偽りの私達 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800296351

感想・レビュー・書評

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  • 高校二年生の土井修治が綴った手記。そこには七月十七日から八日へ時間が巻き戻っている現象が記されていた。ループの原因と思しき渡辺百花の転落死を食い止めるべく、彼は調査し始めるが──。

    第17回『このミステリーがすごい!』大賞の隠し玉!「現役女子高校生17歳、鮮烈デビュー!」の帯に偽りなし!日部先生の新作からデビュー作へと戻って読んだけど、この時から切れ味は充分だった。ループ現象を書き残した土井の手記に始まり、彼の大切な人・七瀬の記憶など、視点が重なっていく構成に惹き込まれる。主観としては歪に見えたものが、レンズを重ねることでピントが合っていく気持ちよさ。後半はこれ苦手な展開かも?!と思いきや、想像を超えてきてくれてニヤニヤしてしまった。

    「転落死してしまう百花を助けられるのか?」という明快な目的を柱にしつつも、そこに関わってくるのは都市伝説「まほうつかい」の存在というのも面白い。「選ばれた人間は、一度だけ誰かを救う『まほう』が使える」という噂話。おそらくこのループという超常現象は「まほうつかい」が関わっているはず。それならば「まほうつかい」は誰なのか?なぜ土井はループ前の記憶を持っているのか?謎が謎を呼んでいく。

    事故の調査をして浮かび上がってきたのは、クラス内のスクールカーストといじめだった。孤独であることに慣れているが、七瀬を助けるために人間関係のしがらみに飛び込む土井。孤独を恐れるがあまり、カーストの中で偽りの友人関係に支配されている七瀬。七瀬と凛の口論で感じた、弱いと強くないは違うという話が印象深かった。スクールカーストだけではなく、上下関係に絡め取られてしまう状況は大人になってもよくある話だよね。人間関係から偽りは切り離せない。ただ、自分自身を偽ることはできないのだ。それがどんなに歪でも、自分は自分なのだから。

  • 【まほうつかい】こんな便利な設定なら最後 何でもアリになってしまうじゃないか。っと 思ったが、それを差し引いても素晴らしい作品。

    作者が17才(当時)? 天才か? そこも差し引いても 控え目に言っても天才。

    そして、何より ヒリヒリする程のリアルさと圧倒的なダークヒロイン 個性豊かなキャラクター達の物語へ読者を引き込む著者がまさに【まほうつかい】

  • 学校でのイジメ、スクールカーストの話で読んでいて疲れる

  • 図書館で借りた本。
    ある朝起きたら時間が戻っていることに気がついた修治は、昨日事故死したクラスメイトの運命を変えるために、誰かがまほうつかいの能力を使ったと考え、手記をつけ始める。事故の運命は変えられるのか。

  • 朝起きると10日前に時間が戻っていた。
    同級生の死を防ぐ事ができるのか?

    高校生が書いたとは思えない程完成度が高い。

  •  突き落としたあと一切出てこない七瀬、父親からは守れたかもだけど、今回のいっけんでは何も救われてないような...

  • よく練られている作品だけど、最後の章の種明かしがあからさますぎて少し興ざめする。1章の主人公の手記が物語の要だけど、文章が手記ではなく小説になってしまっているので、作者の意図があまり伝わってない気がする。
    若い作家さんだし、面白くなっていきそうな雰囲気はあるので、次回作にも期待したい。
    ただ、どんなに面白くてもいじめ、スクールカーストみたいにな話は読んでいて気持ちよくはないね。

  • 最後の方で読者も騙されていたことに気づく展開。
    時間軸がいったりきたりしており、話の移り変わりが早い分読み進めやすいが、内容的には少し分かりづらく咀嚼が必要な部分も。
    複数の登場人物の視点で一つの事件が語られており、一つの出来事に厚みが感じられて個人的に良いと思った。

    • ZEROさん
      それをネタバレと言います。
      それをネタバレと言います。
      2021/03/21
  • 驚きが何度もあり、すごく面白くて、次が気になって仕方がなく一気読みしました。登場人物の描写がリアルです。新しい感じのミステリーでお薦めします。

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★☆☆ 9
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★★ 5
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★☆☆ 6
    『印象』★★★☆☆ 6

    《総合》71 B-

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著者プロフィール

2001年、神奈川県厚木市生まれ。2019年に「DEATH★ガール!」で第2回青い鳥文庫小説賞金賞を受賞。同年、第17回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として『偽りの私達』(宝島社)を刊行し、小説家デビュー。現在お茶の水女子大学に在学中。

「2021年 『袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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