国土が日本人の謎を解く

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  • 産経新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784819112659

作品紹介・あらすじ

自虐も「戦後洗脳」も吹き飛ぶ日本人論。なぜ日本人はここまで世界の人々と違うのか。「戦後」よりはるかに長い時間が大量虐殺の歴史を持つ国々と、災害死の国・日本の違いを生んだ。国土学の第一人者が日本人の強みも弱みも解き明かす。戦後70年だからこそ問い直したい日本人とは何か。「日本人」を知れば他国のこともわかる!

感想・レビュー・書評

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  • 地政学視点の日本人論。正論。
    地政学から、日本人と外国人の違いが分析できる。
    このような視点で分析した本などが少ないと感じる。「なんとなく違う」ではなく、理論的に違いが明確になるから有用なのに。とにかく、有意義な本だった。

    失われた20年(今も更新中)の分析は、納得。
    要は、政策すべてが日本人に合っていないから。会計法、人事、そしてなあなあの外交(すぐよく調べもせずに謝ったり譲ったり。相手は価値観の真逆な外国人である)。日本人と外国人はどこがどんなふうに違うのか、そしてなぜ違うのかを自覚し、自己分析できなければ、今後の日本の発展はない。世界の常識は、日本の非常識。このままでは、日本は外交弱者・貧困国となり生き残れない。
    危機感を持った。

    日本人の長所・短所を見極め、長所を生かす政策をするべき。

    戦後についての、歴史教育はたしかにおざなりになっている。なので、埋め合わせるために自分で勉強しなおす、自分で正しい情報を仕入れる努力をする必要がある。

  • 【長い感想文】
     日本人論ソムリエの私から見ると、かなり素朴な日本人論だった。タイトル通り『風土』系だが、内容のレベルは(既存の有名な日本人論と比べると)やや低い。こんなん見たらロビン・ギルが怒るぞー。
     もちろん、土木工学的蘊蓄や土地利用の話は勉強になった。しかし、単にそういう知識や土木的な土地利用の実際を知りたければ、綺麗にまとまっている(同じ著者による)『国土と日本人』(中公新書) の方を読めばいい。敢えて本書を読む意義は、日本人論だからこそだ。本書の帯もそこをアピールしている。
     以下簡単な感想文を載せる。ただし、①アマゾンでは誉めるレビューしか見あたらないとか、②国土論(自分でいっておいてよく分からない言葉だ)なのに地域性豊かな日本を十把一絡げにしてない? とか、③後半は国土関係ないじゃんとか、④比較対象国が西欧(しかも平野の多い国)に偏っているとか、不敬で些細なことは少ししか言わないので安心してほしい。
     著者の日本人論のさらなる発展のために、涙を飲んで問題点を挙げていきたいと思う。

    ・上記のとおり、専門分野では慎重でも、日本人や日本社会を語るとなると、一冊を通して飛躍が破茶滅茶に多くなる。そして既存の日本人論と同様、根拠や説明が不十分なまま、読者の期待する「日本人は集団的で」「感性が細やかで」「情報に弱い」などを書いてしまう(この期待は壊れやすい幻想なので、このレビューを読んでる人に信者がいたら、証明するか、すぐに捨てるかしてほしい)。

    ・第二章の冒頭は、本書の核にあたる主張から
    始まる。62頁から引用する。

    “ われわれの長い歴史は、この国土の上で展開してきたのである。/したがって、この国土のもつ自然条件は、日本人の感性や自然観、あるいは社会観を育んできたし、私たちの思想をも育ててきたともいえる。/また同時に、この日本国土の上で、私たちが経験した自然災害や飢饉やそれに対するわれわれの処し方が、日本人の思考の型を育んだことも間違いない。”

     これは直感的にも「ありそう」だが、学問的には微妙なところだ。(譲歩して専門家による一般向け書籍であっても)、その影響が「どの程度か」を考慮しないといけないし、「他の要因」も勘案しないと当然貧弱な議論になる。でも、そのため地味で面倒な作業が本書には見当たらなかった。

