相続は怖い (SB新書 651)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815624323

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  • 人は遅かれ早かれ寿命があるのだから、いつかは自身が相続人になったり、被相続人になる日がくるだろう。その際は残された親族は慌ただしい状況で色々な手続きや儀式の準備に翻弄され、まさに悲しむ暇もないという事は多々ある。例えば自分の親のいずれかが亡くなると、警察やら病院手配、近親者への連絡、葬儀の準備、火葬や埋葬の行政手続きに告別式での挨拶を考えるのも殆どが同時並行的に進む。ようやく告別式が無事に終わっても四十九日までがまた位牌選びに告別式に参列できなかった方々への返礼品手配、そしてお墓があったとしても、そこに刻む文字まで全て選択・決定の嵐で、仕事もこんな感じで毎日やっていたら、かなりスピード感ある組織だなと感じる様な大車輪振りの働きをしている。因みに残された親が独り暮らしになるなら、家にセキュリティシステムを入れるなど、営業担当者との打ち合わせなどもあったりする。それらがひと段落する頃には、ようやく「そう言えば銀行口座とか、保険とかどうするんだっけ?」とまた、別のことに頭を抱え始める事になる。あれ、自分はいつ悲しみに暮れて泣くんだっけ?というのは、多くの方がご経験された事もあるのではないか。
    家を探索してみると、出てくる出てくる、保険証券やら金融商品の案内やら、存在を知らなかった銀行口座にカード類。慌てて銀行に連絡すると、時既に遅し、亡くなった後も解約忘れた携帯料金や保険料の支払い、各種金融商品の支払い着々と続いてるなんて事もあるかもしれない(あった!)。同時並行的に頭の中で、そう言えば遺産相続のこと忘れていた、と一気にやたらとリアルな世界・問題が自分(と、兄弟姉妹、残った配偶者の片親)を濃い霧の如く包み込む。仕事柄、資産家の相続税対策を考える機会が多いから、何となく判っているつもりになっていたが、各種税制改革やら制度変更の最新状況に、自分の知識が追いついてない事を実感する。
    そうだ、遥か数十年前は大学の専攻は法律だったし、更に会社入社後も試験が終わったら勉強してなかったかな。その後も真面目に復習してこなかった事をこの大変な状況下で後悔しても仕方がないから、慌てて飛び込んだ本屋でいつもの様に新書で勉強する。自分で全て終わらせよう解決しようなんて無理な話だけど、せめて税理士さんの会話についていける様に、さっと流し読みするには新書はちょうど良いサイズ感。
    私だけでない。いつかは誰しも似た様な状況で悩むタイミングがやってくる。落ち着いて全てを平穏無事に終わらせて、早く亡くなった親の為にも、想い出に浸り、独り大声で泣きたい。それには少なくとも最低限度の知識はあった方が良いだろう。より早く想い出の中の親に会える様な気がする。私はまだまだ一次相続が発生したばかりで、いつかはやってくるであろう二次相続への備えでもある。縁起悪いとか、残った親からすると気分を害するかもしれない。だけどその時も同じ様に、泣いてお別れが出来ないのは嫌だ。だから独り粛々と陰勉しながら、一方で残った親が健康に生き生きと長く楽しく、寂しがらずに暮らせる術も考えている。中々こうした機会が来る事はないからこそ、自分はしっかりと親族を支え、私も早くに故人への悲しみを共にする為にページをめくる。いつも勉強しろと煩く言われ大量の学習教材をくれた。最後の最後まで私に勉強しろと。早くサヨナラを言いたいよ、お母さん。

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著者プロフィール

税理士法人レガシィ代表社員税理士。公認会計士、宅地建物取引士、CFP。1951年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。アーサーアンダーセン会計事務所を経て、1980年から現職。『やってはいけない「実家」の相続』『相続格差』(小社刊)他、100冊の著書がある。

「2023年 『【改正税法対応版】「生前贈与」そのやり方では損をする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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