▼あらすじ
若くして徳江組の二代目組長となった工は、襲名して早々事故に遭い、記憶が退行してしまう。
それにより性への知識も真っさらになってしまったが、元より“オンナ”役も務めていた若頭・勝瀬が奉仕してやると、苛立ちや寂しさを埋めるように、度々その身体を欲するようになった。
勝瀬は組の内外に記憶退行の事実が漏れないよう努める中で、出会った頃からすでに影を背負っていた工の、本来の明るさを垣間みる。
しかしその人が変わったような違和感に、組内の対立派閥も気づき始めーー。
中身は“子ども”の組長と、その“オンナ”の若頭。
すべての欲が絡み合う、究極の主従愛。
***
ストーリーの完成度:★★★★☆
バイオレンス度:★★★☆☆
シリアス度:★★★★☆
エロ度:★★★★☆
萌え度:★★★☆☆
総合評価:★4.0
Twitterでちょいちょいイラストをお見かけしており、前々から密かに気になっていた作家さん。
ただ、個人的にガチムチがあまり好きじゃないのと、ヤクザものに少し抵抗がある為、最初は表紙でスルーしていたのですが、それでもやはり気になってネットで試し読みをしてみたところ、あれ?何か面白いぞ?となり、意を決して購入してみました。
結果、面白かったです。素直に読んで良かったな、と思いました。
まず、ヤクザの組長が事故で記憶が退行し、精神年齢が小4の子供に戻ってしまうという今までありそうでなかった設定が面白かったです。
見た目は大人、頭脳は子供という某推理アニメの反対版(笑)で、中身がやんちゃな分、次は何をやらかすのか予想出来ずヒヤヒヤしながら読みました。
エロシーンも中身が小4の子供だと思うといけない事をしている感があるのですが、いかんせん見た目ががっつり大人なので若干頭が混乱しつつも「これは新しいぞ…!」と読んでて楽しく思いました(笑)
因みに受けは工一途な大型ワンコ系キャラで、見た目は結構おっさんっぽいです。
工以上にガチムチなので見た目はややゲイゲイしいのですが、とにかく献身的で健気なキャラクターなので好感が持てました。
ただ、ヤクザもののお話なのであまあまな雰囲気という訳にはいかず、黒田という当て馬キャラに陵辱されてしまうシーンがいくつか出て来るので、人によってはしんどいと感じる部分もあるかもしれません。
ですが、表紙のイメージほど暗くて重たい話ではなく、確かにシリアス寄りのお話ではあるのですがあまあま好きでヤクザものが苦手になりつつある私でも読みやすいと感じるレベルのお話だったので、それほど身構える必要はないかな、と思います。
因みに肝心な工の記憶についてですが…最後には戻るだろうと思ってたらまさかの戻らないオチで吃驚しました。
でも、個人的には「あ、戻らないんだ…」程度でそれほど残念には思わなかったかな。
例えばこれが事故に遭う前の勝瀬と工のストーリーが出会いからしっかり描かれた上での記憶が戻らないオチなら感じ方も違ったと思うんですよね。
まぁ、そもそもそういうストーリーだったら確実に一冊じゃ収まり切らないでしょうし、今よりもバッドエンド感が強くなって読後感悪くなりそうなので、個人的にはこれで良かったかなって思います(笑)
ただ、不満に思う人の気持ちもめちゃくちゃよく分かる(冥花すゐ先生のイトウさんを読んだ時の私がそうだった)ので、この辺は読む人によって評価が分かれるところかなぁ…と思います。
記憶が戻らないという意外性のあるオチも含めてストーリーは上手くまとめられていると思いますし、エロもしっかり描かれているので全体的に読み応えが感じられる作品でした。
ただ、黒田が何を考えているのかイマイチよく分からなかったので、そこが少し残念かな?
でもこの終わり方だとスピンオフや続編が出る可能性も高い気がしますね。もし出るなら読んでみたいと思いました(^^)