「うつ」な気分を手放す方法 微笑みの練習帳 カウンセラーが自分のうつを克服した考え方
- NextPublishing Authors Press (2018年9月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
- / ISBN・EAN: 9784802094863
感想・レビュー・書評
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「僕はカウンセラーなのに、なんでこんなに憂鬱でイライラしているんだろう」
カウンセラーとして独立して数年たった頃でした。心の専門家を名乗っているにもかかわらず、僕の心の中は深い憂鬱とイライラでいっぱいでした。
ずっと隠していたのですが、今、公表しようと思います。僕は数年前、うつ病になりました。そして、ずいぶんと長い間、うつな気分で過ごしました。自分自身がカウンセラーだというのに。
僕が学んだカウンセリング心理学は、社会的な成功や名誉を約束してくれるものではなかったのですが、ふとした日常の中に喜びを見いだせるもののはずでした。実際、カウンセラーとして独立してすぐの頃は、すごく穏やかな気分で過ごしていました。
ところがいまの僕は、様々な責任感や将来への不安、昔は持っていなかった劣等感、友人への妬みや嫉妬、年齢から来る焦りでいっぱい。幼少期の辛かった経験を、何度も思い出してしまう。友人から来る幸せそうな年賀状やSNSの写真は、テロ行為のように感じます。
雨が降っているという理由だけで、酷く落ち込んでしまう。コンビニのレジがこんでいるというだけでイライラする。テレビを見ても笑う気になれず、趣味をしようにも乗り気にならない。漫画を読むのもゲームをするのも面倒くさい。
夜、ベッドの中で目をとじるとき、「生きてるだけで、面倒くさい。このまま寝ている間に心臓が止まって、目を覚まさなければいいのに…」と思ってしまう。体が重い。何もないのに涙が出そうになる。
「こんなはずじゃなかったのに…」と思うと同時に、もう一度自分を取り戻したいと、強く思うようになりました。昔の僕は派遣社員でお金も名誉もなく、独身の実家暮らし。母親にも姉にも心配されていたのですが、毎日の生活の中にたしかに微笑みがあったのです。天気がいい日に散歩をしているだけで、微笑むことができたのです。
僕にとっては、そんな些細な日常のできごとでも微笑めるということ、そんな生き方そのものがカウンセラーであり、僕が心理学を通して学んだことです。
僕は一度あきらめた子供のころからの夢を叶え、カウンセラーになって独立し、何冊か出版させていただき、今では海外で翻訳までされています。それなのに、なぜ僕はこんなに毎日、うつな気分で過ごしているんだろう。
僕は何を手に入れて、何を失ったのか。もう自分でもよくわかりません。とにかく今の僕にわかるのは、うつな気分で過ごす毎日に、もううんざりしているということです。そして、それを変えることができるのは、僕自身しかいないということです。
だから、難しい知識や理論なんて、全て捨ててしまおう。もう一度自分の心を一から点検してみよう。整体師さんが骨のゆがみを直し筋肉をほぐすように、僕自身の心もちゃんとほぐしてゆがみを直し、もう一度整えよう。
僕が心理学の先生達に教わったことを、体験を通じて学んだことを、ゆっくり丁寧にひとつひとつ思い出していこう。全てはうつな気分にさよならし、微笑みを取り戻すために。そのためだけにこれを書こう。
著者について
中越 裕史 日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー 産業カウンセラー。1979年生まれ。大阪府大阪市在住。やりたいことがわからず悩んでいる人のため、天職探し心理学を立ち上げ10年以上になる。主な著書として『天職がわかる心理学』、『好きなことが天職になる心理学』、『「やる気」が出る心理学』。共にPHP研究所詳細をみるコメント0件をすべて表示