マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド

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  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822257958

感想・レビュー・書評

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  • マーケッターである森岡さんが、マーケティングと組織革命について語るという、自分には想像もできなかった内容。
    本当に会社を継続的に勝たせよう(=マーケティングの目的)とするのであれば、組織が何もよりも重要である。

    組織が何のために存在しているのか、マーケティングの目的は?というところから話が始まっているので非常にわかりやすい。

    Gで学んだBTIの内容と整合する部分も多く、森岡さんが井手さんとダブって見えるw

    自分の今、自分の役割と会社の方向性について悩んでいるので、本当に参考になった。
    改めてマーケティングの重要性と奥深さ、面白さを気づかされた。


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    人が緊張感なく楽に過ごせる組織は必ず滅びる。負荷は必ず必要。戦っている相手は外部環境であり、競合だから、緩さに容赦ない。

    作ったものを売るのではなく、どうやって売れるものを作るか。マーケティングはプロダクト企画から始まっている。
    バリューチェーンとは企業が価値を創り出すための一連の仕組み。市場構造や顧客を理解することから始まっている。

    経営資源を消費者のプレファレンスに集中するその能力、消費者プレファレンスを読み解いて会社を勝つ確率が高い焦点に集中させるその働きをマーケティングと呼ぶ。マーケティングは会社を市場にフィットさせ消費者の頭の中に選べれる必然を構築し、売り上げを中長期的に獲得できるようにする。選ばれる必然のことをブランドと呼ぶ。ブランドは消費者の頭の中に存在しその相対的な力関係でプレファレンスを決定する。


    役職は上下関係ではなく、明確な役割による共存関係でつながっている。

    役割は人々に周知されて初めて意味を持つ。

    組織づくりの本質はなにか?=自己保存本能を逆手に取ること。会社がのぞく行動をとらせる確率をあげたい場合、自己保存の本能に反する形で推し進めてもうまくいかない。本能にそうように推進できれば結果は良い方向に動く。→変わるための必然をつくる。

    誰がどこで何を決めているのかわからない組織は、実は誰もが公に恥をかかなくて済み仕掛けになっている。これでは、仕事に人々を追い込むことができない。水面下で自己保存を優先させる行動をとりやすい。

    <伝え方>
    人間は好きか嫌いかで決めている。
    相手にどんまメリットがあるのか、HOWの段階では情緒まで満足させること。
    相手(ターゲット)の好きなパターンはなにか?


    巻末の3名のマーケッターとの対談だけでも大いに価値があった。

  • 1.前著の「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を読んだ時から気になっていました。

    2.本著の目的は2つあります。1つは、ヒトの力を活かすための組織づくりです。そしてもう1つは1人の社員でも組織を動かすための方法があるということです。つまり、トップダウンとボトムアップの両方の視点から組織を変える方法があるということを伝えています。
    構成もその通りになっており、前半は組織としてどのようにヒトを活かしていくか、どのように改革していくかといったことが述べられています。そして後半は平社員が上司に意見するためにはどのような方法があるか、マーケティングとは何なのかが述べられています。さらに、最後には、特別対談という章立てで、鈴木敏文氏、秋元康氏、佐藤章氏、佐藤可士和氏との会談の様子が書かれています。350ページとかなり暑い本となっているのですが、著者の仕事に打ち込んできたストーリーとともに、組織改革のために必要な理論が述べられているため、非常に価値ある一冊です。

    3.かなりボリュームがあったうえ、言葉遣いも難しくなっていたのでかなり読むのに苦労しました。組織改革にはトップダウンとボトムアップの両方から変える必要があるというのが1番大切なところだと思いました。
    タイトルにも記載してある通り、社内を改革しない限り、足の引っ張り合いを繰り返すだけです。私の会社もそれを繰り返して今まで過ごしているため、いつ倒産してもおかしくありません。しかし、自分のやるべきことを明確にし、伝えることを相手にも利益があるように伝えれば、ゆっくりですが変えられるのではないかとうっすら希望が見えてきました。
    1番の敵は社内であり、なかでも「自分だけ安全マン」の対処法にはいつも苦労を感じています。この本を読んだので、その人たちとの向き合い方についてしっかりと考えていきたい。

