総括せよ! さらば革命的世代 40年前、キャンパスで何があったか

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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784819110778

作品紹介・あらすじ

全共闘-各地の大学で1968年ごろに生まれた学生組織で、全学共闘会議の略。全国の主要大学の大半にあたる約160校で結成された。新左翼政治党派(セクト)だけでなく、ノンセクト・ラジカルと呼ばれた党派に属さない学生たちも参加し、バリケードストライキなどで学内課題やベトナム反戦などの政治課題について訴えた。69年1月の東大・安田講堂攻防戦は全共闘運動の象徴的事件になった。本書は2008年5月からの09年6月まで、産経新聞大阪朝刊、インターネットのMSN産経ニュースに掲載された記事を大幅に加筆したものである。過去を振り返る上で最も重要な登場人物の年齢、肩書はあえて取材当時のままとした。

感想・レビュー・書評

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  • 60年安保闘争から全共闘さらには連合赤軍へと続く、日本における学生運動の歴史。自身は全く経験していないが、学生が国の変革を目指して立ち上がったのは、この時だけであろう。しかし当時のリーダーたちの殆どが取材拒否であり、全く無様である。革命を信じて、今なお抵抗を続けているのであれば立派だと思うが、社会に紛れて我関せずという態度はこの似非革命運動の本質を表している。私は以前よりこの20年に及ぶ閉塞的な日本は、この全共闘世代が国の政治、官僚、社会、企業や法曹界等の上層部を占めている(当時の大学進学率は僅か15%。当然彼らが優先的に上に立っている)からだと考えている。彼らには信念無く、場当たり的で雰囲気に飲まれる。この本でも40代50代から全共闘世代の駄目さ加減が証言されている。東大安田講堂攻防戦では殆どの東大生は事前に逃亡していたし、早稲田大学封鎖では大隈重信像に「大学粉砕」「早大解体」とか書かれており、自分の通っている大学を粉砕してどうするのか判らないが、地に足が着いていない。革新を標榜している割には、組織階層は完全な偏差値主義で高級幹部は東大・京大生で兵隊は偏差値の低い大学生、女性活動家の役目は炊事洗濯と性処理。このような人たちが社会の中枢を占めていては、国が悪くなるのは当然である。しかし、希望はこの世代が今まさに次々と引退していることである。これからの日本は明るく開けてくるはずだ。

  • 学生闘争の入門書としてお勧めされたので読んだ。はつきりいってこんな所までいまの社会系の勉強進まないんだが、敢えて進ませないようにしているのか?
    この時産まれていなかった世代として、何かの折に写真などを見て「この人達って一体何と戦っているのだろう」と思っていた。やたら赤軍やあさま山荘ばかり取り上げられるけど、実際はもっと大勢の人間が動いていた訳で。
    『右だ左だ』と矢鱈声高らかにネットでは叫ばれる割に、現実では何も変わっていない誰も動いていないこの状況下で、正に右も左も知らない人間がこれからちまちま知っていこうと思っている事柄です。

  • 今の若者が立ち上がらないのは、労働環境がひどく(就職難や派遣の問題など)、自分のことで精一杯だという記述もあったが、ネットの炎上などを見るかぎりでは、ポテンシャルは備えているのではないか。
    大義もなく、匿名性に守られた攻撃性などは比較対象になるかわからないが。
    今の社会情勢をみるにつけ、大義を与え、参加しやすい雰囲気さえ作れば何か起こりそうな気もする。
    ともかく、冷めた目で見れば、面白い読み物であったともいえる。

  • 以前より、「学生運動」に関心を抱いていた。

    世の中に対して疑問を抱いたり、主張したり、行動したりといったことが、現代の世の中では不足しているように思えるからだ。

    その理由はわからない。
    文明が発達した現代においては、忙しすぎて身の回りのことについて考える暇がないのかもしれない。
    あるいは実はもの凄く関心を抱いているのかもしれない。


    1960年代後半から1970年前半にかけての若者は違った。
    彼らは行動にうつした。
    その時の出来事を語る人は少ないらしいが。
    そのような時代が歴史として残っているのは事実である。
    これは凄く素晴らしいことだと思う。

    ただ計画がたりなかっただけ、そう思う。

  • 滑稽であれ、命がけであれ、ファッションであれ、嘲笑の対象であれ、憧れであれ、とにかくどんな形であったにせよ「革命」と言う言葉が血の通った言葉として存在し得た時代があった。本来人はどんな小さなモノであれ(それがダイエットだとしても)個人的な革命を胸に秘めている。でも、今の時代、社会的な革命を叫ぶことは、残念だけれど陳腐でしかないと思う。そして、それはとても陳腐なことだと思う。
    この本は、あの時代の「熱」にいろんな角度から切り込んでいる。嘲笑する人、いまだに熱を引きずっている人、怒り冷めやらない人、冷めた目でみ続けている人。そんな人たちを通してあの時代を俯瞰することはとても興味深い。陳腐なことが熱を持っていられた時代に、憧れを禁じ得ないのだ。

  • 新左翼党派の系統概念図が、分かりやすかった。

  • まず、「学生運動」に対して、学生時代の私は漠然とした憧れがあった。
    本作には、当時の学生、周囲の学生、教師など、さまざまな視点から「学生運動」が何だったのかを描いている。
    そこには、さまざまな思惑、感情が入り混じり、読後はかなり複雑な心境になった。
    たとえそれが語りたくなかったことであっても、今の無気力かつ消極的な若者は、当時の学生が何に情熱を燃やしたのか、なにがそうさえたのか、今すぐに知らなければならないのではないか。
    一概には肯定できず、否定もできない、その「学生運動」に、やはり私は憧れ続けることになりそうだ。

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