- Amazon.co.jp ・本 (781ページ)
- / ISBN・EAN: 9784814004225
作品紹介・あらすじ
「西洋古典」の代名詞とも言うべき,詩人ホメロスに帰される二大叙事詩の一つが満を持して登場.10年を掛けたトロイア戦争とその攻略後,さらに10年に及ぶ,狡知と忍耐に長けたギリシアの英雄による漂流・帰国譚.ロトパゴイ,一眼の巨人キュクロプス,魔女キルケ,妖怪セイレン,パイアケス人の王女ナウシカア等々,魅力あふれる登場人物たちは,今も創作家の想像力を刺激しつづける.
感想・レビュー・書評
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初めての西洋古典叢書。ごく最近出た時、諸手を上げて喜んだ。
カバーがお仕着せだけじゃない特別仕様。これは素敵。
散文訳オデュッセイア。文が平易で明快でわかりやすく、注と解説も充実していて読み応えがある。時々図版があるのもいいところ。ところで「小田原評定」には噴いた。この言葉が物のたとえであるのはわかってるけど、オデュッセイアで「小田原」はあんまりだと思う。
オデュッセウスの漂流譚と求婚者殺しがいまいち一本に繋がらない気がしていたのだけど、解説で腑に落ちた。老獪で用心深いと散々言われるオデュッセウスが、眠りこけているうちに故郷で下船させられているなんてある?とは思いつつ、そうでなければならないメタ的な理由には納得。漂流譚の個々のエピソードはオデュッセウスの物語りであるという入れ子構造が、パイアケス人のどこにもない国を舞台に展開されることで、少なくともその舞台においてはしっかりとした現実感を帯びたものにしている様子。パイアケス人の国がどこにもなくなった時、漂流譚がまるごと一場の夢にもなったようで何やら肝が冷えた。
木馬に潜むアカイア勢にヘレネが妻女の声で語り掛けたとするのが気になる。アカイア勢が応えれば「私が罠を暴きました」、応えなければ「私のおかげでトロイア勢の疑いを晴らせました」、ということだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:991A/H83o//K