卒業したらカーストゲームからは解放される。
でも、人生のカーストゲームからは一生逃れられない。
今回は、修学旅行を通して変化が見えてきた刈野x梓の関係がメインのお話です。
修学旅行中に、クラスの女の子から「梓は変わった。優しくなった。」と言われ、混乱してしまう梓。
個人的に、梓が変われたのは、あつむの存在がすごく大きいと思うのですが、今回の修学旅行でもあつむの存在が需要になっています。
中学の修学旅行では、いじめられていて楽しい思い出が出来なかったというあつむ。
今度の修学旅行では、「みんなと一緒に楽しみたい」という気持ちを、素直に伝えます。
最初はギスギスしていたグループも、あつむの言葉や梓の行動によって、少しずつ仲良くなり、最後にはみんなで楽しかったと言い合えるようになります。
いじめられても希望を捨てずに、学校に来ることを止めなかったあつむは強い。
彼の想いが報われて、本当に良かったと思いました(T_T)
久世はもう「あつむが幸せならそれで良い」という感じで、久世らしい対応(笑)
アニメイト限定版の小冊子を読むと、ブラックな久世が堪能できます。
梓は友達思いになり、あつむは強くなり、他のカップルもみんながそれぞれに変わっていく中、刈野も優しくはなっているものの、彼にはキングとしての立場があります。
この世界の中で、実は一番不自由で身動きの取れない人間が、刈野なのでは?と、5巻を読んで感じてしまいました。
だからこそ、梓のように自由に生きられる人間は苛めたくなるし、自分でも気付かないところで、本当は梓が羨ましいのではないか。
どう見ても、刈野の梓への異常な執着は恋ではないかと思うのですが、彼は不自由な人間なので、自分の気持ちに正直になることすら許されないのではないか。
そう思うと、カーストゲームからはいつか解放されますが、刈野という人間は一生自分の決められた人生から逃れられることの出来ない、可哀想な人間に思えてきます。
そんな不自由な刈野が、梓といる時間だけは素に戻れたり(もはやただ梓とセックスしたいだけの男子・笑)、梓の笑顔を見てふとキスをしてみたくなったりと、心が揺さぶられる描写を見ると、なんだかたまらない気持ちになります。
いつか梓が腹をくくって「付き合ってやっても良い」みたいな事を言ったとしても、刈野は跡継ぎとして世継ぎを残さなければいけない立場なので、将来的に二人が幸せになれるかと言われたら、「好き」という気持ちだけで簡単に結ばれることはないだろうと予想しています。
5巻を読むと、梓も刈野も、少しずつお互いに対する接し方が変わってきて、1巻の頃に比べると本当に「普通のカップル」一歩手前みたいな感じになってきていますが、梓に必要なのは「素直さ」だとしても、刈野にはそれ以上の変化と大きな障害があると思うのです。。
5巻は、「カーストゲームが動く」という所で終わっています。
先生のあとがきによると、物語は半ばを過ぎて終わりへの道筋が見えてきたそうですが、どうか皆のハッピーエンドを願うばかりです。
それにしてもこのカーストゲーム、何の意味があるのか?
友達だと思っていたのに、カーストが変わった途端に友達ではなくなる。
こんなゲームの中で、本当の友達なんか作れるのかな?と全員が可哀想になりました。