シリコンバレー・アドベンチャー―ザ・起業物語

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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822740320

作品紹介・あらすじ

ぼくの親友で兄貴分、ロータスの創業者でもあるミッチェルが、新しく自家用ジェットを買った。相乗りでサンフランシスコに戻る機上で、ひとつのアイデアがひらめいた。キーボードのかわりにペンで入力する超小型のコンピューターをつくれば、世界は変わる…。ミッチェルは、そのアイデアを実現するため、ただの技術屋のぼくに、会社をつくってその経営をしろと言う。投資家は150万ドルの現金をぽんと出すし、あれよあれよと言う間に新会社ができてしまう。話をかぎつけたアップルのスカリーや、マイクロソフトのゲイツまでが首を突っ込んでくる。いったい彼らは敵なのか、味方なのか。どうやらぼくは、とんでもない世界に足を踏み込んでしまったようだ…。シリコンバレーを舞台に、主人公たちの夢と情熱を描いた感動のドキュメンタリー。

感想・レビュー・書評

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  • ペンコンピュータというアイデアを実現するために、アイデアしかないような状態から何十億もの金を集めてGOという企業を作り動かし、そこがIBMやらAT&TやらマイクロソフトやらAppleやらの大企業が入り乱れる弱肉強食の世界と化したものの、結局誰一人マーケットを作り出すことなく、最終的にGOも吸収合併・解散に至るまでのストーリー。

    ものすごいアイデアを実現しようとするストーリーは面白いけれど、内容の8割くらいがいかに資金調達するかとか、どの大企業と組むかの権謀術数が入り乱れる世界の話しで、何かを実現するにはやりたいことのために9割くらいは嫌なことに時間を割かざるをえなくなったりするんだなと。



    今や押しも押される超一流企業のAppleだが、今にも倒産しそうな低迷期や、ニュートンというPDAの大失敗も経験してきたという話は聞いていたが、その時代を別の視点から追体験できて面白かった。ジョブズがiPhoneのプレゼンでスタイラスなんて誰も要らない、といったとき、この時代のことを一蹴したのだろう。

    メインフレーム時代のIBM、マイクロソフト、Apple、AT&T、投資家、投資銀行、ヤマハ、京セラ、アスキー、他にも韓国や台湾の企業といった法人はもとより、ビル・ゲイツやジョン・スカリーなど、明治の話を呼んでいる時のようなオールスター感がある。

    物心ついた頃から基本的にビル・ゲイツが世界で一番金持ちで居続けていたし、最近こそちょっと変わってきたが基本的にずっとWindowsがマジョリティだったし、そういうもんなんかなと思っていたけれど、ここで出てくるビル・ゲイツの超狡猾な肉食獣っぷりは半端ない。提携先に手を回して脅したり、雑誌記事のレイアウトにまで干渉したり、アクドイってレベルじゃない。。。ゲイツ財団は罪滅ぼしなんかね

  • ペン入力コンピュータを発想し、7500万ドル近くを商品を形に出来る前に集めて、そのまま会社を切り売りするまでの歴史。一人称が「僕」の主人公カプランが、企業家に有り勝ちな鼻持ちの無さを文章から感じず、読みやすかった。
    いくつか心に残るセンテンスは後に抜き書くが、途中でカプランが漏らしていた、「会社の存亡と個人資産がはっきり分けられていなければ、ここまで大胆に会社を創ることは出来なかったかもしれない。」という言葉が一番心に残った。ベンチャーを成り立たせたいなら、そこだよね、それを認めなければベンチャー支援を社会が行えるようになんてならない。アメリカ人でも人自体は同じなんだ。

    ・壁にかかっているのは二本の針がある円盤にすぎない。それなのに、それを見ると時間が分かる。真実を客観的に探究する事だけが科学の使命などと思わない方がいい。そうではない。言葉を定義し、論議を導き、ひとにも自分と同じ考え方をするよう説得する事は戦いなのだ。真っ先に何かを考え出せば、ひともそのルールに従って、ものを見るようになる。アイデアは、人間やものより命が長い。ひとに分け与えていいと思えば、きみのアイデアはもっともっと発展する。
    確かに博士(博士論文の指導教授)の言う通りだった。

