総説キリスト教史 1 原始・古代・中世篇

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  • 日本基督教団出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784818406216

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  •  キリスト教を国教化したコンスタンティヌス帝は内乱をおさめるにあたり、「キリスト教の加護を求め、それに神がこたえた。したがって、コンスタンティヌス帝はキリスト教に改宗し、ローマ帝国の国教とした」となっていますが、実際はもっと政治的な理由だったそうです。

     コンスタンティヌス帝がおさめていたローマの時代は圧倒的な軍事力を誇っていた全盛期を過ぎ斜陽に向かっていました。

     理由は領土が拡張しすぎ、交通網を維持するのに莫大な維持費がかかること、そして外部との戦争でした。

     圧倒的な軍事力を背景に領土を維持しているときは、それさえあればよかったのですが、それに綻びが出てくると、帝国を統治する新たなドクトリンが必要となります。
     
     それにあたって目を付けられたのが「キリスト教」でした。
     幾度の迫害にもかかわらず、信徒の数は着々と増え、貴族の中にも信者が大勢いたそうです。
     そこで、コンスタンティヌス帝は考えました。
     キリスト教を迫害するのは帝国にとっても労が多いばかりで実りがない。いっそのこと、国教化して軍事力に代わる統治力として利用したほうが得策ではないか、と。

     しかし、キリスト教以前はローマは多神教国家でした。太陽信仰の宗教も多かったことと思います(エジプトなんか確実にはそう)。
     それらとの折り合いをつける方策は様々とられたと思います。
     その中で、「キリストの誕生日を太陽信仰と結びつける」ことが戦略の一つとして取られ、それが「クリスマスの起源」となった、んじゃないかなー・・・

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著者プロフィール

あらい・ささぐ氏は、1930年生まれ。東京大学教養学部、同大学院西洋古典学専攻を経てドイツ・エアランゲン大学で神学博士を取得。原始キリスト教史・グノーシス研究に開拓的な業績がある。現在、東京大学および恵泉女学園大学名誉教授、日本学士院会員。著書『荒井献著作集』(全10巻+別巻、岩波書店)、『使徒行伝』上中下(新教出版社、現代新約注解全書)ほか多数。

「2018年 『キリスト教の再定義のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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