〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす: 正義の反対は別の正義か
- 太郎次郎社エディタス (2023年8月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784811808604
作品紹介・あらすじ
正義は暴走しないし、人それぞれでもない──。
アメリカ大統領選挙から、日本の「道徳」の授業まで、現代において「正義」や「公正」といった「正しいことば」はどのように使われているかを検討。
ジョン・ロールズ、リチャード・ローティ、アイザイア・バーリン、ジュディス・シュクラー、アイリス・マリオン・ヤング、スタンリー・カヴェルなどの議論を参照しながら、「正しいことば」の使いこなし方をプラグマティズム言語哲学から探る。
「正しさ」とはなにかを考えるうえで、わたしたち自身の〝ことばづかい〞を通して「正しいことば」をとらえなおす画期的論考。
感想・レビュー・書評
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人権…は人類の普遍的価値/正義のはずなのに、ことば・表現として使いこなせてない、変な使われ方が多い……。ではどうする? と、自分のことばの使い方、慣れ親しんでいるはずのことばとの向き合い方について、考えを整理できる1冊でした。
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朱先生ってこういうことを考えているのか。わかりやすく書いているが、専門家向きだと思う。ロールズからはじまって現在の政治的な状況をいろいろ哲学的に考えてるやつで、非常に興味深いんだけど、細かいところはいろいろ微妙な感じもありで、同世代、あるいはちょっと上の世代からの詳細な書評を読んでみたい。特に「正しいことば(の使い方)」っていうので考えているものがどういうものなのか……あがっている文献は、なるほどいまどきの若い先生たちはこういうの読んで育ったのか、という感じがある(ローティが専門なのね)。
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【書誌情報】
『〈公正〉を乗りこなす――正義の反対は別の正義か』
著者:朱 喜哲 (1985-)
装丁:田渕 正敏 イラストレーター
発行日 2023年08月発行
判型 四六判・並製
頁数 272ページ
価格 本体2200円+税
ISBN ISBN978-4-8118-0860-4
Cコード C0010
◆正義は暴走しないし、人それぞれでもない──。
アメリカ大統領選挙から、日本の「道徳」の授業まで、現代において「正義」や「公正」といった「正しいことば」はどのように使われているかを検討。ジョン・ロールズ、リチャード・ローティ、アイザイア・バーリン、ジュディス・シュクラー、アイリス・マリオン・ヤング、スタンリー・カヴェルなどの議論を参照しながら、「正しいことば」の使いこなし方をプラグマティズム言語哲学から探る。「正しさ」とはなにかを考えるうえで、わたしたち自身の〝ことばづかい〞を通して「正しいことば」をとらえなおす画期的論考。
http://www.tarojiro.co.jp/product/6397/
【目次】
はじめに
序章○正しいことばの使い方
「正しいことば」はややこしい?◉ほんとうの意味を理解できなくても、正しく使うことはできる◉ことばを乗りこなすために◉ルールはあってもルールブックはない◉「会話を止めるな」
第I部◎「正義」というテクニック
1章○「正義」の模範運転とジョン・ロールズ
アメリカ大統領選挙をとりまくことば◉「正しいことば」の帰還?◉ハリスの「正しいことば」◉バイデンが指し示した「理念」◉「正義」の凋落とジョン・ロールズの登場◉ロールズによる「正義」と「善」の区別◉「公正としての正義」◉「正しいことば」に息を吹きこむ
2章○「正義」の前提としての「公正」
アメリカの「正義」、再訪◉合意するための「場」◉みなでとりくむ「命がけの挑戦」◉現にともに生きているから、他者が気になる◉わたしたちは「適度な」正義を実現できる◉「全員にとっての利益」のための責務◉コロナ禍における「自粛」と公正◉「公正」は、思いやりや優しさではない
