シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法

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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251031

作品紹介・あらすじ

ウーバー、エアビーアンドビー、テスラモーターズなど、シリコンバレーでは数年で大きく飛躍する企業が次々と登場している。ウーバーは創業6年で会社評価額が2兆円を超え、Airbnbの評価額はハイアットホテルを超えた。
なぜ、彼らはそれほどまでに急激に飛躍できるのか――。

一方で、ノキア、イリジウム、コダックなど華々しい注目を集めていた起業が、急速に衰退していく例もある。なぜ、専門知識を持つ業界の覇者があっという間に消えてしまうのか。

シリコンバレーで大注目され、世界の優秀な起業家や有名企業の幹部が通うシンギュラリティ大学が、ありえないほどの急成長する企業や組織の秘密を本書で明らかにする。「競合より10倍以上の価値を生むビジネス」をつくり、直線的ではなく倍々と指数関数的に急成長するために必要な画期的な思考と実践方法である。

感想・レビュー・書評

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  • 良書 ボリューム感があって、一読するのにかなり時間がかかってしまった。

    他社をはるかに上回る速さて成長する企業:飛躍型企業が登場している。
    本書の目的は、あなたの企業が直線的思考から脱して、飛躍型の企業への成長していけるようにすることである。

    気になった言葉は次です。

    ・あらゆる変化を後押ししてきたのは、テクノロジー。
    ・過去企業が間違えてきたのは「技術革新のスピードは市場の需要に対応できるほど速くない」こと
    ・破壊的な変化が世界経済で、何千とおきている。物質ではなく、情報がビジネスを規定するようになるという根本的な変化がおきている。
    ・大量のデータと強力なツールを組み合わせれば世界を別の角度から見られるようになる。
    ・現代の企業は、製品やサービスを市場に送り出すスピードが非常に早くなっている。
    ・アマゾンAWS:クラウドコンピューティング:IT資源をオンデマンドで、変動費として活用できるという仕組みは業界を一変させた。
    ・ボトムアップでアイデアを出すとともに、トップが促す形でアイデアの採用・支援・発展を促す、リーンスタートアップ手法が知られるようになった。
    ・インターネットが、マーケティングとセールスの限界費用をほぼゼロにした。

    構成は以下の通りです。

    まえがき

    イントラダクション

    Part1 飛躍型企業を解明する
     第1章 破壊的な変化がやってきた
     第2章 「所有」をめぐる2つの会社の物語
     第3章 飛躍型企業のまわりにある5つの特徴
     第4章 飛躍型企業の内側にある5つの特徴
     第5章 飛躍型企業がもたらす真新しい世界

    Part2 飛躍型企業をつくり上げる
     第6章 飛躍型企業を立ち上げる
     第7章 中小企業が飛躍型企業になるために必要なこと
     第8章 大企業が飛躍型企業になるには
     第9章 飛躍型企業に生まれ変わった大企業
     第10章 飛躍型リーダを目指す

    エピローグ 

    あとがき

  • シリコンバレーを中心としたスタートアップが
    なぜイノベーティブにスケールアップし続けれるのか、
    その秘密を明かした本。

    某企業の研修で使われていたため、読みましたが、
    前から少し気にはなっていました。

    前半部分で、シンギュラリティ―時代に必要な要素を明かし、
    後半部分で、既存の大企業や中小企業(創業含む)が
    どうすればその要素を満たすことができるのかを論じています。

    日本の(大)企業サイドからすると、
    あまりに考え方がかけ離れていて、衝撃を受ける内容かもしれませんが、
    こういった考え方をしていかないと生き残れない、と
    いかに危機感を持てるか(特にトップが)がポイントになってくるかと感じました。

    スタートアップ界隈にいる人からすると、
    まぁそういうことだよね、、という
    どこかで聞いたことのあるような話なのかもしれません。
    (ただし、フレームワークを用いてきれいに整理されているという点は有用です。)

