中江藤樹『翁問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ15)
- 致知出版社 (2017年5月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800911476
感想・レビュー・書評
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近江聖人中江藤樹,代表的日本人でも紹介される。
一定の教養がないと読み進めるのが難しい。実際,時間がかかった。何を目指して生きるのか。学問をすることとは何か。私利私欲をすてること。後半の仏教批判が痛快だ。人間の本質を捉えた上で,人間はどうあるべきなのかを示す。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
”「代表的日本人」に紹介された ”近江聖人” 中江藤樹。
41歳で没した江戸時代の思想家が、門弟からの問いに答える形で30代の頃に著し、門外不出の書だったもの。海賊版出版を知った門弟たちが、没後に出版した書。
老翁と門弟・体充(たいじゅう)とのやりとりを横で聞いていた、という体裁だが、実際には藤樹の言葉にちがいない。
<抄録(抜き書き)>
・五倫
倫は「倫理」の意で、「人として守るべき規則・秩序・道徳」をいう。君子・父子・夫婦・長幼・朋友の5つの人間関係で守るべき、人としての最低限のルールが「五倫」であるとするのが儒教の教え。(p.28)
※君臣→忠・仁 (義)
親子→慈 (親)
兄弟→梯・恵 (序)
夫婦→順・和 (別)
朋友→信 (信) ()内は五典
・五常の性(仁・義・礼・智・信) (p.44)
・孝徳を明らかにしたいと思うなら、まず父母の恩徳について考えてみることだ。母は、受胎してから十ヶ月もの間、妊娠に伴う苦しみを受け、死の危険と隣り合わせの体となる。父は父で、胎児が安全無事に健やかに発育することを願って心配し、さまざまな辛苦を心の中で味わうのである。そして、いよいよ出産のときを迎えると、母は体を切り裂くような苦痛を受け、父の心は灼けるような苦痛にさいなまれることになる。(p.47)
※達兄が絶賛した箇所。「なぜ父母への孝行が大切なのか」がいちばん分かる箇所★」
・正真の学問 ⇔ 記誦詞章の学問
まず志の根本に明徳を明らかにすることを据える。そして、四書五経に記された人としての心を師とし、物事に対応する日常生活の出来事を砥石に見立てて、明徳という名の宝珠を磨くことだ。(p.79)
※ヒロさん紹介
・文武両道
文武とは、元来、一つの徳目であって別々のものではないのだ。
(略)
天を経(たて:縦糸)とし、地を緯(ぬき:横糸)として布を織るように天下国家をうまく統治し、五倫の道を正しく行うことを「文」という。それに対し、天命を恐れない悪逆非道な者が文道を妨げるなら、刑罰に処して懲らしめたり、軍を発進させて征伐したりすることで天下を統一して政治を行うことを「武」という。(略)
文道を行うための武道なのだから、武道の根本は文道なのだ。武道の威を用いて修める文道なのだから、文道の根本は武道である。(p.88-89)
・さらにいうと、文武には徳と芸という本末がある。仁は文の徳で文芸の根本である。文学・礼・楽・書・数は芸で文徳の枝葉である。よって、根本である徳をまず第一に励み、学んで、第二に枝葉である芸を習う。そうすることで本末が兼ね備わって文武合一となる。(p.90)
★三益(触発・栽培・印証)が大事
「聖経賢伝」の教えには、明徳を明らかにするための「三益」がある。一つは「触発」である。一つは「栽培」(育成)である。一つは「印証」(実証)である。この三益は、いずれも自分のふがいなさを憤ることで得られるものだ。(p.299)
※今日から何をするか?「吐き出せ想い」→「発憤ノート」
※佐藤一斎も発憤の大切さを言志四録で語っていた。(by 達兄)
<きっかけ>
2018年2月の人間塾 読書会の課題図書。” -
三書 孝経 大学 中庸