     一応他国との比較は言及されているが形だけだ。「わが国の自然条件の特徴を理解するには、わが国以外の自然条件について知識がなければならない」(62頁) と宣言しただけで、以降もそのことをろくに掘っていない。目を皿にしてこの章を再読したが、せいぜい「いくつもの厳しい自然条件が私たちに与えられているということがわかったのである」(63頁)という一文しか見つからなかった。あのー、他国の自然条件は……。
     この点が特に残念だった。読前に「ついに専門家が実証的な風土論を!」と期待していただけに失望も大きかった。

    ・つぎ。歴史的・地理的条件が現在の日本人に大きな影響を与える……という主張を一旦飲み込んでも、次のハードルが残る。その「日本社会のすがたかたち」や「日本人の思考の型」をどう定義するのか。どう測るのか。
     計量し比較できるように考察の対象を捉えたり絞ることは当然としても、その実際の取組は、社会意識調査や国民性研究(A. インケルス)等に見るように、これはかなり大変。
     著者は、この山も乗り越えられていない。

    ・著者が自説の補強にあげているのは、「学者や作家や有名人がこんなことを書いていた」(※著者は複数の本から部分的に取り上げているが、勿論字面だけを単純に足しても無意味だ)とか、「史実にこういう例があった」とか。こういう議論は、エピソード主義として軽視される。都合よく採取できるからだ。駄目な評論の踏む轍をなぞっている。

     問題点の箇条書きは以上。次に、傷とは言えないが微妙な点を。
     著者は第二章で、「日本の地理的な厳しさ」数項目(例:平野が狭い・都市の地盤が軟弱・豪雪地帯にも人口が多いとか)を挙げたうえで、そこに(公共事業の必要性や大雑把な日本人論などについての)議論を積み重ねていく。このへんは著者の専門分野だからそのままthroughしようと思ったが、素人でもこの列挙に一点気にかかることがある。
     つまり、裏返して「日本は恵まれており住みやすい」とも言えるのでは? という反論だ。
     日本は温帯で水産資源から鉱物資源も豊富だし。地理的不利と地理的有利の両方を挙げてほしかった。
     この視点は私なんぞに限らず、雑誌や書籍において、そこかしこで見られる。有名人の例なら、ダイヤモンド『銃・鉄・病原菌』の「日本についての章」(下記の山形浩生サイトを参照〈https://cruel.org/diamond/GGSaddition.html〉)で、大陸からの稲作伝播に言及するくだりがある。
     より分かりやすい例として、別の大御所のおしゃべりをご覧ください。

    ――――――――――――
    出典:大野晋・森本哲郎・鈴木孝夫『日本・日本語・日本人』新潮選書、2001年、32頁。

    大野  日本という国は、基本的に暮らしやすい国だと思う。気温も適当で、寒くもなければ暑くもないから、自然と仲良くしていれば生けていける。生ける目的とか手段を思い詰めて考える必要がないでしょう。だから農業時代はそれでよかったんだ。
    鈴木  ヨーロッパにくらべて風土として豊かですよね。麦の収穫量ひとつとってみても、すでに中世には格段の差があった。シェイクスピア時代のイギリスなんて荒涼たるものですよ。恒常的に食料不足だし、花も咲かず、鳥も啼かないような……。
    森本  日本は鎖国しても、国内でなんとか賄えたんだから。
    鈴木  不毛の地ヨーロッパは、外に向かわざるを得なかったので、大航海時代が十五世紀末から始まる。〔…以下略…〕
    ――――――――――――――

     今ここをご覧の読者はこの鼎談を読んで、「日本は恵まれている」vs.「日本は恵まれていない」のどちらに組みしたくなっただろうか。キズの指摘は以上。

     長い感想文の終盤に長めの抜き書きを。
     28年度の鳥取環境大学の入試問題(推薦入試の小論文)で本書が題材に使用された。
    https://www.kankyo-u.ac.jp/f/519/h28/past_issues/11.pdf
     そして試験問題に採られた部分がわたくし的に興味深いので、ここに引用する。