    (読者の)読む目的次第ではありますが、
    こういう分野に興味のある人は手に取ってみてもよいかもしれません。

  • 原書は2014年に書かれているが、まだ内容は古くはなっていない。
    企業経営者だけでなく、一般社員が読んでも得るものがあると思う。個々のチームやプロジェクトにも応用できるヒントがいっぱいある。
    例として挙げられているのはアメリカ企業が多いが、中国の例もある。日本企業がないのはグローバルで飛躍的成長を遂げたと認知されていないからなのか。少し残念な反面、まだ飛躍するチャンスがあると解釈もできる。ガンバレ日本。

  • 「シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法」Salim Ismail

    S&P500企業の平均寿命は1920年代は67年であったが、現在は15年と大幅減少している。これはさらに短くなり、現在のトップ500企業の40%は10年後には存在していないだろう。

    マッキンゼーは、1980年代初期、2000年までに使われる携帯電話は100万台未満と予想したが、実際には1億台が使われた。予想の1%にも満たない事実は指数関数的成長を理解できていない証明。

    2002年時点で専門家達は携帯電話業界の平均成長率を16%と予測したが、実際には2004年には100%であった。さらに、2004年の予測値は平均14%だったが、2006年には再び100%であった。これだけの大ハズレが起きるのは、自然や市場を支配する法則を完全に誤解している事に原因がある。


    直線型企業
    ・トップダウンでピラミッド型の組織
    ・金銭的な結果に基づく判断
    ・直進的で順次的なアプローチ
    ・イノベーションは主に社内で生まれる
    ・過去の出来事に基づく戦略策定
    ・リスクへの耐性が低い
    ・プロセスへの柔軟性が低い
    ・大量の従業員
    ・自己の資産コントロール
    ・現状に対する大きな投資

    組織は外部からの変化に抵抗するように作られている為、疑問を抱かず守備に徹する。

    企業の免疫システムは二種類ある。一つ目は中核事業を守るという反応。もう一つは自分個人を守るという反応。

    グローバル化とは、1をn倍にする20世紀の思考。21世紀はゼロを1にする世界。

    これから数年のうちに誕生する最も優れた企業は、新しい情報源を活用するか、これまでアナログだった環境をデジタル化する事でビジネスを構築するだろう。

    これまでの組織構造は希少性を前提に設計してあった。所有という概念は希少性に対しては有効だったが、資源が豊富にあり、情報を基盤とした世界では、アクセスやシェアといった概念の方が有効になる。

    組織をスケールさせる方法を学ぶ時がきた。

    情報を基盤とし、指数関数的に成長する世界では、マトリックス型の組織は通用しない。

    20世紀に成功するように設計された企業は、21世紀には破滅する運命にある。

    唯一無二の野心的な変革目標(Massive transformative purpose)を持つ事。なぜ私たちの会社は存在しているのか?

    5つの外部環境(Scale)を持つ事。
    Staff on demand オンデマンド型の人材
    Community & crowd コミュニティとクラウド
    Algorithms アルゴリズム
    Leveraged assets 外部資産の活用
    Engagement エンゲージメント

    1.MTPで初期メンバーを獲得する。
    2.コミュニティを育てる
    3.対等に共同作業ができるプラットフォームをつくる

    アルゴリズムに基づく採用は、直感に基づく採用よりも成功率が25%以上高い。

    指数関数的な成長を実現し、ビジョンの実現に向けてコミュニティから協力を引き出すには幅広いステークホルダーを相手に従来では考えられない程の深い関係を築かなければならない。

    身につけたスキルの半減期は5年程度。

    多くのコンテストで、専門家ではない外部の人々が特定領域の専門家を上回る成績を残した。これは過去に囚われない思考と、幅広い視野を持つ事による。

    5つの内部構造(Ideas)を持つ事。
    Interface インターフェース
    Dashboard ダッシュボード
    Experimentation 実験
    Autonomy 自律型組織
    Social technologies ソーシャル

    OKR(Objectives and key results)メソッド
    1.自分はどこに向かおうとしているのか?
    2.その目標に近づいている事をどう把握するのか?

