歴史認識はどう語られてきたか

著者 :
  • 千倉書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805112076

作品紹介・あらすじ

1990年代前半、日韓関係は確実に変化し、そこから不可逆の隘路にはまり込んだ。両国間の歴史認識のギャップに肉薄する第一人者の最新論稿。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:319.1A/Ki39r//K

  •  80年代の教科書問題、90年代初頭までの慰安婦問題、90年代以降の問題をそれぞれ第1〜第3部で扱うが、共通するのは、ある言説が支配的になり相手との間で争点となるには、その事象や言説自体に加えその時点の社会的文脈があることだ。
     著者は韓国民主化の影響を否定はしないが、第1・2部では民主化以前の状況を見る。70年代末以降は日韓で、ウェスタン・インパクト以前からの「内在的発展」論について差異が生まれたこと。82年の「教科書検定での書き換え」報道は当初韓国での扱いは小さかったが、中国とのライバル意識や当時の借款交渉の影響で大きく扱われる。80年代の韓国での慰安婦問題への関心の高まりは、70年代の日本での言説の高まりの影響。日本では、元兵士の体験がベースの戦後すぐの慰安婦言説(朝鮮人慰安婦と植民地統治を関連付ける意識は薄い)と、70年代の言説の違い。
     第3部は90年代以降の状況だが、著者の持論とも言える、韓国における対日関係の重要性低下とエリートによる統制の喪失がここでも指摘されている。旭日旗問題は具体性を失い抽象化した新たな歴史認識問題のあり方を象徴的に示す、とされている。具体性がないからこそ、「解決」は極めて困難なのだろうと思わされる。

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著者プロフィール

神戸大学大学院国際協力研究科教授

「2022年 『誤解しないための日韓関係講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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