作品紹介・あらすじ
ニューヨークでショーを行ったことによって、過去の因縁から離れ離れになる沓名とリョウ。東京に一人戻った沓名は、表面上は平静を装っていたが、店のスタッフたちともぎくしゃくとしてしまい、失ったものの大きさを自覚することに。二人は再び出会うことができるのか……?
感想・レビュー・書評
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【canis the speakerは未読、Mr.rain+dear hatter1、2服目での感想】
今回新装版の表紙に惹かれて購入しました。あ、これすごい面白そう…と思って調べてみるとMr.rainを先に読むとのこと。hatterでの二人のストーリー軸をものづくるための"基"がrainに詰まっていて、もう一度読み返すのがすごく楽しい作品でした!
この作品、なんといっても攻めの柏葉リョウがかっこいいのなんの…受けのサトルが「一目惚れ」するのも頷けるかっこよさ。このかっこよさっていうのが、顔面(というのもありますが)というよりは彼の佇まいだったり仕草に現れてるのがすごく好きでした。このサトルが一目惚れするような彼の佇まいが、ちゃんと過去から形成されてるものなんだ!というのがちゃんと描かれているのも凄く丁寧で共感しやすかったです!
私が読了して真っ先に感じたのは一本の映画を見終えたかのような感覚でした。それはストーリーは勿論ですが、構図だったりセリフ回しだったりというところに現れていて、作品一帯がいきいきと動いていて、読んでいて自然に彼らの感情の動きが感じることができました。
先述に、柏葉リョウが凄くカッコいい!という趣旨を書いたのですが、読めば読むほど沓名聡が男前。銃声が聞こえた方へ飛び出したり、火傷寸前まで蒸気に手を突っ込んだり、言動だったり凄く危なっかしい面が目立ってハラハラするのですが、そのハラハラする部分が二人が幸せに歩んでいく未来に貢献(?)しているのが好きです。あと終盤のシャワールームのシーンだったり、2時間〜の下りなどおっとこまえな感じが本当にカッコいいです。思わずリョウが「かっこいい…」って言ってしまうのが本当に共感できる。
この作品全体で、ここ本当にいいなあと思っていたのは「互いの思いをお互い分かっていたのに言わない雰囲気」と「最後の最後はストレートに伝えるところ」です。先述の方は特にhatter1巻で感じました。お互いどう想っているか、でも離れることはわかってる、言いたい、言わないの"好き"が本当にもどかしくて…でもそこがいいなあと思ってしまったんです。両想いだからといって簡単に繋がれるわけじゃない、互いの譲れない事情があるっていうリアルな関係性がたまらなかったです。そして後述、言いたい言えない言わないの"好き"が最後どうやって結ばれるんだろう…と思っていたところにサトルからのストレートの「好き」、本当にカッコよくて飾らない言葉がこんなにも美しいんだって知りました。リョウがなりたい大人、人間、サトルに愛される人間になりたい…という純な願いに真っ直ぐ向き合ったサトルがカッコ良くてカッコ良くて、こんなサトルだからリョウは好きになったんだなって、一緒に歩みたいって思ったんだなって思いました。
二人が進んでいく道が明るいものなのが嬉しくて嬉しくて、幸せになってほしいなと心から思います。
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