- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800214577
作品紹介・あらすじ
ミイラ事件で有名になった「ライフスペース」の記事でクレームを受けた著者は、それ以来15年間にわたりカルト問題を取材し続けてきた。セックス教団の5泊6日の合宿に参加、宗教団体が主催する偽装就職セミナーへの潜入取材、教祖様の実家探訪…。まったく関係ない人間から見れば、奇妙奇天烈としか言いようがない彼らの実態とは何なのか。体当たりで取材を挑み続けた著者が綴る、カルト集団との交流(笑)&暗闘記。
感想・レビュー・書評
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とても面白かった。「血液型、あてさせてください」って話しかけられたことがあるけど、どういう団体だったんだろう…
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「取材したらこうだった」は文字通り、「カルトを取材するとはこういうこと」という意味。つまりルポではない。若干期待外れではあったが、切り口は面白い。
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セックス教団のイベントに潜入取材し、幸福の科学からは記事内容の修正を要求され、親鸞会からは刑事告訴され警察の家宅捜索を受ける…。数々の取材を文字通り『体を張って』敢行した筆者に心から敬意を表します。
自分が今住んでいるところにも、あえて具体的な名称を書かないが、さまざまな新興宗教の団体が存在することに驚きを隠せません。それを一概に『カルト』と断言することをここでは避けますが、『救われたい』という人がこれだけいるんだな、ということが認識です。何お隠そう、自分の家族も、自分の中学時代の素行の悪さが原因の一端かと思いますが、母がある新興宗教を信じ(今では信じるのをやめた模様)、一時期では僕以外のすべてが入信する、ということになっていたことを読みながら思い出しました。
本書の著者は北海道大学で「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材したことをきっかけに、中退後はフリーライターとして活躍し、現在では「やや日刊カルト新聞」を主催しているのだそうです。自分が今お世話になっている大学がいくつかあるのですが、どうもこういう雰囲気のある人間がキャンパスにいないのが不思議で、やはり自分も、札幌で学生生活を送っていたときは精神的に「イロイロ」なことがあって、そういう本を読み漁ったり、新興宗教関係のセミナーに行ってはそこの信者に議論を吹っかけるなんとも無茶苦茶な時代を送っていただけに、筆者の書いていることを「他人事」としては受け止めることができない自分がおりました。
ここで筆者は「セックス教団」の合宿セミナーや「自己啓発」関係のセミナーに潜入取材しては「市民社会」の基準から大きく逸脱したことを「ことさらまじめに」やっている様子をリポートしたり、とある新興宗教の(本書では具体名が書いてある)地元および実家を訪問したり、短時期で抗議の意思を示す筆者の目の前で、「暴飲暴食デモ」と称し、食って食って食いまくったりとその可笑しくも真摯な姿勢に、僕はとても共感を持ちました。
しかし、「面白い」ということはそれだけ「危険」ということの裏返しでもあるわけで、記事を書かれた教団からは日常的なクレームはもちろんのこと、家宅捜索や訴訟問題に発展することもあり、そういった彼らとの「裏バトル」についてや、彼らへの対処法も詳細に記されてあって、これがまたなんとも「実戦で積み上げられた」としか言いようもないほど生々しいものでありました。
僕がぼかして書いたことは本書の中で詳しく記されております。「信じる」ということと「騙される」ことは本来は表裏一体であり、俗に「カルト」と呼ばれる宗教を信じることは個人の判断にゆだねるしかない、というのが現時点での僕の結論ですが、こういったまず一般的なメディアでは扱われることのはないあろう話題に真正面から果敢に取り組んでいる筆者および関係者の熱意、そしてこういった取材に応じた側にも、心から敬意を表したいと思います。