首塚・胴塚・千人塚 日本人は敗者とどう向きあってきたのか

著者 :
  • 洋泉社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800307804

作品紹介・あらすじ

なぜ、その場所に葬られたのか。大化の改新から西南戦争にいたるまで、近代以前の戦乱によって誕生した無数の死者たち。全国660ヵ所以上に確認できる、彼らの足跡を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 首塚・胴塚・千人塚は、過去の戦乱に関わる塚状の遺跡群である。
    日本国内での戦乱での亡骸を埋葬し、その伝承を残す場所でもある。
    沖縄を除く四六の都道府県の六六五の事例から、その一部を言及。
    参考文献多数。全国の首塚・胴塚・千人塚等の一覧が詳細。
    木曾義仲・大化改新と蘇我入鹿・壬申の乱・平将門・一の谷合戦・
    楠木正成と新田義貞・関ケ原・幕末と近代は西南戦争まで。
    それぞれに関わる首塚・胴塚・千人塚を、事件の概要&経過と、
    各地に残る伝承や史料・文献、地名や地形等で検証しています。
    斬首等の記録はあっても、遺体、特に梟首の後に首がどのように
    処理されたか、どこに埋葬されたかは不明なことが多いのですが、
    首塚などがあるその地は、実は武将との縁が深かったりします。
    古くは将門、近代では西郷隆盛にも首塚の異説があるほどです。
    これらの他、多くの兵が埋葬された千人塚や耳塚、鼻塚を含め、
    故郷から離れた場所で悲惨な最期を遂げた者たち、客死した者たち
    への哀憫が祟りや霊験に結びつき、伝承になっていったことなど、
    生者必衰の憐れと、遺体を目の当たりにした民衆の畏れを
    感じさせられました。

  • 内容は興味深いが題名と装丁のせいで夜中に読むのがコワイ。
    ようやく読み終えた。興味がない明治維新以降は端折ったけれど。
    打首さらし首のその後など、珍しい分野に注目した点がなかなか面白かった。しかし、さらりと読めると思ったらそうでもなく随分時間かかってしまった。

  • 戦争政争の敗者となった人物が首級となって晒された後の事は史書に残らない。そこで首級や遺体がどうなったのかを人々の伝承とともに記憶しているのが首塚・胴塚・(遺体の部分)塚、そして多くの戦争の犠牲者を祀る千人塚なのだ。 665か所に及ぶというそうした史跡の一覧表がありがたい。

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著者プロフィール

1976年、東京都世田谷区生まれ。1999年、国学院大学文学部文学科卒業。2009年、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。
韓国・蔚山大学校人文学部日本語日本学科講師、千葉大学地域観光創造センター特任教員、東京大学東洋文化研究所特任研究員を経て、現在は会社役員、立教大学日本学研究所研究員。
専攻は民俗学、近現代東アジアの思想と文化。

「2023年 『政治風土のフォークロア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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