    KPIはトップダウンで作るが、OKRはボトムアップでつくる。

    目標は夢に過ぎない。主要な成果が成功したかどうかを判断する基準となる。

    目標は定性的で主要な成果は定量的になる。

    目標は野心的で達成できるか不安を感じるような内容にする事。

    肩書きや定期的な会議を持たない。自発的に行動できるイノベーション志向の人材を雇い、本人に参加するプロジェクトを選ばせる。MTPに準じた新しいプロジェクトの立ち上げも奨励する。承認の要らないイノベーションを実現させる。

    ハイフィディリティのローズデールCEOは自分が CEOに留まるべきかを社員投票で決めさせている。また、社員への自社株購入権の分配を、人事考課ではなく、匿名のピアレビューを通じて決めている。

    多少の階層は残されているが、それは能力に基づく上下関係であり、権限に基づく説明責任ではない。相手がこの問題についてよく知っているからという理由で説明責任を果たす。

    ソーシャルビジネスとは、「つながり+エンゲージメント+信頼+透明性」

    アイデアの生成、採用、実行をほぼ同時に起こすゼロレイテンシ企業が実現できれば多大なROIをもたらす。

    生産とマーケティングがコモディティ化した今、競争を左右するのは理念とアイデア。

    歴史を振り返っても、発明や解決策が専門家から生まれた事はない。

    Hippo(Highest paid person’s opinion)がギークの天敵。

    5カ年計画を立てる事は、飛躍型企業にとって自殺行為。

    仕事とは、愛を見える形にしたもの。それが目指すのは永遠に生きる事ではなく、永遠に生きるものを生み出す事。

    対立が生じたら常にコミュニティ側に立とう。なぜならその対立は長期的思考と短期的思考の違いに根ざすものだから。

    飛躍型企業の創業チームスキル
    ・ビジョナリー
    ・ユーザーエクスペリエンス設計者
    ・プログラマー/エンジニア
    ・ファイナンス/経営担当者

    アイデアやテクノロジーから始めるのではなく、何らかの問題を解決したいという情熱から出発すべき。

    核心的な問い。「あなたは真実だと信じているが、他の人にそう思わせるのに苦労している事を教えて欲しい。」

    革命的な変化とは、それが起きる一日前まで単なるイカれたアイデアなのだ。

    現状を変革する発明の多くは考え出された当初は立ち上げに失敗し、普及までに15年程度をかける。

    既存企業が社内で飛躍企業を立ち上げる場合
    1.新市場だけを相手にする事。
    2.CEOから直接的な支援を取り付け、公式にもCEOからの指揮系統を確立する事。CEOより下位の人物からの指揮系統をつくらない事。
    3.立ち上げに成功したら独立会社にする事。一旦独立したら親会社に戻さない事。
    4.既存の組織内で最も大胆に変革できる人物を探し、新会社に参加してもらう事。
    5.新会社は既存のシステムや政策から完全に独立したものにする事。

    ほとんどの買収が失敗に終わるのは、買収した側が買収された側の業務を理解しようとして買収された側の業務を意図的に遅くしたり、新しいやり方や文化を押し付けるため。

    大企業の問題
    ・関心が外ではなく中に向かう
    ・すでに得意としている技術を重視する
    ・内部のイノベーションに期待する

    大企業の改革方法
    1.リーダー層の変革
    教育、取締役会の管理、ダイバーシティ、スキルとリーダーシップ
    2.飛躍型企業との提携、投資、買収
    3.現状の打破
    周辺部で飛躍型企業の立上げ、秘密チームの設置、グーグルXモデルの採用。
    4.簡易版飛躍型企業の導入

    25歳の社員の中から最も賢い人物を選び、影のリーダーポジションに置く。そして彼らに「古い世代とテクノロジーのギャップを埋める」「経営に関する学びを得る」「経営層に対するメンターとして行動する」の三点を支持する事。

    取締役が全て男性の企業よりも男女が混ざった企業の方が平均で26%高い業績を残している。

    社員の全く異なる3タイプ
    1.エバンジェリスト 新しいアイデアを支援し、商品化する
    2.スケーラー 効果や実効性が証明されたモデルを大きく成長させる
    3.オプティマイザー 効率性を追求して利益を最大化する

    飛躍型企業のリーダーに求められる資質
    1.ビジョンを持ち顧客の側に立って行動する
    2.データに基づいて実験する
    3.現実的に行動しつつ、楽観も忘れない
    4.高い順応性を発揮する
    5.極めてオープンな態度を取る
    6.大きな自信を持つ

