昆虫と害虫 (害虫防除の歴史と社会)

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  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806714569

作品紹介・あらすじ

防除される「害虫」は、<br>もともとはただの昆虫であり、<br>自然の片隅で細々と暮らしていた。<br>それが人間が農耕を始めたことによって<br>「害虫」となったのだ。<br>長年、最前線で<br>農薬を使わない害虫防除の<br>研究をしてきた著者が、<br>人間社会と<br>昆虫(害虫)とのかかわりから、<br>これからの日本の<br>農業のあり方を展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 「害虫」と呼ばれる虫たちの生態や、それによってもたらされる被害、そして筆者自らが長年取り組んできた防除活動の記録が、丁寧につづられている。日本国内の田畑や森林、また、海外の実情視察や防除指導など、広範な事例が紹介されている。
    「害虫」とはいえ、もとはただの虫であり、あくまでも人間が農耕を始めたことによって、そうした分類に組み込まれたにすぎない。筆者は決して殺虫剤や農薬のエキスパートということではなく、できるだけそうした薬剤の使用を避け、自然のメカニズムをうまく活用した方法で、被害を防ぐべきだと考えており、その実例も紹介されている。「自然」の害よりも「不自然」の害の方がどれほど恐ろしいか、人間は自分の身に起こらない限り、なかなかそれを認めようとしない生き物だということもわかる。

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著者プロフィール

小山重郎(こやま・じゅうろう)
1933 年生まれ。
東北大学大学院理学研究科で「コブアシヒメイエバエの群飛に関する生態学的研究」を行い、
1972 年に理学博士の学位を取得。
1961 年より秋田県農業試験場、沖縄県農業試験場、農林水産省九州農業試験場、
同省四国農業試験場、同省蚕糸・昆虫農業技術研究所を歴任し、
アワヨトウ、ニカメイガ、ウリミバエなどの害虫防除研究に従事し、1991 年に退職。

主な著訳書に『よみがえれ黄金(クガニー)の島─ミカンコミバエ根絶の記録』(筑摩書房)、
『530 億匹の闘い─ウリミバエ根絶の歴史』、『昆虫飛翔のメカニズムと進化』、
『IPM 総論─有害生物の総合的管理』、『昆虫と害虫─害虫防除の歴史と社会』、
『母なる自然があなたを殺そうとしている』、『野生ミツバチとの遊び方』(以上、築地書館)、
『害虫はなぜ生まれたのか─農薬以前から有機農業まで』(東海大学出版会)がある。

「2018年 『闘う微生物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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