    ・リーダーに求められるのは、筋の通った議論をして、人びとに自分の考えを押し付ける力ではなく、どちらに進めばいいかわからないとき、あるいは厳しい状況に追い詰められたとき、集団の中に一体感をつくりだす力である。ビルのすごいところは、一寸先が闇でも、進むべき道を見つけ出し、チームを強い連帯感で結び、勝利に向けて驀進することだった。たとえ、敗北が避けられそうにない状況でも、チームの心を一つにすることができた。
    なぜ、そのようなあつい信頼を得られるかといえば、その根底にあるものは簡単なことだった。そえは、自分がやることにはすべて全力投球し、何よりも社員の幸福を優先したことである。自分の幸福は二の次だった。

  • エキサイティングでリアルで残酷な
    事業を作り上げるという話。

    「経営レベルの視座」を疑似体験するには
    よい教材かもしれない。
    かなりパワープレイな教材だが。

  • シリコンバレーでの起業のダイナミズムが感じれる。やはり収益を上げるためのビジネスモデル、資本調達、競合を巻き込んでの市場規模の拡大は大事。

  • ペンコンピューター「GO」の話。
    それでも売り上げがないのに資金が調達できるっていうのはすごい。
    とは言え、資金調達に時間かけすぎてる気がする。

    足元見られないように、資金は切らさないようにしないとなー。そして大企業だからと言って安心してはだめだし、ほかの会社の意思決定で自分の会社の運命が左右されるような状況になるのは危険。
    あと、いつでも株式をキャッシュに変換できるようにしておくっていうのは大事なのかも。

    とは言え、GOの代表者たちはその後結局成功してるんだから、あきらめなきゃ成功するのかもしれん。

  • おもしろかった!
    世界を変える製品を現実のものとすべく、不可能に挑戦するノンフィクション。
    iphonの原点とも言えるペンコンピュータの開発を通じたストーリー。
    社長失格とともに読みたい1冊。

  • シリコンバレーが舞台だけに浮き沈みの規模がでかい。がIBM、Microsoft、Apple、AT&Tといった錚々たる大企業との過酷な闘いの果てに…。と言えば格好良いけど、ひたすら資金調達に苦心する話だったなあという印象。

  • ジェりー・カプラン。
    スタンフォード大学の研究員を経て、1987年にペン入力コンピュータを開発するベンチャー、GO(ゴー)社を創設。
    マイクロソフトやアップルとの壮絶な戦いの末、1994年にGO社は吸収合併され、
    ペン・コンピュータ事業は失敗した。
    しかし、同社の消滅後、カプラン氏は「ネット・オークション」のアイディアをインターネット革命に先駆けて発想し、
    オンセール社を立ち上げて第二の起業に挑戦。
    オンセール社のサイトはネットオークションの草分けとして人気を博し、
    IPOにも成功した。

    そんな、GO社失敗までの物語が躍動感ある文章に記されています。
    私が一番感動した文章は、買収されることを投資家に説明したときのくだり。

    ***
    ぼくは合併の話をした。ミッチェル(投資家)は何百万ドルを失うかわからない。
    「戦争は終わった。信じられないかもしれないが、きみたちは勝ったんだ。いま大事なのは、社員とプロジェクトにとって、最善の手を打つことだ」
    「よくわからない。ぼくたちが勝った?7500万ドルも使って、製品は何ひとつ売れていない。そして、AT&T社はぼくたちから会社を盗もうとしている」
    「考えてもみろよ。どれだけの雇用が生まれたか。どれだけの人たちが胸を熱くしたか。どれだけの人たちがペン・コンピューティングの未来を信じたか。こういうもののほうが、株式なんてものより、ずっとずっと長く残るんだ」
    ***

    話としては、板倉氏の「社長失格」のほうが(日本だからという理由で)理解しやすかったですが、
    胸の中のワクワク感、興奮指数はこちらのほうが高かったです。
    泣ける。

  • ペンコンピュータ創業から倒産までのストーリー。かなり古いが内容はすごく新鮮。ベンチャーの楽しみが分かる。

  • 起業し、大企業との競争に敗れ失敗した著者によるドキュメント。人間的な面も含めてゲームタッチに書いてあり、興奮できた。しかも登場人物は誰でも知ってるITの立役者たち。厚い本ですが一気に読みました。今見ると付箋がところどころついているので相当おもしろかったのでしょう(笑

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