  • 元USJのCMO森岡さんの4冊目。マーケティングの話から組織の話まで。前半はかなり面白い。中盤は評価の話になる。

    以下メモ。
    ●組織を変える個人技とは「提案を通すスキル」。
    ●マーケティングには消費者の購買行動を決定的に変える力がある。
    ●組織力=個人技とシステム(仕組み)の掛け算。
    ●商品開発もマーケティングシステムに含まれるべき重要機能。プロダクトはマーケティングの4Pの筆頭でもある。
    ●人が緊張感なくラクに過ごせる組織、は遠からず滅びる。
    ●プレファレンスとは消費者のブランド選択における「相対的な好意度」。購買行動の際に消費者の頭の中にいくつかあるブランドの相対的な購入確率のこと。
    ●マーケティングは会社を市場や消費者にフィットさせ、消費者の頭の中に「選ばれる必然」を構築し、売上を中長期的に獲得できるようにする。マーケターはその選ばれる必然のことを「ブランド」と呼ぶ。
    ●マーケティングは策を立てるより実行する方が難しい。
    ●「作る人のためのマーケター」も「売る人のためのマーケター」も狭義すぎて会社全体の利害を消費者視点でドライブするには役不足。
    ●プロダクトと消費者理解は双極性にも関わらず、組織構造として切り分けっぱなしの会社が多すぎる。商品開発部門のヘッドをCMOにしてマーケティング部門長をレポートさせるやり方は、CMOに要求されるブランド戦略を構築する高いマーケティング能力がなければ解決策にならない。
    ●多くの企業では新入社員として入った瞬間から「先輩の言うことは聞くべき」と言う刷り込みが始まる。先輩はそうやって強いられてきたので、前提として後輩は自分を敬うものだと思い込んでいる。そのせいで些細なことで後輩の行動に対して不必要に腹が立ったりする。本来腹を立てる必要はないはずなのに、腹をたてる理由、不必要なストレスを自ら作り出している「上下関係の害悪」。最初から対等だと考えていれば何のストレスもプレッシャーもない。
    ●多くの人が勘違いしているが自分が快適に過ごすことを目的に秘書がいるのではない。もしそうなら私設秘書として自分個人が秘書の給料を払うべき。
    ●ビジネス組織の文脈で性別による一般論を「個人レベル」に持ち込むことは不毛の極み。
    ●13%→34%→51%→ゴールの法則は組織改革の進捗を測定する際に重要なマイルストーン。
    ●会議とは「人を働かせるための儀式」
    ●USJでは報酬差を2倍や3倍どころではない何倍もの差をつけて最高評価者に報いていた。数割程度の差では人間のやる気を本当に掻き立てることができるのか不安。ただし意味のある差がないといけない。
    ●部下を持たない人は多くいても、上司を持たない人はほとんどいない。圧倒的大多数は「下の立場」で組織に向き合っている。
    ●変化の起点になりたい人は「打たれ強さ」は重要。
    ●自分の考えは正しいはずだからそれを理解できない上司や会社はダメな連中だということで、自分の考えを受けきれない相手を否定し、自分自身を肯定したい動機に支配されそうになる。
    ●その提案は誰にとって正しいのか。決定権限のある人の目的次第で判断がなされること。
    ●提案を通すことが苦手な人に共通するスキル不足は「自分の視点でしか物事を見ていないこと」。自分の言いたいことだけで頭がいっぱいになり、相手のアジェンダをほとんど意識して考えることをしない。なんとなく思いついたことを周到に武装もせずに相手に伝えて失敗している。下の立場から変えたい人には「スキル」が必要。
    ●自分の言いたいことを伝えるのではなく「自分の言いたいことを相手が買いたいものとして伝えられるか」ということ。すなわちマーケティング「顧客視点で考えること」。消費者はわかってくれない!とは言わない。会社や上司はわかってくれない!と憤る人はプロとしては実に幼稚でみっともない。会社はお金という給料を払って自分を買ってくれている顧客なのに何か勘違いしている。そういう勘違いの人は徹底的に修正。プロとして成功するために真っ先に必要なのは自分に矢印を向ける覚悟。自分の力が足りないからと認めること。
    ●意思決定は誰なのか。知りたいのは「個人名」。関係者間で擦り合わせて、というのはブラックボックス。
    ●提案の目的に大義はあるのか。確率の高い目的。
    ●営業現場は雑務が多いから事務仕事をする人を増員してほしい、という素朴な思いがあったとして「営業現場の煩雑事務を効率化すること」は目的にするのはマズイ。直接関係ない人には「どうでも良いこと」。自身のスキル不足による幼稚な自爆。営業現場を効率化することによって「上位組織まで何か良いことがあるのか」という視点が抜けている。部長にとって重要なのは売上の伸長。スタッフが増えることがどうして部全体の利益につながるのか「太いロジックを必死に考える必要」がある。
    ●困ってる人が自分目線でお願いするのは「提案ではなく」「陳情」。提案とは相手にメリットのある話を持っていくこと。上司に陳情しても通らない。
    ●意思決定者が重要と思ってくれなかったときは、提案そのものを売り込むのではなく、目的を売り込む。
    ●目的がスローガンになっているのは戦略がない証拠。
    ●意思決定者は誰か。合意形成の重心になる人は誰か。提案を潰せる人がいるとすると誰か。
    ●多くの人が提案を通すのが苦手なのはら魅力的な便益を見つけることができないから、ではなく。「実現可能性を明確に示すスキル」が不足しているから。夢を見つけて語ることはできても、どうすれば実現できるか説得力のある道筋を示せていない。
    ●コラボや低予算アイデアで稼ぐ→新ファミリーエリアで稼ぐ→ハリーポッターで稼ぐ→パークの多拠点展開で稼ぐ→アジア最大のエンターテイメントカンパニーになる。
    ●上司が悩んでいることを把握し、自分の提案がそれを解決するロジックを立てる。会話の中では、自分の提案の便益を「公の便益」から説明し、上司が気づいていないようであれば、悩んでることの解決策にも非常に有効です、と付け加えるくらいの説明をする。
    ●喋り続ける相手を止めるためには相手の名前を連呼する。
    ●敏文さんの話。前日にある商品が何十個も売れたデータが出てくると明日も同じように売れると考えがち。POSデータは「明日のお客様ニーズについて自分で立てた仮説を検証するために使うもの」。
    ●セブンのオムニチャネルは「商品開発」にあった。Amazonなどは、圧倒的な品揃えと迅速に届ける「物流会社」。
    ●秋元康「記憶に残る幕の内弁当はない」。議論してるうちに色々いれましょうよとなりがちだが、貫く勇気が必要。
    ●佐藤可士和「ブランディングはどうすべきか。ではなくて、どうしたいか、が最も重要」。

