- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784806138402
感想・レビュー・書評
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ドラッカーの会計についての考えを要約した本。
ストーリー仕立てになっており、わかりやすい。
数字だけで考えるべきではない。会計の中身を改めて観察してみようというのが主旨である。良い製品や料理だけでは儲からない。主人公の経営する店がうまくいっていないのは何故か。価値と価格やコストについて、多くの人が気づいていない会計に隠された欠点を浮き彫りにしていく。
損益計算書に出てくる数字には、コストは記されているが、そのコストの中身は記されていない。コストの中で、利益に貢献したコストは何で、無駄なコストは何なのか。
四半期決算という区切りが、会社の経営にどう影響しているかを考えることになる。
本来は会社経営は一年で区切る必要もなく、それを評価に使うことすら間違っているということ。経営は5年先、10年先を見据えることが大切であるが、短期的な数字による評価は会社の未来を反映しているのではない。
しかし株主や銀行に向けたものとして、大切であることは事実であり、数字の把握は経営にとっても重要だ。ただ、決算書という数字だけを見て何かを判断するのは、短期的思考に陥ってしまう。これから先も会社を存続させることを目的としているならば、短期的思考はリスクそのものであり、経営者が重要視することは危険である。
見るべきはこれから先に生み出す価値である。
お客様は価値にお金を払う。
価値に根ざして考えるならば、価格は価値を継続的に産むために決定されるべきだ。それこそ利益が必要な理由だ。利益は無駄なコストを賄うものであってはならない。
お客様が望む価値を創造するために必要なコストと、そうでないコストを理解するには、数字だけでなく、その中身を知る必要がある。
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この本は、キャッシュフローを重視し、未来を見据えた経営の大切さを説くものである。
以下、気になって文章を引用する。
“資金繰りに追われ出すと、商売をそっちのけで金を追いはじめる。”(P35)
“利益に関する最も基本的な事実は、「そのようなものは存在しない」ということだからである。存在するのは、コストだけなのである。”(P47)
“第一に利益と儲けは違うということだ。第二に期間利益は過去の計算結果にすぎず、しかも、いかようにも操作ができる。第三に、ビジネスは会計期間とは関係なく継続しておこなわれる。よって、期間利益では会社の本当の業績はわからない。そして、最後に、利益の多寡に関係なく、現金を生み出せなくなると会社は破綻する。”(P60)
“経営で大切なのは、将来にわたり価値を創造し続けることだ。つまり、将来の利益であり、将来のキャッシュフローだ。”(P68)
“社会現象においては、一方の極の10%からせいぜい20%というごく少数のトップの事象が成果の90%を占め、残りの大多数の事象は成果の10%を占めるにすぎない。”(P87)
“およそ企業の内部には、プロフィットセンターはない。内部にあるのはコストセンターである。“(P107)
“会社の内部はコストの塊であって、顧客が製品を買ってくれないかぎり、利益はどこからも生まれない。”(P111)
“利益を生み出す活動に意識的に力を入れないならば、コストは何も生まない活動、単に多忙な活動に向かっていく。”(P121)
“現金を使う際に考えるべきことは、それが将来の現金収入、つまりキャッシュフローをもたらすか、あるいは将来の現金支出を減らすかだ。”(P135)
“世の中には、原価を管理すれば利益が増える、と信じている人たちがいる。そうではない。企業は価値を創り出すことで、利益を生み出しているんだ。”(P152) -
餃子屋と高級フレンチはどちらが儲かるのか 等多数出版。
ストーリー性があり、読み物として面白い。
基本的な内容だが、大事。
製品にかかったプロセスコストの全てを客が負担することになる。
ただし、その製品価値は原価計算からではなく、客が満足度で決める。 -
90%の利益を出しているのはメニューの10%
コストは材料費だけでなく、すべての作業にかかっている -
餃子屋とフレンチの林さんの本2冊目。餃子〜が幅広会計論だったのに対して本書は管理会計に特化した内容。古典的管理会計は抑えている元銀行員のレストラン経営者に、その盲点を説くシナリオは痛快そのもの。全ての料理が「黒字」でもレストランが「儲かる」わけではない、という示唆はあらゆる業態に当てはまるのではないか。
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読みやすく、経営・会計を学ぶ最初に読んでおきたい一冊。
3時間程度あれば、夢中になって読み進められる。 -
良書。
初めはまた、帳簿上の利益とキャッシュの違いを語る教科書的な本かと思いきや、ドラッカーの観点で、極めて具体的に経営のチェックポイントを指摘する。かつ、それを巨大企業ではなく、我々が日常的に類推しやすい、飲食店の事例に落とし込んでいるのは秀逸だ。
後付けだが、餃子とフレンチ…の著者でもあったようだ。発想力が秀逸だな。
「#ドラッカーと会計の話をしよう」(KADOKAWA、林總著)
Day97
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毎回、小難しいものをとってもわかりやすく読み解いてくれる林さんには感謝です。
ドラッカーの本読んでも、ここまでわからなかったかも。読んだことないけど。笑笑なぜかドラッカーの奥さんの本は読んだけど。意味なかったけど。笑笑
言ってることがわかりそうでもわからなかったら実践はできないし、やっぱり腑に落ちるところがなければ身にならないよね。
そこをこう優しく解説してくれると、ドラッカーってそういうこと言ってたんだ!と、納得しました。
我が家の家計管理にどのくらい落とし込めるかわからないですが、頭の片隅に置いて活用していこうと思います! -
原書にも目を通す。
コストは、利益を生み出すためにかけるもの。利益を生まない活動にかけるコストは極力減らすべき。
それはお金というコストだけでなく、時間というコストについても言えるだろう。
今自分にとって必要なアイデアだと思われる。