マイナンバー国家改造計画 12ケタの番号が日本社会を変える

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251000

作品紹介・あらすじ

2016年1月から運用開始となるマイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度は、日本社会にとてつもなく大きなインパクトを与える。しかし、そのことを国民の大半は理解していない。本書は「なぜマイナンバーを導入するのか」「どんな影響を持つのか」「新しいビジネスは生まれるのか」を第一人者が解説した。

 民主党政権下で当時の菅直人首相が「消費税増税、給付付き税額控除、マイナンバー」の3点セットを実行しようと考えたとき、マイナンバーが政策課題として急浮上した。その後、政権を奪い返した第二次安倍政権下の2013年、自民、公明、民主などの賛成で法案が成立した。当面は税と社会保障と災害の3分野に利用が限られるが、徐々に利用範囲は拡大していくと見られる。

 先進国では唯一番号制度がなかった我が国でグリーン・カード(小額貯蓄優遇制度)など激しく対立した過去の番号制度導入と異なり、マイナンバーが実現した背景には、迫りくる超高齢化に伴う社会保障費の膨張という難問があった。
 負担が重くなる側は「誰が本当に困っていて、給付を受けるべきなのか」を明確にしてほしい。そのためには、所得や資産の把握は不可欠。なんらかの番号制度が必要であることは与野党問わず認めるところだった。
 住民登録された外国人を含む1億2000万人以上に配布される12ケタの番号がマイナンバーだ。2015年10月から通知カード、申請者にはICカードの個人番号カードが無料で配布される。この番号制度導入によって日本は大きく変貌する。
 
 その一例。市区町村役場や税務署などで従来は長蛇の列が当たり前だった窓口業務が消える。住民が手続き・届出をネットでできるようになるからだ。その結果、官と民の間をつないで来た行政書士や社会保険労務士といった仕事は大きく変容する。企業の総務部や経理部も大幅に縮小されるはずだ。
 他方、個人が特定できるメールを使った電子私書箱やマイナ・ポータルといった個人ポータルサイトが実現すると、民間で新しいビジネスが生まれるだろう。
 法案担当者は「2020年の東京オリンピックが終わった頃に、世界最先端のIT大国になっている」と豪語する。そうした大きなトレンドを概観したのが本書。

感想・レビュー・書評

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  • 2016年1月から運用開始となるマイナンバー制度は、日本社会にとてつもなく大きなインパクトを与える。しかし、そのことを国民の大半は理解していない。本書は「なぜマイナンバーを導入するのか」「どんな影響を持つのか」「新しいビジネスは生まれるのか」を第一人者が解説した。
    ついに始まるマイナンバーについて概要を知りたくて、新聞かなにかで分かりやすいと紹介されていたので読んでみた。確かに具体的にどんなことが可能(になる予定)なのか例示が上手くてさくさく読める点は素晴らしい。ただ明らかに内容がメリットに偏っていて、リスクやデメリットに関しては対策を考えているから安心、の一点張りで逆に不安になった。これから育てていくべき制度なのは間違いないだろうから、一歩引いて冷静に見守っていきたい。

  • マイナンバー制度について、よくわからない。
    賞賛・批判の両方の立場の意見を聞かなければ、と思い、手にした一冊。

    こちらは、マイナンバー制度の設計側に近い立場で書かれている為、賞賛派です。
    確かに、一般市民が公正な税や社会保障を受けられ、不正なことが出来なくなる点は、大変素晴らしい仕組みであることは理解できました。

    役所などの公的手続きの負担が減り、電子政府・行政になるのは、誰もがメリットを感じる社会が訪れるのかもしれません。

    ただ、個人の資産などの情報が一元化されることへの不安、セキュリティ面は、拭えない不安は残ります。システムを導入し、運用するのが人間である以上、悪意を持つ誰かの存在へのリスクは消えないので。

    リスクは少ない、または、考えにくい!と安易にアナウンスされても、信頼できないのが本音でしょう。

    マイナンバー制度を正しく理解して、上手に活用できる、個人と日本社会になることを願いたいと思いました。

  • マイナンバーの総論、解説。初級編だと思います。
    わかりやすくて、怖がらずに、かつ慎重に利用していくべきでしょう。士業の方は対応が必要ってありました。確かにビジネスチャンスですね。

  • 提灯本

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著者プロフィール

野村総合研究所未来創発センター 制度戦略研究室長
東京大学卒業、野村総合研究所入社、システムサイエンス部配属の後、NRIアメリカ(ニューヨーク)、野村ローゼンバーグ(サンフランシスコ)出向。帰国後、金融関連本部にて活動。経営企画部を経て、2013年4月より現職。

「2021年 『コロナ制圧 その先の盛衰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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