3章○道徳教育と「正しいことば」の危険運転
学校で学ぶ「正しいことば」◉「道徳」教科が掲げる目標◉公正とは「差別はよくない」ということ?◉道徳の延長線上にある「正義」◉法外な目標は「正しいことば」を空虚にする◉日本における「正義」の息苦しさ◉「道徳としての正義」と会話における事故◉会話の止め方――三つのタイプ
4章○「道徳としての正義」とトランプ現象
ドナルド・トランプと「正しいことば」◉トランプ現象を「予言」した哲学者◉なにが「予言」されたのか?◉「アイデンティティ・ポリティクス」の時代◉「マジョリティの怒り」を分節化する◉「感情」に火をつけたトランプ◉「当事者性のことば」と「正しいことば」
コラム1●「交差性(インターセクショナリティ)」が行き交う世界
第II部◎「正しいことば」のよりどころ
5章○「会話」を止めるとはどういうことか
あらためて、ことばを「乗りこなす」とは◉ローティのいう「会話」とはなにか◉「議論」や「探求」よりも「会話」が先にある◉「会話の豊さ」を毀損する話法◉ローティ流の「会話」と「正しいことば」◉正しいことばの使い方が「会話」を豊かにする◉「論破」ゲームの陥穽◉「正しいことば」を使いわけるために
6章○「関心」をもつのはいいことか
積極的無関心のすすめ◉「関心」と「interest」◉「関心」をかき立てる想像力◉社会学的想像力の副作用、「過剰な」関心◉「無関心」としての「寛容」◉「関心」を理解し、乗りこなす
7章○「自由」を大切に使う
正しいことばとしての「自由」◉現実政治と対峙する哲学者バーリン◉バーリンが区別する二種類の自由◉「信教の自由」から考えるバーリンの自由論◉自由と寛容/不寛容◉「不寛容に対する寛容」は成り立つか◉「自由」ということばの陥穽と例外
8章○わたしたちの「残酷さ」と政治
なにから自由を守るのか?◉だれもが弱者であり、強者でありうる◉「善」ではなく「悪」についての一致◉なによりまず「残酷さ」を低減せよ◉「残酷さ」への着目の系譜◉わたしたちの「残酷さ」を直視する
コラム2●だれも「中立」ではいられない
第III部◎「公正(フェアネス)」を乗りこなす
9章○理論的なだけでは「公正」たりえない
「残酷さ」への着目と「正義」の構想◉身体感覚としての「残酷さ」は相対的なのか?◉動物倫理と「文化・伝統」とのあいだの緊張◉あまりに「西洋的」でも、あまりに抽象的でもない◉ことばをもてないことの「残酷さ」◉理論的なことばだけでは足りない
10章○「公」と「私」をつらぬく正義
それでも「正義はよいものだ」と言うために◉社会において両立しえない複数の「善」◉理念が個人を殺戮するとき◉「まちがっていたくない」という怯懦◉「バザール」と「クラブ」◉比喩による「公/私」の整理とその限界◉バザールの「正義」◉わたしたちが生きる空間で響く複数の声
11章○「公正」というシステムの責任者
「公正としての正義」という仕組み◉「正義」とは構造の問題である◉「合理的配慮」の問題◉「配慮」ではなく「調節」◉ロールズの「正義」構想のデメリット◉問題は「構造的不正義」である◉「公正としての正義」を駆動させつづける責任
12章○正義をめぐって会話する「われわれ」
だれが「われわれ」なのか◉「正義をめぐる会話」への、届かぬ叫び◉黙らせ、不平等を正当化する「力」◉「憤激」と「ねたみ」◉だれが「力」を行使しているのか◉むすびにかえて
あとがきにかえて -
東2法経図・6F開架:801.01A/C61f//K
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女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000067268
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ロールズの正義を用いて、学術的に書いてある本でしたが、あまり理解出来ませんでした。まあ私の頭の悪さから来てると思われますが。
http://www.tarojiro.co.jp/news/6409/