    ―――――――――――
     福田恒存氏は『日本を思ふ』(文春文庫)で,面白いエピソードを紹介している。
    <イギリスのある女流ジャーナリストの書いた本のなかに,かういふことが書いてあります。―対人関係にまつはる心理の綾について,日本人くらゐ鋭い洞察力をもってゐる国民はない―そんな意味のことが書かれてありました>
     このように情緒の民である日本人は,論理や合理を貫徹するための言語を育ててこなかったのだ。論理の言葉を育てなかったということは,「論理思考」を育てなかったということでもあるから,これが大きな問題を生んでいるのである。
    ―――――――――――

     ここでは「日本人は情緒の民だ! 根拠は外人による日本人論だ!」と、大石氏がおっしゃっています(おまけに孫引き)。信じられません。
     ただし「日本語は論理的ではない」とまでは言い切ってないから、ギリギリ言語学徒な自警団の出番ではない。
     きっと読解力と批判的思考を備えた公立大の受験生なら、これを読みながら大石氏にツッコミを入れたに違いない。現代文や小論文はこんなのが多いので慣れているにしても、これは雑すぎるからだ。ただ、問題文が非論理的でも試験の選抜の機能に大きな支障はないので、そこだけは安心できる。
     最後に、小論文に採られた部分の末尾を見てたい。大石氏は、とある新聞記者の著述を否定的に引用して次のように語る。

    ―――――――――――
     われわれ日本人の使う言葉のいい加減さが,この国をおかしくしているのではと心配でならない。若者がメールやツイッター程度の分量の文しか書けず,自分の思考をまとめるのに必要な長文が書けないのは問題だ。が,もっと問題なのは,メディアに登場するような「一応論説として書いているもの」も,定義がない言葉を使うため何の意味もなかったり,論拠をまるで示さずただ主張があるだけなど,大人が文章をまともに書けていないことなのだ。
     このような例は,メディアの中にあふれるほど存在するが,典型的な一例を示してみよう。
     毎日新聞の山田孝男氏は,『週刊エコノミスト』(2014年6月24日号)で,集団的自衛権議論について次のように述べている。
    <国家安全保障は,その国の経済活動と密接に結びついている。世界第3位の経済大国は日常の経済活動自体が国際社会と地球資源に対して攻撃的,圧迫的である。/そういう日本の在り方を根本から変える。経済社会を地産地消の循環型に変える。世界に先がけて原発から離れ,化石燃料への過剰依存も修正する。遠国の資源や土地に依存しないシステムを築く。/そうでなければ人類100億人は共存できぬという21世紀の世界政策を示す。集団的自衛権は,経済成長の質を問い直す国造り,世界構想に関連づけて論じられるべきであると私は思う>
     いかがであろうか。日本の存在が経済的に大きいという理由だけで「国際社会に対して攻撃的だ」というのはどのような意味なのかわからない。国のあり方など根本的には変わらないものだし,変えてはならないものだ。これは「リセット主義」とともにあってはならない「日本国否定論」でしかない。しかし彼は原発から離れたうえに,さらに化石燃料依存をも修正するという。何をすればそんなことが可能なのか。
     「21世紀の世界政策」とはどのような内容なのか。実現のための具体的な方法の提示もないし,それで日本は存続していけるのか,生活レベルは維持できるのかといった可能性の検証も欠いた絵空事しか述べていない。しかし,こうした文章が氾濫しているのが現実なのである。
    ―――――――――

     記者が変なことを書いているという点ではまったく同意できる。「しかし,こうした文章が氾濫しているのが現実なのである」は自己言及的でオシャレだ。
     ただ、最初の段落の文章論は偏見だらけで質もひどい(そもそも国土と関係ないので別の本に書いてほしかった)。なにより小論文の素材としてもアウトなので、受験生のことを思うと本当に不憫だ。 


    【目次】
    目次 [001-007]