    経営陣はダイバーシティに留意する事。

    社内のリーダー層を自己変革を支援するプログラムに定期的に参加させる事。

    変化を促す人物と誰もが認めるような人間を3人選び、組織の周辺に異動させ、飛躍型企業という形で彼らの力を解き放つ。中核事業とは別の場所で市場を破壊するような事業に取り組ませる。彼らが本社とどのような関係を築くかを把握しつつ、その数を増やしていく。

    アマゾンの「制度的イエス」ルールは、部下がアイデアを持ってきた時、もし「ノー」と言いたければ主張を2ページ以内にまとめ、なぜそれが悪いアイデアなのかを説明する必要がある。「ノー」のハードルを高くしている。

    ザッポスのトニー・シェイCEOは、すべての肩書きや管理職の撤廃を進めており、最終的にはCEO職も廃止する。
    採用は、ザッポスインサイダーズというSNSに参加している事が前提となる。候補者の行動を継続的に把握し、既存の社員とどう交流するかを見ながら適性をチェックする。

    ブレークスルーをもたらす可能性が高いテクノロジー
    ・IOT
    ・人工知能、データサイエンス、データ分析
    ・仮想現実、拡張現実
    ・ビットコインとブロックチェーン
    ・ニューロフィードバック

    政府は市民活動のプラットフォームになるべき

    過去40年、大企業が新たに生み出した雇用はゼロ。

    多くの産業が情報化し、プラットフォームの融合が起き、業界ごとに少数の巨大なプラットフォームが誕生する。その上では、大量の飛躍型企業が活動し、プラットフォームの隙間を埋める形で共生していく。

  • 飛躍型企業に共通した特徴である"MTP"、外部環境の"IDEAS"と内部構造の"SCALE"。これらの説明が非常にわかりやすい。なおかつ、こうした解明を元に中小企業や大企業がどのように飛躍型企業に変革すべきまで描かれており、とても参考になる。

  • GoogleやFacebook等の飛躍的に成長する企業を生み出す方法を解説する本。要点は、第1にビジネスをデジタル化する。第2にデジタル化されたビジネスは指数関数的な成長を始める。第3に指数関数的な成長は、始めはほとんど変化が見られないが、2倍の成長を10回繰り返せば1000倍、20回繰り返せば100万倍、30回繰り返せば10億倍になる。これはベンチャー企業にも既存の大企業にも全て当てはまる。10億人に影響を与えるビジネスを生み出したいと考えている人には必読の本。巻末には飛躍型企業かどうかを測る診断チェックシートも付いています。

  • 指数関数的(シンギュラリティを引き起こす時、そこには指数関数的な成長軌道がある)な伸びをみせる企業の外面、内面の共通項をわかりやすく解説している。Internet時代の経営理論の指南の書と言える。

  • 二度目の読了。最近シンギュラリティについて考えるあらためて考える機会があり、再読。
    自分自身を飛躍型に変えたい。という思いを強めました。
    イノベーションを起こしたかったら一度は読まなくてはいけないでしょう。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90346393

    経営革新、経営計画、経営管理、技術革新について興味のある方へお勧めします。

    (推薦者:共生システム理工学類 石岡 賢 先生)

  • 20181125
    飛躍型企業とは、資産の所有ではなく利用とテクノロジーの活用によって、短い期間で指数関数的に成長する企業である。
    その特徴はMTPを持ち、成長エンジンとしてSCALEの5要素、その管理のためにIDEASの5要素を持つ。
    SはStaff on demand, CはCommunty & Cloud, AはAlgorithm, LはLeveraged Assets, EはEngagement
    IはInterface, DはDashboard, EはExperimentation, AはAutonomy, SはSocial Technology

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著者プロフィール

ベストセラー『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』で世界的なExOムーブメントを巻き起こしたイノベーター。この新しい時代をどのように捉え、そのなかでどう適応し、繁栄していくかを理解するためのフレームワークを提唱している。

「2020年 『シンギュラリティ大学が教える シリコンバレー式イノベーション・ワークブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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