- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784801300743
感想・レビュー・書評
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事故のエピソードは組織人として身につまされる内容だった。筆者の主観的な記述が多いのが気になったけど、それはそれで鉄道史の素人には面白かったし、あとがきに書かれていた執筆の動機を知って納得。読んで良かった。
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私を含めた多くの人は、これから列車の運転をすることはないだろう。しかし、鉄道事故でなくても、多くの人を巻き込むような、取り返しのつかない失敗を起こすかもしれない。(中略)このことを、私だけでなく、多くの人に問いかけたい。
(p.219 あとがきより)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みやすい。
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鉄道の裏話、というか事故や事件、トピックスをランダムに扱った本。
内容はともかく、なぜこれがチョイス??というのもいくつかありました。事故、事件、M&Aなど、それぞれきちんと1つの本にできるものなので、できれば分けて書かれた方が良かったのではないかと思います。 -
ちょっと甘めの評価かもしれないけど、鉄道好きと、鉄道好きに伍す知識を得たい人は必読。
タイトルどおり、内容は過去から直近までの日本の鉄道事故(上尾事件から福知山、JR北海道の列車火災まで)、国鉄、西武、新幹線利権、村上ファンドの阪神買収と、幅広い時代を網羅しつつ、なかなかの深さで切り込んでいます。意外に現代寄りで、三河島事故や桜木町事故はさらりと触れる程度だったけど、深く書けるものを厳選したのかな。
鉄道事故を集めた第1章はドキュメンタリー仕立てで、読んでて臨場感があって引き込まれます。上尾事件のような遥か昔の話も、ここまで鮮やかに書けるのが凄い。リアルタイムで接していた地下鉄サリン事件や福知山線事故も、改めて読む価値あり。著者はこの本を、福知山線事故の調査報告書に触発されて書き始めたとあとがきに書いているけれど、なるほどと納得。
第2章は国鉄の酷さを生々しく記して、第3章は堤康次郎、田中角栄、村上ファンド(+ちょっとだけ五島慶太)と鉄道の関わりを記していて、こちらも面白く読めました。堤さんの鎌倉の墓地の話は別の本で読んで知っていたのですが、日参する社員たちのモチベーションの源をこの本を読んで初めて納得しました。
丁寧な調査とわかりやすく臨場感のある語り口で、ここ数年で読んだ鉄道関係の書籍では頭ひとつ抜け出ています。鉄道好きにはおすすめ。一般の方におすすめして良いものかどうかはわかりません!(笑 -
○鉄道の発展に、黒そうな歴史あり!
タイトルに「誰も語りたがらない」とあるが、鉄道は事故の歴史により発展してきたと言っても過言ではないと思うので、大いに語るべきではあると思う。
よくYouTubeで検索すると、昔の鉄道事故の報道映像がアップされていたりするが、その報道映像で見ていたのが活字になったような感じである。
「事件と事故の裏面史」「国鉄とJRの裏面史」「金が動かした鉄道史」の3章からなり、
1章「事件と事故の裏面史」では信楽高原鉄道、福知山線、サリン事件などが取り上げられる。
特にサリン事件は、現場での混乱とそこで起こったことがありありと記されていて、テレビで事件のことを見ていたわたしもハッとさせられるような内容だった。各事件とも、最後に原因とその原因を生んだ理由を記し、教訓化している。
2章では、下山総裁轢死事件や分割民営化について語り、3章では政治・経済との関係で起こった事件を解説している。
しっかりまとめてあるので、鉄道事故に興味のある人はぜひ持っていたい1冊である。