- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800222299
作品紹介・あらすじ
全米で話題となったベストセラー、待望の日本語版登場!著者が世界各地で採集した色とりどりの昆虫たちを、自然のままの色で紹介。日本語版では、それぞれの昆虫に関する説明を加筆!
感想・レビュー・書評
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読む前は半信半疑だった。美しい物を誰が並べたって、美しいに決まっている。自然の素材をそのまま自分のアートだと言うなんて、ずるいじゃないか。と、言う気持ちがあったが、大きな誤解だった。
昆虫1つ1つの色合い、一番美しく見える配置が完璧に計算されている。正しくアーティストの所業。これまでにこれらの昆虫たちが、これ程までに美しく表現されたことがあっただろうか。自然は美しい。それに挑み、それを越えられた物がアートなのだ、という事を改めて思い知る。
そう、標本箱の虫は、生息地毎や分類毎に並べなくてもいいのだ。うっとり眺めるための物に、そんなルールはいらない。
私は昆虫が大嫌いでありながら、昆虫の美しさを無視できずにいた。あの目が眩むメタリック。宝石の色合い。
もっと美しい昆虫が見たい。でもその欲求を満たしてくれる本は皆無だった。どの本も必ず不気味な昆虫も載っていて、美しい昆虫にまでもそれらと共通の事項を見出だし、不気味に思えてしまうのだった。
この本に感謝している。虫嫌いも、虫を美しいと思っていいのだ。
著者の前書きや後書きが面白い。なんと著者も大の虫嫌いだったにもかかわらず、ある時突然昆虫の美しさに取り付かれてしまったという。その後のはまり方がすごく、まるで昆虫学者のように虫を集めまくったそう。
また、自分の展覧会に来た人の話をこっそり聞き、人が虫のどの部分を嫌うのか、それをどうしたら除けるかを研究したそうだ。その結果、人は触角や脚に恐れを抱くという結論を出し、触角や脚を極力使わないようにしたらしい。
確かに、この作品に触角があったら、アートとして不恰好になり、昆虫そのものの美しさも薄れてしまうと思った。
この本の昆虫に触角や脚が無い事を批判している人を見たが、普通の昆虫標本と何が違うのだろう。
「虫好き」と言う人だって、昆虫を磔にした標本箱を嬉しそうに眺めているではないか。
この作品は普通の標本箱よりずっと美しい。要は、死んだ虫をただ並べた人が、美しく並べた人を批判するのはどういう事なのか理解しかねる。
標本は学術的興味を感じなければいけないと言うだろうか?私はこの本のある虫が気に入り、名前を検索してみたが、ほとんど画像がヒットしなかった。こんな美しい虫が、ネット上でもちっとも話題になっていないのだ。虫嫌いな私でさえも、ネットでは探せない、美しい虫に出会う事ができた。やっと私は昆虫という生物に興味を持ち始めたのだ。
昆虫採集は昆虫を取りつくしてしまう事はない、という話も初めて読んだ。例外もあると思うけど、少し安心できた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもの頃に繰り返しめくっていた昆虫図鑑を思い出しながら、宝石の広告写真でも見ているような気分になった。その意味で、たしかに「キレイ」ではあった。同時に、こんなんじゃなかったのに、という思いもあった。
著者は最初、昆虫が苦手だったらしい。それが次第に、昆虫の魅力にとりつかれていった。
本書にはじつは、その過程がありありと現れている。
というのも、本書に収められている美しすぎる写真たちはいわば、かつての昆虫に対する憎悪の裏返しなのだから。
そのことを了解した上で、タイトルにある「美しい」という文言をあえて「うつくしい」とひらがなで開いているのだとしたら、ある種の批評的な視点もあったのかもしれない。
ひどく倒錯的な書物だというのが一読した率直な感想。 -
昆虫に嫌悪感を抱くのに、それを抑えてでも観たくなる美しさを魅せてくれる一冊。
気持ち悪い感情は完全には拭えないけれど、ただ嫌悪の対象として見てきた昆虫を自然界のアートとして、著者のデザインとして別の角度から見られるのがおもしろかった。
命の美しさと不思議に触れられる図鑑でした。 -
昆虫曼荼羅
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自然の造形に神秘的なものを感じる。
子供と眺めた。 -
うつくしい。
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請求記号 486.087/Ma 52
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自然が創り出す美を最大限感じることが出来る作品。
昆虫好きにはたまらない!