キッコーマンのグローバル経営: 日本の食文化を世界に

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  • 日本生産性本部
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784820118251

作品紹介・あらすじ

なぜ、老舗メーカーのしょうゆが「アメリカの食卓」に溶け込んだのか。50年前から続く世界への挑戦とその経営論をリーダーが語る。

感想・レビュー・書評

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  • 醤油は 日本食のなかでも主要な役割をなす。
    いまでこそ 日本食は 世界に広がる 流行となっているが
    それを作り上げていく過程は いろいろな困難があったと思う。

    キッコーマンは 3世紀にわたる食品の伝統ある会社。
    その思考方法は 若干 違いがあり
    アメリカへの進出は 茂木友三郎によって なされている。
    その苦労が 淡々と書かれていて 実に清々しい。

    アメリカにおける醤油は 当初は 日系人によって普及したが
    アメリカ人に使ってもらうには、どうするのか?
    『日本の味を世界へ』

    2007年3月時点で
    海外の売上が 28%を占め 営業利益は 51%を占めている。
    キッコーマン醤油がアメリカに輸出されたのは 明治元年(1968年)

    多角化戦略と国際化戦略。
    多角化は 
    デルモンテのトマトジュースとケチャップ
    マンズワインのワイン事業
    コカコーラのボトリング事業
    医薬品関連の事業、バイオテクノロジーの活用。

    国際化事業
    1957年 サンフランシスコに キッコーマンインターナショナルインコーポレーテッド。
    マーケティングを開始した。
    ホームエコノミスト 醤油を使うアメリカ料理の研究を始めた。

    高品質 高価格による差別化戦略。
    クオリティデファレンス。→ 『テリヤキ』
    『キッコーマンとは、アメリカのブランドなのだ。』
    〈英語〉ができることと仕事ができることとは、まったく別な話。

    『よき企業市民となる。』

    海外事業部門と国内事業部門の温度差。
    それを大きく変えていった。
    1 経営の姿勢 守りから攻めへ
    2 経営のサイクルのスピードを上げる。
     『時は金なり。情報伝達、意志決定、実行と成果など、経営サイクルの迅速化こそ、コストリーダーシップを実現し、競争に勝つ所以であることを改めて確認する。』
     『おっとりした体質』をあたらめる。
    3 経営の原点 消費者本位に徹する
    4 地球社会にとっての存在意義ある会社に
      『なくてはならない会社』
    5 グループ経営 グループ力の強化

    三つの経営課題
    1 日本市場におけるキッコーマンブランドの活性化
      醤油関連調味料の開発の積極的な展開
    2 ワールドブランドの育成
    3 体質の改善と改革

    人材育成の ありかた
    終身雇用とアメリカ的雇用方法。

    経営方法は 常に変化の中にあり
    変化に応じて より積極的な姿勢が 見えてくる。
    めざすべき 方向とは。

  • キッコーマンのグローバル経営戦略のレポート作成のために読んだが、IRなどの公開情報と合わせて読むと、この頃の背景などもよくわかり、参考になった。

  • キッコーマンといういかにも和風な感じの醤油メーカーは実はグローバル企業であり、醤油だけにとどまらない食品メーカーであった。
    醤油の製造自体を海外で展開することを1970年代初頭から行なってきたというのは驚きで、日本のグローバル企業の先駆けと言えるのではないだろうか?日本国内に留まっていたのでは今後の発展は望めないということで、早い段階から海外への展開を狙っていたその先見の明は見事としか言いようがない。
    チャレンジと常に向き合ってきた海外部門(世界各地で新しい工場を建設し、新しい販路を築いてきた)とは反対に、国内部門はどうものんびりしていたらしい(こっちの方が私が持っていたキッコーマンのイメージだが)。ここを融合させて新しい企業文化を構築したのは並大抵のことではなかっただろう。同一の価値観を持たせるために経営方針として5つのことを挙げたと言う。
    1.「守りから攻めへ」
    攻めの姿勢を持ち、リスクテーキングを恐れないことから企業の成長が可能になる。最初の海外工場建設は資本金と同じだけの投資が必要とされた。まさしくリスクテークをして成功したと言える。
    2.「スピードを上げる」
    経営資源のうち時間こそが万人に等しく与えられているものであり、経営サイクルの迅速化によりコストリーダーシップを実現し、競争に勝つことができる。
    3.「消費者本位に徹する」
    今までは問屋が第一の顧客で、最終消費者の方を見ていなかったと述べておられる。こういった環境の中で慢心があり、流通業の中心が問屋、小売業、メーカーと移っていったと分析している。面白い見方だと思った。いずれにせよ今は各機能がそれぞれの立場から最終消費者を見ているようで、そういう面ではよい方向に向かっているのだと思う。
    4.「地球社会にとって存在意義のある会社に」
    企業の存在意義を社会に認めてもらうことはすばらしいことで、それにより従業員が働き甲斐を感じ、投資家からの投資を集めることができる。食品会社は社会からの認知が高い方だと思うが、最近は不祥事が多く信頼をあっという間に失っている。食品会社に限った話ではないが、存在意義を社会に認めてもらう努力はどの企業もすべきだと思う。
    5.「グループ力の強化」
    部門の良いところを他の部門にも適用しようという考え方で、企業全体を強化することに役立つと思われる。

    グローバル化の進展により、こうした考え方も最近言われるようになっているが、会長のグローバルな視点をはるか昔から企業文化に浸透させてきたキッコーマンには一日の長があると思われる。

    この本では海外展開についてが半分、日本の企業経営についてが半分となっている。そのためなかなか詳細までは記されていないのではあるが、いずれは前者の方について詳しく書かれたものがあれば読んでみたい。

  • 野中郁次郎『経営は哲学なり』(ナカニシヤ出版)では、キッコーマンの経営哲学である「産業魂」を解説!

  • 《4コマ図解・読書録゛(ログ)》No.86
    http://archive.mag2.com/0000255083/20090909223000000.html
    茂木友三郎【著】
    『キッコーマンのグローバル経営』

  • 読んでやったぜ…!
    はじめての企業本。ぶっちゃけ全然、ずぇんずえん興味なかった!!!!

    けど同じ日本人として、これだけアグレッシブなおじいちゃんがいるってすごい誇り。
    世界を見る人は、もはや宇宙人ぐらいの脳みそでじゃんじゃん経営戦略を立ててるのだな。。

    キッコーマン。ばかにできないぜ。

  • 醤油って、実は世界でも使われている調味料だってことを知った。日本独自の調味料醤油を外国で普及させるのは、本当に本当に大変なことだと思う。だけど著者・茂木氏は、意外と淡々と苦労話をしているような・・・・・・気がした。キッコーマンの醤油!今までは、何にも考えずに使っていたけれど。見直させられたよ!

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