    序章 「日本人」の否定からは何も生まれない 009
    「流れていく歴史」を持つ日本人/「人為の国」と「天為の国」/「変わること」を尊ぶ日本文化/「災害死史観」と「紛争死史観」という違い/日本人に理解できない正義の殺戮/何を経験し、何を経験しなかったか

    第1章 歴史を動かした国土と災害・飢饉 033
    災害集中期のある日本/『方丈記』と災害飢饉/「御成敗式目の制定」はなぜ一二三二年か/徳川吉宗はなぜ別格なのか/歴史を動かした天地鳴動

    第2章 なぜ「日本人」は生まれたのか 061
    日本の国土は他国とどう違うか/「日本人」を育んだ国土/一〇の厳しい条件が重なり合う日本/対馬海峡とドーバー海峡――位置的条件/「台風の通り道列島」と飢饉/黒潮の流れの中の「るつぼ」

    第3章 なぜ日本人は世界の残酷さを理解できないか 097
    世界の紛争と都市城壁/世界の大量虐殺スケール/フランス革命と日本人の感覚/日本に「市民」はいない/こうして「公」は発見された/城壁都市カルカソンヌに見る公益

    第4章 なぜ日本人は権力を嫌うのか 117
    分散した平野の小さな共同体/「権利」という言葉を持たなかった日本人/一つに溶け合う「共」を発見した/土地所有概念が革命的に変わった明治六年/「絶対的土地所有観」はなぜ生まれたか/チームを組めば大きな力を発揮する日本人/日本では「権力」が脇役/第一帰属への忠誠心/「ふるさと」と相互承認の場

    第5章 なぜ日本人は中国人とここまで違うのか 139
    中国は「権力」を発見した/広大な地域の支配が必要な中国/都市どころか国を壁で囲んだ理由/「暴力」という伝統を持つ地域/中国人が生き延びる術/「考える」と「感じる」の違い/官僚制と封建制

    第6章 なぜ日本人には長期戦略がないと言われるか 157
    「思考」を形造った大量虐殺/戦うための「言葉の発達」/情緒と感情の民/日本人の弱みになっている「言葉」/寒々とした言論空間/「互いに譲り合うことが正しい」国/長期的視野と暫定的視野/なぜ「非常時モード」が欠如するのか

    第7章 なぜ日本人はグローバル化の中で彷徨っているか 181
    無理をした「個」の強要/砂粒になった日本人は弱い/共通の帰属を持たない集団/個人として立てるのか/日本人に合わない企業統治制度/労働の喜びを否定する業務委託/瑞穂の国の資本主義/大転換点となった一九九五年/ジョージ・ソロスの批判

    おわりに――日本人の強みは集団力 [213-228]
    参考文献 [230-232]

  • ヨーロッパや中国が人為による紛争戦史観を持つのに対し、自然災害死史観を持つ日本。良し悪し、進んでいる/遅れているではなく、単純に、異なっていると捉えるべき。1995年以降、この認識間違いを一貫して続けてきたため、自信と誇りを失っている。

    日本人に合わない個人主義や成果主義や評価方法とはいえ、これだけメジャーになってしまうと、戻すことへの反発がすごいだろうし。まず、世界に対して、欧米と違う日本流を理解してもらうことからかな。

  • 人間と土地のつながりについて調べるため、日本人と土地はどのようなつながり方をしているのか、の論を学ぶため、購読。

    ・日本は、度重なる災害などにより、「流れていく」歴史を持つ、一方、ヨーロッパは、「積み重なる歴史」

    ・日本は天為の国、ヨーロッパは人為の国。

    ・国土に働きかけて、国土から恵をいただく

    ・日本は国土を脊梁山脈が分断しているため、日本海側と太平洋側を結ぶことが困難。

    ・日本は、争うこと自体を悪しきものとし、話し合いを経て「共」にあるということを尊ぶ文化。一方のヨーロッパは、革命を経て権利を獲得した市民が、個々人の利益に優先する「公」のもとにルールを守る文化。