  • マーケティング目線からの組織改革。第二部の「社内マーケティングのススメ」は、これだけを1冊の本にしても十分な価値があると感じた。職場で企画立案に携わる人には、とても参考になる。
    人間の本質が「自己保存」であることは、自分自身の経験でも痛感することが多く、激しく同意できた。

  • 人間の本質は自己保存であり、変化を拒む本能がある。だからこそ変わるための必然を作ることの重要性がある。組織の利益と自己保存のベクトルを合わせていくことで組織の利益に向けた動きもしやすくなる。

  • 組織での行きづらさを感じているすべての人へ。

  • 【要約】
    マーケティングは、単なる宣伝手法ではなく、組織全体の革命をもたらす力を持っています。マーケティングは、顧客との関係性を構築し、組織の戦略や文化を変革することができる。
    また、マーケティングは、新しいビジネスモデルを生み出すことができ、組織の成長や変革に貢献することもできる。
    組織は、AIやデータ解析の進化に対応するために、より顧客に近づくことが求められます。マーケティングを組織革命として捉え、積極的に活用することが、今後のビジネスにとって重要なのです。

  • 組織構造の理想は人体!しかしそのような組織構築は困難である。マーケティングを学習して組織の構築は素晴らしいと思います。

  • 企画に配属され、提案の通し方の正解について知りたくて読み始めた。
    ロジックがしっかりなされており、面白かったです。
    ただ、結局は情熱なんだな〜と森岡さんの熱い人間性からひしひしと感じました。再読したい。

  • 理想的な組織に関して、比喩を用いながら分かりやすく表現してくれていて、頭の中にすっと入ってきた。以下が良いと思った表現例。
    ・理想の組織モデルは「人体」である
    ・人間の本質は「自己保存」であり、組織づくりの本質は自己保存の本能を逆手に取ることである
    ・会議とは「人々を働かせるための儀式」である

    また、「社会人下の立場からでも組織をよりよく変えていくことは可能である」という内容は、社会人になって期間の浅い自分にとっても励みになる内容だった。
    この本を読んだことが、上司と目的を共有し、自分の望む未来を引き寄せる技術を蓄えるきっかけとなった。

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著者プロフィール

株式会社刀 代表取締役CEO

「2020年 『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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