四コマでありながらストーリーの導線がしっかりしていることの証明です。

    王道と言えばこの漫画、古典的な少女漫画の王子役/姫役を多少コミカルなフィルターを通して見せたところで嫌味になりにくいんですよ。
    男女、どっちの姿も読者目線で目にしつつ、あくまで同一人物だって刷り込みがしっかりなされているためなのかもしれません。

    ちなみに変身条件が「ドキドキすること」というゆるさなので簡単にピンチを演出できるほか、単にちょっとした心情の動きとして描くことで読者の表情筋を緩ませてくれたりもします。
    イケメンな彼女が案外簡単に男に変わったちゃうのも乙女心の発露と思えば、心がニコニコしてしまいます。

    ちなみに周辺人物も隙無く配置されていきます。
    両親の存在もしっかりと物語に組み込まれていますし、性別が変わる薬が社会に組み込まれたらこうなるのではって「if」を早い段階から見せてくれる点も興味深いです。
    あとは理解者兼イジリ役としてイケメンの眼鏡の友人がいい味を出しまくっています。

    最初から主人公を支える人間関係が割と出来上がっているのですごく安心して読める作風だなって思うんですよ。そして、その美点を分かった上で話を進めてくれる技量が見て取れるのも大きい。
    大方の材料は見たことがありそうでも、調理の仕方が実に斬新でした。この界隈では十年に一本クラスと称えたい。

    ただ一点、弱点を挙げるとするなら更新が遅めな辺りだけだと思うんですが、こうして単行本にまとまると感無量、そして一気読みがたやすいということで許しちゃえます。
    一巻時点で基盤が整ったところは見せてもらいましたし、よくわからない男女関係が明後日の方向から飛んでくるだろう第二巻は今年の夏発売だそうです。
    これは買うしかありませんね!

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