スポーツをテクノロジーする

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822258771

作品紹介・あらすじ

1964年東京五輪では、旧国立競技場は新記録が出やすいと評判になりました。そのトラックを生み出した技術者の願いは「100m走で10秒を切る、という人類未到の大記録」でした。スポーツにおいて好記録・好プレーを目指すのは、アスリートやコーチばかりではありません。本書は、人類を早く泳がせ、走らせ、最高のパフォーマンスをさせようと努力しているスポーツ用具と設備の技術開発にスポットライトを当て、その面白さと意義を豊富な取材によって解説します。

水泳においても、競泳水着の進歩が記録向上に不可欠でした。バルセロナ五輪女子200m平泳ぎで優勝した岩崎恭子選手の記録は、その56年前の1936年ベルリン五輪の前畑秀子選手に比べて、40秒近くも向上していました。高速化した要因にはもちろん、先進的な泳法、練習メソッド、メンタルトレーニング法、コーチング術、栄養管理などの進化がありますが、本書でスポットを当てるのは水着の進化です。

ただしその進化は、スポーツの精神との軋轢を生むこともあります。北京五輪の直前に北島康介選手が「泳ぐのは僕だ」と書かれたTシャツでアピールしたように、選手よりも水着が主役になりかけた時期もありました。著者はこのような問題も独特の感性で捉え、スポーツにおける技術の意味を浮き彫りにしていきます。

このような、スポーツ用具や設備の開発にあたる技術者たちは格別有名でも、天才でもなく、ものづくりの運命を偶然与えられた人たちに過ぎませんが、理想を目指して努力を重ねる魂は、日本のものづくりの実力や、テクノロジーの強さとも深く通じるものがあります。テクノロジーの進歩を避けては、スポーツにおけるアスリートのパフォーマンス向上は語れないことを知らせてくれるのが本書です。

「本書を読まずしてスポーツは語れない」
元文部科学大臣・衆議院議員 馳 浩氏 推薦

感想・レビュー・書評

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  • オリンピック陸上100年、100m走の記録は12秒から9秒へ。
    ただ人間が進化し続けたからどんどん早く走れるようになったのでしょうか。もし、過去のアスリートが現代にタイムスリップしたら、もっと早く走れるのでは?カール・ルイス(9つのオリンピック金メダル保有)とウサイン・ボルトが最高記録を出したサーフェス(コート面の材質)が実は違って、二人の鍛えた筋肉も走り方も違うのです!もし、カール・ルイスがあの時代の走り方のままで走ったら、今のサーフェスに有利なのか不利なのかは分からないことですね。ただひとつ明らかなのは、競技場とアスリートは相互的に進化していくということ。

    技術がスポーツを支えることでアスリートの結実の瞬間、オリンピックがより輝きます。スポーツのテクノロジーの話、2020年の祭典が始まる前に知っておくとオリンピックがもっと楽しめるかもしれません:)
    (電気電子コース D1)

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00543496

  • 1931年 ベルリン
     女子平泳ぎ200m
     前畑絹子 3分3秒6
     天然素材 ワンピース
    1992年 バルセロナ
     岩崎恭子 2分26秒65
     ポリエステル ハイレッグ 薄く凹凸小で抵抗削減
     60年間で 183.6秒→146.65秒 37秒、20%も短縮

    Arai
     SBELLとJISの両方の規格をクリア。
     価格によって安全性能に差をつけていない。

    軍用ヘルメットから安全帽へ

     イギリスR75規定の継続
      半径75mm以上の連続する凸曲面で構成
     FRP製帽体+発泡スチロール
     レース焦点を絞る、Bellを追い越す
     軽さより安全性

    全工程熟練技術
     帽体繊維手作業調整
     樹脂成形
     開口レーザーカット
     全数目視厚み検査→ゲージ検査 2回実施。
     質量検査  
     手吹き塗装、水研ぎ
     転写シート手貼り
     

  • 東2法経図・開架 KW/2017//K

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著者プロフィール

東京工業大学大学院理工学研究科・機械制御システム専攻及び男女共同参画推進センター助教。2009年、東京工業大学において博士号(工学)を取得。異分野から工学の世界に飛び込み、オリジナルの「癒し工学」を提唱。工学・心理学・脳科学・芸術を結びつけた学際的研究に従事している。「癒し工学研究会」主査。

「2014年 『「癒し」は科学で手に入る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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