ヒール〜先生はいつだって上田馬之助だ!〜
- NextPublishing Authors Press (2016年12月23日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784802093057
感想・レビュー・書評
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力道山に始まる日本のプロレス。馬場、猪木の時代から、鶴田、藤波、長州、天龍。全日四天王に闘魂三銃士。そしてオカダ・カズチカへ。
プロレスは時代を映す鏡である。
かつての国民的エンターテインメントに比べると、寂しいぐらいにジャンルのスケールは小さくなっている。
プロレスだけでなく、娯楽そのものが細分化し、オタク化し、狭い狭い袋小路に入り込んでしまっている2017年。
こんな時代だからこそ、確かな実力に裏打ちされた、確信の持った「ヒール」の生き方が必要なのだと、筆者は訴える。
その象徴こそ、まだら狼・上田馬之助なのだ。
豊富な読書量と、にじみ出てくる哲学的論考。しかし、議論のための議論ではない。
プロレスの歴史や現象の中に、その根本にある本質を見いだしながら、複雑化し、混迷を極める現代を生き抜く胆力のようなものこそ、「ヒール」の生き方だ。
力道山に師事し、確かな実力を磨きながらも、不幸な出来事により日本プロレスを追放されてしまう上田。
お互いの実力を認め合った仲である猪木と再会した時は、リングの上で、日本人初の究極のヒールとしてであった。
その後、馬場率いる全日本プロレスに移籍後、再び新日本に復帰した上田。
そこでは、猪木の存在そのものを脅かす、後の格闘王・前田日明に対して猪木の防波堤として、その仕事を果たす。
ただのノスタルジーでなく、我が身に、我が生き方に、ヒールの強さを身につけたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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