    ―以上は、どちらが良いでも悪いでもない、文化の違い。
    だが、以下は日本のデメリットだ。

    ・明治維新後、「公」を経ずに土地所有権を国民に開放した結果、世界にも稀有な「個人の絶対的土地所有権」が認められてしまった。

    ・日本の組織、社会の最大の弱みをひとつだけ上げろと言われれば、私は「言葉」だと思う。日本の企業の同質性が弱みに転じているが、それは一つには、同質な組織体では「言葉の力」が理解できなくなるからではないか。

  • 国土から日本を知る。
    地政学に近しい。
    極めて特殊な国土から生まれた民族だということが伝わる。

  • この本を読もうと思った動機は、輸入されるビジネスのお手本が日本企業にことごとくはまらないのは、日本企業が少なくとも輸出元のアメリカとは本質的に異なっているからという仮説を検証したいということ。

    本書から理解したことは欧米(というか欧州)では「公」が発見され、日本では「共」が発見されたということ、参考までに中国では「権力」が発見されている。権力の発見には、強い権力による強制的な統制が必要な広範な地域が必要。日本はせいぜい数百人規模の集落がそんざいできるような土地しかなかったので強い権力は必要なかった。逆に顔見知りの数百人がうまくやっていくには、何となく全員が受け入れられる曖昧な答えの導出システムだったり、論理よりも感情を伝えることに特化した言語が必要だった。これが「共」であり日本語である。一方のヨーロッパでは、とにかく戦争が多かった。城壁の中で暮らさざるを得ない。ここでも、城壁内の人々がうまくやっていくシステムが必要だが、そもそも城壁の中に住むことは敵から身を守れる権利であり、その対価としての義務が発生する。具体的には城の防衛や戦争を優位に進めるための各種活動への参加である。これら活動は個々人の生活に優先する。なぜなら、戦争に負けたり城壁が破られたら元も子もないからである。こうして「公」が発見されたという。結構面白い考察。

    で、結局、自分自身が日本について何か分かったかというと、感覚的には分かったが、体系的な整理には至っていない。ただ、日本企業が共をつらぬくなら、アメリカ発のビジネスルールやメソッドは適合しない。日本に適合するようにモディファイしないといけない。

  • 日本人といっても全体としての論議だから説得力が弱い部分も感じるが、大陸から文化は入ってくるけれども人が大勢押し寄せてくることはない距離が離れており、山がちで平野が少なく、自然災害が多いといった国土の特徴が、日本人の気質をつくってきたというのは、その通りだろう。

    マシュー・ホワイト「殺戮の世界史」では、日本での虐殺は、島原の乱が記載されているのみで、2万人の男性信者と1万7000人の女性と子供が殺された。

    小さな平野が分散している日本では、強大な権力は生まれなかったため、仲間内の徹底した話し合いによって地域をまとめた。顔見知り仲間での緊張を高めないことが優先されたため、厳密なルール化とその厳守ではなく、三方一両損的なあいまいな解決がなされた。ヨーロッパや中国では城郭都市による「公」が発見されて市民が生まれたのに対して、日本では「共」が発見されて個を打ち消し、一体となって溶け合う状態を理想とした。

  • 日本という国の地理的、歴史的な特徴から述べられた日本人論。説得力のある日本人論であるが、読めば読むほどいまの危機的状況からの脱出の難しさを痛感する。個人評価システムにしてもグローバル化にしても、全く見当外れな導入のおかげで、いまの疲弊した日本社会が存在していることがよくわかる。

  • 日本人の特徴を国土という観点からまとめた興味深い一冊。他国との国土の違いや歴史を参照し、現実味を感じられるように著者の考えがまとめられている。
    国際貢献をしたいと考える者にとって、自国を知り他国との違いを理解することが第一歩と言われる中で、読むべき一冊と思う。また、日本国内で土木に携わる者にとっても、国土との共生を考える契機となる。

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著者プロフィール

大石久和(おおいし ひさかず)
1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、建設省(現国土交通省で道路局長などを歴任。退官後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を務める。国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)など。

「2021年 『国土学が解き明かす日本の再興』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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