「正義」の倫理: ジョ-ジ・W・ブッシュの善と悪

  • 昭和堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812204115

作品紹介・あらすじ

9・11、アフガン戦争、イラク戦争に突き進んだアメリカ。ブッシュを選択したアメリカ国民が持つ倫理観とは。ブッシュの決断に世論はどう動いたか。世界的な倫理学者、ピーター・シンガーはブッシュの説く倫理観の虚偽性を明らかにし、世界は、日本はアメリカに対してどう向き合うべきかを示唆する。

感想・レビュー・書評

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  •  ブッシュ大統領のスピーチや著作と、現実の政策を対比させながら、「アメリカでもっとも有名なモラリスト」の正体を暴いていく、というのが本書の筋。

    「思いやりある保守主義」とかいいながら、実際にやってんのは、金持ち優遇のばらまき減税じゃんとか。テキサス州知事時代は「州の独立」とかいいながら、大統領になったらやってること違うじゃんとか。「正義の戦争」とかいいながら、証拠もナシに他国を侵略してるじゃんとか。まぁ、ジャイアンのほうがいくぶんマシなんじゃねぇの的「倫理」しか持ち合わせてねぇんだこの野郎は、ってんで。まぁそういうことを、いちいちこまかーく書いてあります。

     しかし、そんなことは「今更言うまでもないこと」とは思わないっすか。ただブッシュの幼稚さ、一貫性のなさ、思いこみの激しさを確認するためだけにこの本を読むのはもったいない。そうじゃなくって、この「ブッシュ的な」考え方が、「アメリカのデモクラシー」観に根深く巣くっているらしいというのが問題なんだよね。だって、こないだの大統領選挙だってブッシュ勝っちゃったし。
     著者はオーストラリアうまれということで、アメリカに対する相対化というか、突き放し方ができていて、うまいと思う。

     いや、まぁ。くどくどしい本であることについては間違いないが。それでも、わりといい本だと思います。
    (以上、2004年にmixiレビューに書いたことの転載)

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著者プロフィール

ピーター・シンガー(Peter Singer)
1946年生まれ. 1971年オックスフォード大学哲学士号(B. Phil.)取得. プリンストン大学生命倫理学教授, メルボルン大学応用哲学・公共倫理学研究所教授. 主著:Animal Liberation(1975:邦訳『動物の解放』(改訂版), 人文書院, 2011年), Practical Ethics(1979:邦訳『実践の倫理』(第二版), 昭和堂, 1999年), One World(2002:邦訳『グローバリゼーションの倫理学』昭和堂, 2005年), The Life You Can Save(2009:邦訳『あなたが救える命』勁草書房, 2014年)他.

「2018年 『飢えと豊かさと道徳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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